ワインと言うのは、長命な物になりますと40年、50年と持ちますし、また時に従って熟成してそのテイストを変えてゆきますから、何かの記念の年のメモリアルとして、その年のワインを取っておくと言う事は良くあることですね。
なかでも一番ポピュラーなのが、生まれ年ワインでしょう。いまこのページを読んで下さっている方の生まれ年ワインについてはまた後の機会として、その他に、例えば私などがまず考えるのは、子供の生まれ年のワインです。
世の中誰しも子供はかわいいもので、ワインに興味が有る人に子供が出来ると、「その子供の結婚式で出そう」とか、「将来親からの贈り物として渡そう」だとか、「成長と共に過ぎた時間を味わおう」とかの考えで、子供のヴィンテージワインを買っておこうと、たいていの人は思うようです。(当然私もご多分に漏れず、であります)
そこで、「さて、では何時、どう言ったワインを買った方が良いか??」、という事になります。以下は、私見ではありますが、ガイドの1例です。
まず、ワイン保管用の施設が無い方。
その場合は、今すぐワインを買って置いておこうと言う考えは、止めた方が良いでしょう。20年、30年たっても、(価格は当然高くなりますが)たいてい買おうと思えば、(稀少銘柄を指定しなければ)ワインはいつでも買えます。お店で見かけなくても、オークションと言う手もあります。まぁ、どっか探せば必ずあります。
それでも、どうしても心配な場合。また、その年が全世界で大はずれで、どうしようもないのヴィンテージであった場合、また後ではなかなか手にはいらない、珍しいワインをストックしておこうと思うならば、それらを委託して預かって貰う方法があります。そう言う「ワイン保護預かり」のサーヴィスは日本でも数カ所で行われています。ただし管理料はちょっと高いです。
今一つは、買った所でただで預かって貰う手ですね。馴染みの酒屋で、幾らか預かって貰っている方もいらっしゃるかと思います。知り合いならば、頼めば預かってくれる事がありますから、それが可能ですと一番楽ですね。
ただ上記方法は、まわりの環境が全く変わらなければ良い方法ですが、リスクが常につきまといます。酒屋の人が全く変わってしまったり、急につぶれて差し押さえになってしまったりしますと、正直のところどうなるか分かりません。
現に、今年(97年)某ワイン専門商が突然倒産しまして、私は数本ワインを預けて有ったのですが、今の所帰ってくる見通しはたっていません。(どーなるんだろう)
そういう知り合いが何処にも無く、また日本でのワイン保護預かりが高いと思うのでしたら、外国で買ってそのまま預かって貰う事もできます。有名なロンドンのワイン屋ベリー・ブロス(Berry Bros & Rudd)では、買ったワインを長く預かってくれるプログラムが有ると広告されています。価格は分かりませんが、非常に信頼できると思います。よければホームページで確認後、問い合わせてみて下さい。
ロンドンやその他各地には、ワインの保護預かりをしてくれるセラーがあります。価格も日本に比べると格段に安いようです。ワインを並外れて多量にお持ちの方で、普通はそう言う所に預けておいて必要な分だけ取り寄せている、と言う話も昔聞いたことが有ります。
自宅に、ワイン専用冷蔵庫が有る方。
この場合の問題は、その市販されている「ワイン専用冷蔵庫」で、10年を越える熟成が可能か?、という事です。私はこの手の機種を持っていないので、自身の意見は持っていないのですが、多くのワイン上級者たちは、概ね否定的な意見です。(何故ダメなのか、理由は聞いて居ません)
私も本当の事は分からないので、どういう風にするべきかは何とも言えません(ゴメンナサイ)。もしその意見が本当でしたら、そこで保管するのはあきらめて、先の項の内容を参考にする事になりますね。
良いセラーを持っている方。
買いたいワインでプリムール売りが有ればそれで、そうでなくても、市場で見かけたらとにかく早く買ってしまっておきましょう。自宅にセラーが有るのです、他人(つまり流通業者)はあまり信じないに越したことは無いでしょう。
この「出来るだけ早く買っておけ」と言うのは、アメリカなんかで良く薦められている方法です。ですから、アメリカではボルドーのプリムールが良く売れるんですね。
で、どういうワインを買うか。
簡単に言うと、「熟成能力があって長く保管できるワイン」になります。具体的には、ボルドーが良い年ならボルドーの赤、ブルゴーニュが良い年なら、ブルゴーニュの赤、イタリアが良い年ならバローロ、バルバレスコ、ブルネッロetc、等々ですが、結局はヴィンテージによります。
その年のヴィンテージチャートや、雑誌の記事を読んで決めてください。具体的な銘柄は、更に懐具合とも相談して決める事となりますが、買える範囲で一番良いワインを買っておいた方が良いです。
また先に挙げた、長熟赤ワインとは別に、甘口ワインと言う選択も是非考慮に入れて下さい。貴腐ワイン系統ですと、ソーテルヌ、トロッケン・ベーレン・アウスレーゼ、トカイetcです。それと酒精強化ワインの類の、ポルト、シェリー、マディラですね。
通常一番長持ちするのが、これらのワインです。それに甘口ワインですと、いざどなたかと飲むときに、1本で多くの人にサーヴィス出来ます。限られた本数で、より多くの人に感慨を与えることができますから。
私事で申し訳有りませんが、私の長女は91年生まれですが、91はボルドー、ブルゴーニュともあまり良くなく、カルフォルニアの赤と、北ローヌの赤ワインを買ったのと共にに、ヴィーンテージポルトをハーフ、レギュラー、マグナムと買いました。また貴腐ワインは、91はソーテルヌがダメなので、トカイを買いました。
91はポルトでは特別優秀と言うヴィンテージでは無いのですが、中にはそこそこ良いのが出来た様で、通常とはちょっと違う名でヴィンテージポルトを出ている所が有ります(例えば、テイラーならブレンドなしのキンタ名の"Tayor Quinta de Vargellas"、フォンセカなら"Fonseca Guimaraens")。
その買ったポルトの内、ハーフボトルのは後々自分で飲む用です。レギュラーは何かの機会の時に数人の方と飲む為、ポルトのマグナムに至っては、私には飲む機会無いと思いますので、次世代への贈り物ですね。我ながら親ばかかしら、とは思いますが。