時計のメンテナンスについて

(付:私が地元の時計修理店を見つけるまで。)


機械式の時計は、有る程度の時期が来ますとメンテナンスが必要になります。常時使用していた場合にはもちろんですが、そうでない場合でも油が飛んでしまったりして各部の潤滑がうまくゆかなくなっている場合が有るからです。

ましてや、時計をオークションで買ったり、仕入れてきた時計をオーバーホールしないで売っているお店(その分安いのだけど)で買ったときなどは、まず、信頼すべき時計屋さんに見てもらって、状態をチェックしてもらう必要が有ります。でないと、もし油切れで使用していてかえって寿命を縮めてしまう事も有るからです。

メカニカルな時計は常に整備が必要ですので、1軒、

馴染みの時計修理店を作っておく事は
良い時計を探すのと同じくらい大切

なことと思えます。

東京等の都市圏ならば、結構信頼すべき時計職人も居るようなので楽ですが、地方都市ではちょっと探すのが大変かも知れません。でもそんな所でも、探せば必ず一人や二人、熟練の時計職人がやっている店が有るはずです。是非そういう店を探して馴染みになりませう。知ったかふりをせずに聞けば、いろんな事を教えてくれる筈です。

実は私も田舎在住で、始めてオークションで時計を買って届いたものの、調子が悪く、すぐ止まってしまうと言う代物でした(ちなみに事前に取り寄せたコンディションレポートにはそんな事は何処にも書いてない)。県内で時計修理店を探しましたが苦労しました、でも幸いにして良い方が見つかり、本当に助かっています。


私が地元の時計修理店を見つけるまで。


初めてクリスティーズのオークションに参加して、比較的安価なアンティーク時計(50年代とか60年代)を落札して送金。品物が着くのを楽しみにしていましたが、一つがリュウズを一杯に巻いても暫くすると止まってしまうと言う時計だったのです。

もっともその前から、信頼すべき時計修理の人を捜していました。この県での有名な時計宝飾店でさえ、修理は明らかにそのお店でやっていません。

そんな時、雑誌で労働省認定の「一級時計修理技能士」と言うのが有るのを知り、この資格を持っている人なら信頼出来るだろうと思い、認定者を紹介してもらおうと、労働省に電話をしました。しかし、だいたい、

お役所をあてにするのが
間違ってました。

労働省で、「あっちへ問い合わせろ」「こっちへ問い合わせろ」と数回、また地元の何とか機関(忘れた)へ問い合わせる事また数回、私の「徳島県で一級時計修理技能士の認定を受けている人を紹介して欲しい」と言うごく単純な問いに、むこうの戸惑いや、とんちんかんな受け答えの末に、答えは「公表できません」!!!。

あまりにもいい加減な受け答えや、問題のたらい回しに、私は最後の方には怒る元気も有りませんで、「ああ、そうですか」と言っただけで電話を切りました。(確か最後は、県内の時計組合に問い合わせさせられたと思います。労働省が認定している資格の事で、何で民間の組合まで問い合わせにゃいけないのか?)

後は自分の足で探すだけです。ある時、配達に行った先で「時計病院」とか言う変な看板を見かけました、看板と言うより、パーマ屋らしいその古い建物の壁に字が書いて有るだけです。察するに隣で、時計屋をやっていそうですが、これがかなり怪しい。

まぁ他に心当たりもないので、これまた怪しげな店の戸を開けて入ってみると、狭い部屋に修理しかけと思われる時計やいろんな道具、その他が整理されずにごちゃごちゃ置かれている机、そこにルーペを目に付けた50過ぎと思われる職人風の男。これは当たり、と思いました。

聞くところによると、その人は昔は時計の販売もしていたが今では修理専門。更に言えば一般時計店の受けた修理を引き受けるのが、仕事の主な依頼主だそうです。机の上はごちゃごちゃしているのだけど、修理の腕は確かな様です。

それから私は、既にその人の所に時計を持ち込む事、十数個。修理の用の他にもちょっとばかし長居して、色々時計の話を訊いて帰るのが常です。ただ、最近、時計店経由の修理依頼が多いらしく(殆どはクオーツ時計のオーバーホールと言う)忙しくて、こちらの修理(やはりそれらに比べると面倒なのが多い)は後回しになりがちです。

そんなですから、旋盤をつかっての部品の別作が必要な修理はさすがになかなかやってくれません。クロノとかリピーターとかの面倒なオーバーホールも同様です。そう言う物は、仕方がないので、非常に高価になるのを覚悟で東京の修理店に出しています。