xiphioのワイン雑記帳
ワイン特集雑誌&ムック本総まくり(98年春編)
この4月から(1998年)、NHK教育テレビで、田崎さんのワイン講座も始まりましたね。「ワインブームも極まれり」って感じです。
私はまだ一度も見ていませんが、本屋でテキストを立ち読みした所では、色々な知識よりも、葡萄の品種で分けた、その味わいから入っていますね。ややこしい知識より、より直截な官能から入ることは、結構上手なやり方かも知れません。
それはさておき、また今年もワイン関連の雑誌特集とかムック本が色々出ました。しょうこりもなくまた幾つか買いましたので、またまたそのレヴィユーをしてみます。ただ、1つの雑誌にそんなに真剣に多くも書けないので、結局簡単な個人的感想になってますので、ごく気軽に読んで頂ければ有り難いです。
前回も書きましたが、取り上げているのは一般雑誌のワイン特集号および、単発のワイン関連雑誌ムック本等です。ワイン専門の雑誌については、私の別ページをご覧下さい。
「やっぱりワインは、フランスです」、ブルータス・2/15号
「ワインの新定番」、ブルータス・3/1号
「イタリアワインの教科書」、ブルータス・3/15号
ブルータス、3号連続のワイン特集です。昨年も6/15号と10/15号と2回ワイン特集号がありまして(その前は不明)、この所、ブルータスはワイン特集を得意としていると言って良いと思います。
昨年、初めてブルータスのワイン特集6/15号を読んだとき(それ以前にも有ったかも知れないけど)、その内容の多彩さと情報量の多さ、そしてマニアックさにちょっとびっくりしました。
雑誌ならではアップトウデイトな話題を次々盛り込み、ヒュー・ジョンソンさんやパーカさんはもちろん、多分当時日本の人には余り知られていなかっただろう、クライブ・コーツさんや、ロビンソン女史、フランスのクラスマンの評者の二人(フランスのワイン雑誌"la revue de vin"を取っていたので名前は知ってたけど、この雑誌でこのフランス人の顔を初めてみた)も登場しているのには、何と豪勢な雑誌だろうかと思ったものです。
さて、そのブルータスの3号連続のワイン特集ですが、上記通り特集に表題がついていまして、それぞれなかなか巧い題の取り方と思います。
毎度ながら、数多くの海外取材を行い、少しマニアックな点まで多岐に渡った題材を豊富に取り上げた、中身の濃い特集です。最新の情報に敏感なワイン好きならば、必ず買って既に隅から隅まで読まれている事と思います。
情報量の多さも、文字と写真の大きさを、他出版のワインムック本と比べれて見れば一目瞭然です。大概のムック本は、1ページにブルータスのその半分位の事しか書いていないでしょうね。(その分、文字と、とりわけ写真だけでかい)
実際に書いている人も、ニューワールドやイタリアの方の特集では、各方面に協力を得たり、林茂さんの様な方に書いてもらったりと、海外取材も含めて、お金もずいぶんかけた特集だな、と思います。
ただその分、影響力も絶大で、紙上で行われている試飲会でお勧めとなったワインは、あっという間に店頭から消えるのだそうです。
この3号連続特集に有って一番注目されたのが、「日本のワインバーを評価する。」と銘打たれた、3号にわたってのワインバー・ティスティングです。パート1と2が東京の、パート3が関西のワインバーを取り上げていまして、評者は「ワインバーはほぼ初体験」と言うお二人です。
私は地方に住んでいて、良く知っている方ではないのですが、この雑誌の影響力の大きさを考えれば、割と問題ある内容だったと思います。「歯に衣着せぬコメント」だそうですが、確かに斜には構えているのですが、評論(?)を読んでみても、私などにはどうも今一良く分からないのです。
どうも文章が上手すぎる様です。例えば「客の目計算=店の手計算」などと評価されている値段にしても、何となく意味は分からないではないですが、それがどうしてこう言う単語になるのか、その不思議さと曖昧さに戸惑うばかりです。
自分の本じゃないのだから、お店の評論するならもっと普通に出来なかったのかしら、と思わなくは有りません。読み物としては面白そうですが、実際には余り役にはたたないと思いました。
BROUTUS Favorite Wine Book III
私が何故こんな小冊子を買ったのか不明ですが、内容は表題通りの、いろんな人に好きなワインを選んでもらっただけ、と言う至ってシンプルな内容です。
「ヒュー・ジョンソンから管直人まで、ワイン好きが選んだ1000本」
マガジンハウス(¥997)その合間には、以前ブルータスで取り上げた記事をそのまま載せています。以前の特集を読んでない方は役に立ちますね。
ワインを選んでもらって、何が面白いかと言うと、多分「へぇ、こんな人がこんなワイン」って思うだけでしょう。結局、それを楽しむ小冊子であります。
「だから今、あえてワイン」Meets3月号
ブルータスが東京(=全国版)の「ワイン派」の雑誌とすれば、関西地区ではそれはミーツで有りましょうか?。(何故?が付くかと言うと、私の所ではこの雑誌は売っていなくって、本当のところは良く知らないのです。)
京阪神エルマガジン社(¥390)そう言う立場だからかせいか、全体に漂う雰囲気は、ワインスノッブやその他に対する「アンチテーゼ」。表紙に何となく現れて居るかも知れませんが。
海外の取材は(当然ながら)一切なし、地場のお店の取材と、変わったとこでは「温泉+メシ、ワイン」のお勧めコースを8ページに渡って特集しています。
最高に面白いのは、2ページしかないけど「ワインな方々、今昔物語」というパロディ記事、後は、関西4著名人での座談会、うーん、でも何だかかわいそう。
それでも、私も関西の人間だからでしょうか、この様な雑誌結構好きです。
「ワイン通よりワイン好き」dancyu別冊
ついにdancyuもワイン特集ムック本を出しました。やはり他のムック本と同じく、やたら写真がでかいのがやはり気になりますが、さすがに内容は割と豊富な方です。
プレジデント社(¥1155)前半は4千円未満まで、各価格帯別のデイリーワインのテイスティングレポートです。こういう特集は最近何処でもやっていますが、本当に役に立つのでしょうか?。
販売店が載っていますから、そこに行けば(売り切れていなければ)手にはいるでしょうが、それが出来ない大勢の方はどうするのでしょうか。
通販と言う手も有りますが、そこまでする価値が有るか、ちょっと擬問です。それに、売り切れている可能性大です。続けて入荷する事もそれほど考えられないし、この価格帯のデイリーで銘柄を覚えておくメリットも余り無いと思えます。
なぜなら、この価格帯は種類も大変多いですし、お買い得な良いワインも多い事でしょう。取り上げられたワインは、たまたま編集時にアヴェイラブルなワインと言うだけで、時期が違えば、全く違ったラインナップになるでしょうから。
後半は、フランス、イタリア、カリフォルニア、オーストラリア、ドイツまたその他の産地について、割と偏り無く丁寧に取り上げていて、なかなか好感が持てます。
記事の内容については、カルフォルニアの堀さんの様に専門家の筆によるものと、それ以外のライターによるものに分かれていますが、それにより内容は、解説と紀行文に分かれます。ワイン専門雑誌でないので、どちらがどうとは言えませんが、、
「田崎慎也のワインライフ創刊2号」日経ムック
季刊ワイン雑誌のワインライフ、創刊第2号です。大まかな内容は創刊号とあまり変わらない感じですが、実際には読むべきところが増えたように思います。
日本経済新聞社(¥1260)テイスティングはブルゴーニュの白とオーストラリアですが、デイリーのそれとは違って、覚えておくべき銘柄(それと作り手)が並んでしまして、今は買わなくても今後の参考になる、「意味のある」テイスティングレポートです。
創刊号からの傾向である、女性を意識した「ワイン関連女性誌」の路線は変わりませんが、そう言う雑誌だと思えば良いし、中にオーパス・ワンの垂直とかも有って興味深くは有ります。
ただ!、ただ!!、前も書いたけど、
この「ソムリエ物語」と言う漫画は、
本当にどうにかならないものでしょうか?こんなひどい漫画は、そうそう有る物じゃないです。読んでいても、あまりにも芝居がかって「くさい」ストーリーに、読んでいる方が赤面する位で、通常に精神状態ではとてもまともには最後まで読めません。
このページを書き直している時点で次の創刊3号も出ていますが、何と驚く事に第3話は、更にくさく、更に無茶苦茶なお話になっています。早く止めさせて下さい、それともそれを「売り」にしてるのかなぁ。
「ワインの王道」料理王国4月号
料理王国がワインを取り上げることは、過去にも何度か有りました。今回は「楽しむことがワインの王道」と言う副題になっています。
料理王国社(¥970)内容から見ると、正確には「レストランで、ワインを楽しむ王道」と言う感じで、各有名レストランのワインリストを肴に、解説を加えていまして、他の雑誌のワイン特集とはちょっと様相が違いますね。
また後半に「ワインリストに良く出るワイン」と言う記事もあって、レストランでワインを楽しむ為にはなかなか良い特集になっています。
ワインバーを取り上げるのも、「ワインバーで教わる、つまみ」として、料理の方にウェイトを置いています。他と余り重複しない内容には、それなりに面白くはあります。
「ワインのプロの質問に答えます」と言う、質問と答えのページは、4ページと少な目ながら結構つっこんだ話題で為になりました。
「京都・大阪・神戸 レストラン&ワイン最前線」
先に挙げたミーツの別冊ガイドブックです。ぱっと見には、巷に良くある関西地区のレストランとバーのお店のガイドなんですが、内容はかなりワインに偏っていまして、お店ガイドで無い記事の部分もかなり有るんですね。
Meets Expert 02
京阪神エルマガジン社(¥880)そして、その殆どが、ワインに関する記事です
お店ガイドの方も、関西地区のかなりな所をカバーしていまして、ワインバーも編集当時のお店を殆ど取り上げています。
新たに出来る店も多いでしょうが、まずはこれ1冊有れば、ワイン好きの方が関西で遊ぶにはまず不自由しないでしょう。関西出張時の必携本と言えます。
「ワインで茶会を」なごみ5月号
淡交社(¥840)茶道関係の雑誌を出している、淡交社の雑誌です。一応お茶関係の雑誌なんでしょうが、(ご存じの方は少ないかと思いますが、人形箱作家の)ムットーニのルポもあったりして、ちょっと驚いてしまいます。
実は、私も以前、少しはお茶を習っていまして(いまや恥ずかしながら殆ど忘却の縁に有るのですが)、一応「宗和」と言うお茶名も戴いております(裏千家です)。
しかしその私にしても、お茶とワインを結びつける様なことは、この雑誌のタイトルを見るまでは思いつきもしませんでした。
メインストーリーは、ワイン好きでかつお茶好きの麹谷宏さんが、シャヴァリエ・ドゥ・ターストヴァンの称号を受けられたので、そのお披露目の茶会において、その前後をワインでもってもてなす試みです。
詳しくは本誌で確認して欲しいのですが、まず待合いはシャンパーニュで、懐石はワインで、、云々となっています。
後は、懐石の時にはどんなワインが良いか、などのおすすめが幾ページか続きますが、こちらの方は、いつもながらちょっとつまらないですね。
ワイン茶会も試みとしては面白いでしょうが、あまり美味しくて飲み過ぎて、赤ら顔でご機嫌に酔ってしまっての茶席では、どうなのかちょっと疑問です。まぁ、あまり飲まなければ大丈夫でしょうが。
「ワインをもっと」 Hanako WEST 6月号
Hanakoの関西版です。関東版のHanakoにも時折ワイン特集が有る由ですが、関西の私には手に入りません。
マガジンハウス(¥490)表紙の一番大きな見出しは「ワインをもっと」となっていますが、その上の「関西で、いま評判のバー87件大情報」ってのがこの雑誌の内容を正しく伝えています。
その中で、ワインバーを結構重点的に取り上げているだけで、正確に言うとワイン特集と言うわけではないですね。
ただ関西でもワインバーのオープンラッシュで、より新しい情報を仕入れるためには、より新しい雑誌を参照する必要がある、と言う意味では役には立つかも知れません。本当に様々なワインバーが出来ていますね。都会は楽しそうだなあ、、
それより、この雑誌であっと驚く広告を見てしまいました。左に画像のあります、「世界初!、赤ワインダイエット」です。このページを見た時は、さすがにのけぞってしまいました。一瞬パロディのページかとも思いましたが、どうやら本物の広告のようです。
この種の広告の常で、良く読んでみても詳しい内容ははっきりしないのですが、どうやら「赤ワインを飲む」と言うことでは無い様です。
赤い色のジェルでのマッサージが、「ボジョレール・マッサージ」ですって!、本当にパロディのページみたいです。
はっきり言って、下手なワイン特集の記事よりずっと面白いです。
「おいしくワインの飲める店」 Hanako 5・20号
先に関東版のHanakoは手に入らない、と書きましたが、5月に東京に行った時見かけたので買ってきました。
マガジンハウス(¥340)内容は、全く上のHanako WESTの東京版です。「おいしくワインの飲める店」と言う題の通りです。それ以外の記事も少しは有るんですが、まとまった物ではないです。
無理にこのページで取り上げる必要は無かったのですが、関西版も紹介したので(内容と言うより、広告が面白かったので)、ついでと言う感じです。