一応タイトルは上記のごとくしましたが、別にその会にこういう名前が付いていた訳ではなく、私が勝手に付けただけです。(でも実質的にはその通りですが)
徳島にも、ワイン好きな方がやっている酒屋が複数軒ありまして、地方に在りながらそれぞれ頑張っています。その一つの酒屋さんがワイン好きな方を集めて、「エスプリ・ド・ヴァン」と言うワイン会を定期的に開いていますが、今回は特別にDRCの特級ワインを全種類飲む会となりました。(当然会費もそれなり、、ですが)
ワインはみんなちょっと若いですが、ロマネ・コンティが93年、後が89年と90年と言う豪華さです。ワインリストは飲んだ順に以下の通りです。白は飲む直前に、赤ワインは全て開始時刻1時間前に開栓、デカンタはせずにサービスされました。
- Montrachet 1990 (DRC)
- Romanee St-Vivant 1990 (DRC)
- Richebourg 1990 (DRC)
- La Tache 1989
- Grands Echezeaux 1989 (DRC)
- Echezeaux 1990 (DRC)
- Romanee Conti 1993
私はこれほどまとめてDRCを飲んだことが無かったので、各々の特徴が良くわかって、凄く勉強になりました。
中でも一番印象深かったのが、最初にのんだモンラッシェでした。絶対飲むの早い、と思って居たのですが、大変美味しかったです。色は既に金色がかっていまして、素晴らしく照りがありきらきらしています。非常に濃縮されたテイスト、恐らくオークのヴァニラ味は多いのでしょうが、濃縮された果実味が完全に支えていて、いわゆるオーキーなんて事は全く感じません。フルボディ、深遠な複雑なテイスト、かえってバランスが良いとさえ思えるほどです。香りが少々寂しかったかもしれませんが、これは開栓してすぐ出された事、まだ若い事、グラスが小さめで香りが良くわからなかった事、などから充分納得出来ます。今後このワインはどう熟成して行くのでしょう??。
赤の最初のロマネ・サン・ヴィヴァン90は、かなりハードなイメージでした。大変タニックで、香りもまだ開いて居ず、総じてまだまだ閉じている感じでした。まだ若かった様です。デカンタもせず、最後の方に注がれたため、澱をかなり入れられたのがテイストに影響しているのかも知れません。でも大物ワインの片鱗はありありですが。
実は私はDRCのリッシュブールとラ・ターシュを飲んだ事がありません(多分)。それでも、リッシュブール90のグラスを近寄せた瞬間、やっぱしリッシュブール!、と思いました。香り、漂うような、香り高い花のようなエレガントな香りが、こと当日のワインの中でも一際特徴的でした。テイストはサン・ヴィヴァンほどではないにしろ、かなりタニック、その裏に濃縮された果実味がまだ隠れている感じです。このワインもまだ閉じ気味ですね。最も、このワインでも、グラスに澱を盛大に入れられたので、影響はあるでしょう。
次はラターシュ89。これは素晴らしい。恐らく89と言うことで、先に出た2つの90に比べて、熟成が進んでいて本来の特徴が良く感じられるのでしょう。先のワインと、まず香りが全く違います。極めて複雑な香り、一言で言えば「エギゾチック」な香りです。良く言われる「スパイシー」と言うのですか、そう言えると思います。ただ、それが、他のワインをその言葉を使って形容するのとは、(私の場合ですが)ずいぶん違うように思います。味わいは、濃縮されていて、かつひたすら複雑、こんなワイン飲んだ事がありません。フルボディで、誰かが言っていましたが、筋肉質的な所さえ有りました。その網の目の様な複雑なテイストが極めて魅力的、私は魔術的な印象さえ受けました。
グラン・エシェゾー89はここで、ベートーベンのSQの様な緻密なこれまでのワインから、パッとずっとアクセプタブルなワインに変わった感じです。綺麗な果実味が全面にでた、解りやすい美味しいワインでタンニンもこなれています。私の今までの経験上の「とても良いブルゴーニュのワイン」のイメージに近く、チェリーの香りがかぐわしく魅力的。此処までのワインは、こういう「何々の香り」と言うことが出来ないほど複雑でしたが、その点こちらは割とストレート。
エシェゾー90は先のグラン・エシェゾーととても良く似ています。ただ、畑の格ではこちらが下ですが、これはグラン・エシェゾー89よりもう少し深い感じがします。この差はヴィンテージの差でしょう。先に書いた通り、共に素直に大変美味しいと思えるワインで、ブラインドで出た場合、このワインを一番美味しいと言う人は多いはずです。
ロマネ・コンティ93は、「まだまだ堅くてタンニンいっぱいか?」と思っていたのですが違っていました。タンニンは豊富なんですが、熟成したまろやかなタンニン。明るく輝かしい色調です。何かが突出すると言う際だった特徴は有りませんが、ラ・ターシェばりの複雑さをもち、極めてバランスが良いのです。ミディアムからフルボディ、高い次元で本当に良く整った、完備なワインです。やはり素晴らしいと思いました。
この日のワインを飲んでみて、同じ作り手で有りながら、こんなに違う物かとあらためてびっくりしました。「すぐ隣の畑から、全く違う味わいのワインが生まれる。」わかっては居るつもりですが、これほど明に違うとは思いませんでした。また、とりわけこのテロワールの違いは香りに出るようにも思いました。そう言った所がDRCのすばらしさかも知れません。
私の回りではやはりロマネ・コンティが一番人気でした。私は、難しい選択ですが、ラ・ターシュを採ります。そしてモンラッシェ。でも、どれも大変貴重な体験でした。(もう当分は無いだろうなぁ)