1870年頃の、クォーターリピータの鍵巻き懐中時計
アメリカの好景気のせいか、時計のオークションでも97年頃からとても高くなって様で、以来あまり買っていません。久々に幾つか買ったのは、どれも懐中時計です(実際に落札したのは99年5月です)。やはり人気は腕時計の様で、懐中時計は結構狙い目なんですよね。それに私、懐中時計好きですし。
これはかなり古い鍵巻きのクォーターリピーター懐中時計です。クォーターリピーターと言うのは、15分ごとの区切りをゴングで表すのです。分の単位まで表現する、有名な「ミニッツリピーター」と比べて、精度が悪い分簡素な機構ですみまして、従ってお値段もだいぶん違います。
この時計の整備をお願いした方に訊いたことが有るのですが、クォーターリピーターの機械に手を加えて、ミニッツリピーターにすることは、もう、元々から違うので無理だそうです。
鍵巻きの時計を買うのは実は初めてだったのですが(第一こんな古い懐中時計を買うのも始めて)、鍵がちゃんと付いているかどうか確認した方が良いですね。この時計(この下のもそうですが)、ちゃんと品物が届いたは良いものの、鍵が付いていなくて、試しに動かして見ることもできません。(後々の事を考えると、ペンチで無理矢理巻くわけもいかないし)
鍵って言っても四角の棒を回すだけですけど、各々にサイズがあって、ちゃんと合っていないと本体を痛めてしまいますから、、
鍵巻き時計の「鍵」だけでも、(装飾とか入っている場合が多いんでしょうね)結構なコレクションの対象になっていると言う事を聞いたことが有ります。そういう訳で、探してみたのですが、日本ではあまり置いてあるところは無いみたいです。結局、この時計を整備してもらった方に、鍵も別作してもらいました。
この時計の整備ですが、クオーターとは言えリピーターですから近場の時計屋さんでは引き受けてくれないので、東京に行く機会が有ったときに、下の時計と共に持参し、非常に信頼のおけるある方に特別に整備をお願いしました。
時計自体は、本当に19世紀の物かなぁ、と思うくらい薄く出来ていまして。大切に保管されて居たみたいで、とても綺麗な状態です。大変気に入っています。
ただし、後で思うのですが、最初から信頼できる確実に整備してくれる所の「あて」の無い場合は、こういう時計はオークションでは買わない方が良いでしょうね。
1859年、白と淡いブルーのエナメルダイアルの鍵巻き懐中時計
この時計に入札した理由は、写真で見える通りの、淡く綺麗なブルーエナメルのダイアル故でした。上の時計と同じく鍵巻きでして、届いた時計にはやはり鍵は付いていませんでした。
オークションの写真では綺麗に見えますが、実は風防にかなり傷が有りまして、ダイアルが綺麗に見えない状態です。(この写真、どうやって撮ったんだろう)やはり鍵も無いので、上の時計と共に東京まで整備に持って行きました。
それで分かったのですけど、この時計、フュージ巻きだったんです。「鎖引き」と言いますか、私も良く知っている訳では有りませんが、ゼンマイを巻くと細い鎖がぐるぐる巻きつく機構の時計だったのです。確かオークションカタログの説明には何も書いてなかったような、、
結局整備は、ムーブメントのオーバーホールと、鍵別作、風防別作、と言うことになりました。こういう時計まで整備できる所はそう多くないと思います。上の時計と同じく、引き受けてくれそうな所をあらかじめ知らない方や、整備費用を惜しまれる方は、こういう時計はオークションでは手を出さない方が無難ですね。
1920年頃の、深いブルーのエナメルダイアルの懐中時計
はい、ここまで時代が来ますと、鍵は必要有りません。送られてきた時計のムーブメントの状態も比較的良さそうです。
でも、この時計、実物を見て驚いたのは、ダイアルが恐ろしく綺麗、と言うことです。この写真はオークションカタログから取っていますが、実物は遙かに深く青いエナメルダイアルで、この画像では分からないのが残念なのですが、中央から周辺に向かって波状文様が綺麗に出ています。本当にとても綺麗!。
こういうエナメルダイアルって、今でも作れるのでしょうか?
上の3つは、結構「買って良かったな」と思える部類の時計です。でも私は、買うのが上手いのではなく、単にHP書くに見合うものを書いている訳で、つまらない時計も幾つか買っています。
オークションは難しいですね。先にも書きましたが、抜群の知識をお持ちでない場合は、あまり古いのとか怪しいのは、やはりある程度のリスクは覚悟して下さい。