オークション時計購入事例.2
50年頃のブレゲ


これもまた、どちらかと言えば失敗事例の方に分類出来るかも知れません。ブレゲと言う名前に惹かれて買った時計でした。

やはりカタログにはムーブメントの機構とかケースの材質の記述があります。これも参考までに全文載せますと、

Breguet No.3135, 1950's

Fine 18ct gold gentleman's wristwatch

C. massive, polished, extended lugs.
D. mat silver with applied gold and painted indexes. "Baton" gold hands.
M. 10" rhodiumed, 17 jewels, lever escapement, monometallic balance, antishock system, self-compensating flat balance-spring.
Dial and case signed.
In very good condition.
Diam. 30mm

実際の時計もカタログに記載されている通り、状態の良さそうな感じです。この頃には既に自分で裏蓋も開けてみるようになっていましたが、ムーブメントは非常にクリーンな状態で、状態は良さそうです。ただこの時から少し気になっていたのです、それほど良いムーブメントの様な気がしませんでした。

時計屋さんに持っていって状態を見てもらいましたが、油が完全に切れているが状態は凄く良いとの事。そこで、ムーブメントの質について聞いてみると、やはり「大したこと無い」と言う話でした。

帰ってきた時計の裏蓋を開けて、自分で良く見てみると、何処にもブレゲのサインが有りません。もっと良く見ると、テンプの下側に何やら、Pを中心としたマークが入っています。本で調べると、このマークが分かりました。

このムーブメントは、今は合併してETAとなっている当時沢山有ったエボーシュメーカーの一つ、「プゾー」製のムーブメントそのままでした。

ブレゲは、あのダニエル・ロートらの力もあって割と最近再興を果たした会社で有ることを、忘れていました。昔は、こう言った大したこと無いムーブメントを買ってきて、そのままケースに入れた時計も作っていたのですね。(ムーブメントを買っているのは今もそうらしいですが)

注意すべき点は、カタログ文の下から3行目、「Dial and case signed.」と言うところです。ダイアルとケースにはブレゲとサインが入っていると言う意味ですが、更に言えば、「ムーブメントにはサインが入っていない」と言うことです(深読みしなければなりません)。

余所から部品をかうにしても、少なくても、自社サインの入ったムーブメントが使われている時計を買いたいと思っている私でした。