「プリムローズ・マジック」って聞いただけでは、知らない人は何のどういうコンサートか、想像もつかない事だろう。この名前は2人のうら若き日本人女性、石岡久乃と安宅薫がコンビを組んでいるピアノデュオの名前である。
実は徳島ではプリムローズ・マジックは人気があって、(1986年結成だからそんな前では無いのだけど、)この数年の間に3度目の徳島公演になる。共に好評だった由。私は何故か機会が無く、今回が始めて聞くことになった。
プログラムは以下の通り
- モーツアルト:2台のピアノの為のソナタ ニ長調 K.448
- リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調
- ドヴォルジャーク:スラブ舞曲より 作品46第1番、作品72第2番
- アンダーソン(福田直樹編曲):ワルツィング・キャット、タイプライター シンコペイテッド・クロック、フィドル・ファドル
- バーンスタイン(福田直樹編曲)「ウエスト・サイド物語」より、、 マンボ、アイ・フィール・プリティ、アメリカ
プログラムはあまりまとまった曲が無く、非常に雑多な感じを受ける。良くも悪くも軽くギャラントな楽しみをもった演奏会向けだ。いつものコンサートに比べて明らかに客も多い。
舞台は美女2人が揃ってピアノを弾いているので、はじめから最後まで非常に華やかで輝いている。ただ私は何か欲求不満を憶えつつ帰路についた。
プログラムで真に聞くべきは前半の数曲なのだが、どうも無機的な演奏で耳を引きつける力に明らかに欠けていた、と思う。演奏自体に冴えが感じられず、真剣に音楽に取り組んでいるのかしら、と後で思った。それに、リストは1曲、ドヴォルジャークもわずか2曲と言うのは聞いている方にしてみても中途半端な感を受けた。
後半の編曲物は、良くできているとは言え、クラッシックコンサートと言うよりは「ショー」に近い。とはいえ、大方の徳島の聴衆は喜んでいたようなので、成功だったのだろう。前半のプログラムで感じたのとは違って、ジャズ風の部分になると、とたんに音楽が生き生きとしてくるのが印象的だった。
さて気を取り直そう、3月には吉野直子さんのコンサートがある。吉野さんも徳島は2度目だ、前回のような素晴らしいコンサートを期待しよう。