世に役物時計と言うのが有ります。普通の機能に加えて、より高度な機能を付加した時計でして、例えば良く見かけるのは扇型の窓から月の絵が見えている月齢表示機能(ムーンフェイズ機能と言います。ムーンフェイスじゃ有りません。)などです。
で、中でも特別複雑な機能を有し、それ故高価になってしまう役物と言えば、「トゥールビヨン」「ミニッツ・リピーター」「永久カレンダー」あたりになると思います。
ミニッツ・リピーターと言うのは現在の時刻を「チンチンチン」という綺麗な音で知らせてくれる機構です。まぁクオーツ時計で電子音で知らせるなら、特にどうって事のない機構でしょうが、機械式時計で、ハンマーがベルを叩いて出す音は、なかなか感動物です。
腕時計のミニッツリピータは、難しくてあまりなく、従って大変高価です。懐中時計のそれは、比較的良く見かけまして、音もそこそこ大きいので(腕時計のは音が小さいと言う話)本当に楽しめるのは懐中時計の方らしいので、1つ欲しいと思っていた所、安く買えたのが、
1910年頃の Huguenin-Brequet の
ミニッツリピーター懐中時計
でした。音はそんなに綺麗じゃ無いですが、状態も比較的良く安かったので、妥当な所でしょう。一応今、時計屋さんに整備にだしています。
かの有名なヨハンシュトラウスIIのオペレッタ「こうもり」で、主役のアイセンシュタインが女を口説く小道具にいつも使っている懐中時計がミニッツ・リピーターです。リピーターの綺麗な音色でまず女性の気を引くのに使っています。
オペレッタでは、愚かにも覆面をした自分の奥さんを、それと知らず口説きにかかって(普通覆面をしてても分かるぞぉ、わからなくっても、絶対口説かないと思うけど)、うまい具合に時計を取られてしまいます。(で、後で、その時計が、浮気の証拠になる)
残念なのは、ミニッツリピータを手にしても、女性を口説くような場に行くことも無ければ、有ったとしても奥さんが恐くてそんなことも出来ないと言う事です。Hi