xiphioのワイン雑記帳


ワイン特集雑誌&ムック本総まくり(98年夏秋編)


前回も書きましたが、取り上げているのは一般雑誌のワイン特集号および、単発のワイン関連雑誌ムック本等です。ワイン専門の雑誌については、私の別ページをご覧下さい。

画像をスキャンして書き始めたのは98年の夏なんですが、UPは次の年に成ってしまいましたね。完全に時期を外していますが、別にそう言うことを狙っているわけでもありませんので、まぁいいか、、と今頃公開します。

で、その時期に下書きをしていなくて、今頃になって解説しようとしたのに、既に雑誌がどっか行ってしまったのがありまして(モノ・マガジンの特集です)、しょうがなく画像だけ載せました。申し訳なし。



「イタリアワイン、美味しいのはどれか?」
Pen6月号
TBSブリタニカ(¥490)

97年秋冬編で取り上げた、ギリーと言う雑誌が誌名変更して再出発したのが、このペンと言う雑誌ですが、またワイン特集です。

昨年のギリー時代のワイン特集は、全てに於いて中途半端だったのですが、今回はフォーカスをイタリアワイン、それもピエモンテ、エミリア・ロマーニャ−とトスカナに絞った特集で、なかなか良いワイン特集でした。面白かったです。

メインは、その地方の各作り手の取材です。取材した人次第なんですが(専門家では無いのでしょう)、記事が残念ながら紀行文していまして、作り手の最も基本的な紹介があまりなされていません。

例えば、そこの作り手の各ワインが写真入りで出ているのですが、金額は載せてあるのにそれ以外の、例えば使用葡萄品種とかの各ワインの解説が無いので困ってしまいます。(本文中でふれているのもありますが)

後は、畑の広さとか場所とか、大体の生産量とか、折角取材に行ったのに、殆ど書いていません。とは言え、これはワイン専門雑誌ではないので、本当はそう言う点まで批判は出来ないですね。

と、ここまで書いて思ったのですけど、よく見てみれば、どの雑誌の紹介記事だって(ワイン雑誌だって)こんな感じで、むしろこれは良くできている方で有るように思えてました。




「王様のキッチン、ワインに夢中」河出夢ムック
河出書房新社(¥1200)

まず、巻頭言にあたる諸井薫氏の文、「酒は静かに飲むべかりけり」には、まぁどうかと思います。(記載内容を解説しようとすると長くなるので、あえてしませんが、、)

ワインって、お友達なんかと、わいわいがやがや、好きなこと適当なこと、色々言えるところも、またその楽さじゃないかなぁ?。

「黙って飲め」なんてあまりに教条的、それじゃあ何も楽しくないですね。「楽しく無ければワインじゃ無い」とも、個人的には思いますが、、

「だいたい酒類は自分が昔から馴染んだ銘柄が一番舌に合うのであって、ワインもまた例外ではない」と言い切っているに至っては、一体何言ってるんだろう?、と真意を測りかねる思いです。

さだめし、あっちこっちにワインに関しての文章を一杯書きすぎて、多分他に書くことがなくなってしまったのかも知れません。

「そう言う風に言っても良い状況」ってのも確かに有るでしょうが、ここの文章にしてしまうには、やはりちょっとまずいですね。どうやら、そう言う感覚も麻痺しちゃっている感じがします。

さて、雑誌の内容は良くある、有名人やプロの料理人等の、そして各地のショップでの、「おすすめ安くて美味しいワイン」の紹介、そしてワインの飲めるお店の紹介、とまぁ定番がラインアップされます。

ただ、併せて載っている簡単な料理のレシピも、ワインに合せて何かと思っている料理好き方には良いかも知れません。

その他に、「ワインと料理のおいしい旅」と題された、今までは比較的無名だったけど、現在結構注目されている作り手などの海外取材があって、タイムリーでもありこの記事は結構面白くありました。



「田崎慎也のワインライフ創刊3号」日経ムック
日本経済新聞社(¥1260)

本当に、創刊号と創刊2号での印象と、殆ど同じ印象の創刊3号です。

同じパターンでずっと来ています。未だに、本当に写真と文字が大きく、空白の多い、大ざっぱないかにも「ムック本」していまして、今後、月刊雑誌化する気配も感じられません。

最低最悪のワイン漫画も、その度合いを増しながらついに第3話となってます。今回のお話も凄いです!。

この雑誌、買うのも少し飽きてきましたし、感想を書くのも飽きてきました。次号ももしかしたら買うかも知れませんが、以後この様なレポート書くことは無いと思います。



WINE Magazine 創刊号
オータパブリケイションズ(¥1200)

またこんな季刊雑誌が出ている、と思いきや、イギリスのWine Magazine誌と提携しているんですね。

このイギリスで出版されている提携元のWine Magazineと言うワイン雑誌については、私は以前から購読していまして(98年現在購読中)、また、ワイン雑誌図鑑のページにも紹介していますので、良かったらご覧下さい。

イギリスの専門誌と提携したとは言え、本自体は、堅い紙質に大きな写真、それとすかすかな記事と、見事に「ムック本化」していますし、殆どの部分を占める自前の記事は、このページの上だったり下だったり、また隣のページだったりに表紙が出ているムック本の内容と、それほどは違いはなかったりします。

でも、やはり提携元Wine Magazineからの翻訳である、日本にはあまり居ないワイン評論家のエキスパートたちによる巻頭の幾つかのコラムは、確かに読むべき物です。

それに比して、「酩酊図書館:007は永遠に不滅です」「世界に三番目に簡単なワイン通への道:3級秘技ドングリコロコロ試飲法」などは、、、電車の網棚に捨て置かれる週刊誌あたりの、後ろの方の、紙質の悪く色の付いたページが、掲載されるにふさわしいかと思います(最も、私、その部分、1/5位しか読んでいないけど)。



「ワイン心酔」
モノ・マガジン、7-16
ワールドフォトプレス(¥620)

「さて書こうかな」、と思った時には、雑誌が見あたらなくなっていました。それで、解説無しです。すいません。



もっと賢くワインを飲みたい!
別冊宝島 398
宝島社(¥1100)

ついに宝島からもワインの特集です。全体を取り仕切っているのが、入江敦彦さんと言う’61生まれのフリーライターの方です(良く知らないのですが、ワイン専門家、ではないと思います)。Part1の「ワインを愉しむための10のステップ」は全部この方が書いていますし、Part2以外の多くの部分を書いています。

まぁ私もそうなんですが、素人が書くとどうも肩に力が入るらしく(私と同列にすると、入江氏に失礼でしょうが)、もっともな内容も多いのですが、そのPart1の10のタイトルからして「**するな!」と言う禁則表現がずらりと並んでいるのには、ちょっと気になりました。そういう気もわからないではないですが、何かの教則本では無いんですからねぇ、、

Part2は各国ワインの紹介、Part3がワイン選びのガイド、Part4は「ワインをもっと楽しむために」について、Part5がショップ案内と続いています。カラーページは殆どなく、写真も小さめで記事が多く読みごたえはあります。

中でもPart3中の「日本の大手ワイン輸入代理店各社の、傾向と対策」と題して、ロンドンのワイン商のメル・ハーヴェイ氏に、日本の輸入代理店のリストを評論してもらう記事は、なかなか結構面白かったです。でもだからって、ふつーの人には余り意味の無いのですけど。(だから本文中にも触れている様に、幾らかおたく的ではあります)

その様に、概ねこの宝島の特集は、他誌の特集記事のどれとも似ていない内容が多くて、また書いている人もかなり特徴があり、面白い存在です。



陶酔!「ワイン大全」'98
ポタTOKYO 10/6 No.19
小学館(¥320)

徳島在住の私には、全く記憶に無い雑誌名です。どういう雑誌だか解らないのですが、TVの番組表とかもありますので、総合情報誌、なんでしょうか?

「ワイン特集」と言っても、実は(先のhanakoの特集のように)大した事無いのでは、、と思っていましたが、実際手に取って読んでみますと、以外と力の入った特集となっていました。

およそ60ページがこのワイン特集に割かれています。内容はどこでも良くある様でありながら、少しづつ特徴をもたせているのも有って、「また、この話かよ?」と思わないで(思ってしまう箇所も多いけど)読めますね。

例えば、最近どこの特集でもやってます「**円以下の美味しいデイリーワインを探せ!」というお題目でも、南半球のワインに限定してみたりしてます。

そして更にその次が、その同じ地域で(安くて)ボルドー1級に匹敵するワインを探す、って記事になっているのも、結構面白いですね。

実はこの項でニュージーランドのそのようなワインを紹介して欲しいと私の所にmailがありまして、幾つか選んだのですが、殆ど日本には入ってなくて当然写真も無いので(家にはみんな有るんだけど)、予想通り実際の記事にはなりませんでした。

全体的には、ワインに関しての詳しい知識とか、難しい事は余り無く、単なる流行先端発見の特集になっていますが、こういう雑誌はそれで良いのではないでしょうか。何度も読み返す本ではないし。



いきなり本気でワインの特集
Meets Regional 1998/10 No.106
京阪神エルマガジン社(¥420)

毎度ながらの、Meetsのワイン特集です。ブルータスの様な全国雑誌と違って、この関西出版雑誌の使命として、関西地区の(実際には京都、大阪、神戸だけですが)タウン情報誌と言う名目があるでしょうが、今回はわりとそれに沿った内容の様に思えました。

つまり地場の取りあげている関連店舗の数が多く網羅的で(もちろん漏れもありましょうが)、その点で情報量大と言えます。つまり「実際に役に立ちそう」って事ですね。

そしてまたまた毎度ながら、結構面白いですねこの雑誌は。関西ならではの(ルサンチマン入りなんですが)面白さってやっぱりありますし、地域限定雑誌ならではの批判文とか(かわいいものだけど)もあります。例えば巻頭言の「Edi Front」で、有る本に書いてあったある音楽家の行状について、「こいつ、こんな奴やったんか」云々と書かれています。

その内容は長くなるので書きませんが、多分誰でも同じように思うでしょう。でも全国雑誌だと、そう言う批判めいたことはやはり書けないでしょうね。有名人を出すのに執心な所は、今後その方に登場願うかも知れませんし、、。

この雑誌、東京の方が読めないのが、かわいそうでもあります。大阪だってブルータスは読めるし、真の先進地は関西か!?。

所で、大昔私がはじめてワインバーなるものに行ったそのお店、神戸の「アペラシオン」はとある理由により暫くはこのMeetsに取りあげてもらえない由。情報誌は別に公平で有る必要も無いし、また全能でも無いと言う事です。