2000年2月 今月の印象に残ったワイン


昔は(と言っても5、6年前ですが)、「オークション」と言っても、日本では、一般向けのそれはあまり開催されておらず、普通の一般人にとっては縁遠い存在ではなかったかと思います。

でも、宝石や絵画などのように大層高価なのは除外するとして、比較的個別単価が安いものは、海外などで行われているオークションなどに書面による入札を行い、時折落札することはそれほど難しい事では有りません。(それでも、時折英文で用件をFAXすることも有りますが) HPにも書きましたが、私の場合は、教えてもらってワインを買い始めたのが最初です。暫くはオークションで海外からワインを随分買いました。

それは当時は本当にワインは安かったのです。今はかなり高くなって、そろそろ送られてくるリストを見る気にさえならなくなりました。(もし売っているなら)日本で買った方が安いと思われる物が、大変多いのです。現在は、空輸コストをかけても海外のオークションでワインを買うことは、手に入りにくいワインなどの場合を除いて、あまりメリットが無いように思います。

さて、手続きの結構大変なこれまでのオークションとは違って、最近インターネット上で盛んに行われていますオークションは、面倒なカタログ購入も必要なく、入札もリアルタイムにおこなわれまして、簡単に参加できて面白いですね。

私も、ヤフー・ジャパンのオークションに参加しまして、1、2品、物を買いました。ただし、最初に一度ワインの所を見たのですが、出品ワインの価格があんまり高いので吃驚してしまいました(この所ずっと見ていないので、最近の動向は分かりません)。「そんな値段で買うのなら、俺が売ってやるよ」とついつい独り言を漏らしてしまいました。あのくらいの感じで売ると、私もきっと結構な儲けになりますね。

でもまぁ、ワインと言うのは、「基本的に中身は飲まなければ分からない」ので、私としては、不特定個人相手に売るのはあまりやっていませんが。

色々な知識レヴェルの人が沢山参加すると、オークションというのはいきなり不当なほど高価になってしまうのは、以前にもクリィステーズの東京オークションで経験しましたが、それと同じですね。

最も、そのレヴェルがずっと維持されるなら、その価格が標準と言うことになるのは、当然の事でして、私としましては、そうならないことを願うばかりです。




Barca Velha 1978

ポルトガルのロマネ・コンティとも言われることのある、(その方面では)有名なワイン。ワインブームであったとは言え、まだヴェガ・シシリアの様には名は知られていないですね。

殆ど見かけないワインであるのだけれど、暫く前にとあるオークションで発見。このぐらい出せば、他の人は買わないだろうと思って入札したのに不落札。あれぇ、と思っていたら、落札したのは何と大阪の知り合いの方でした。と言うわけで、1本譲ってもらったこのバルカ・ヴェーリャ78を誕生日に飲んでみました。

ポルトガルの78と言うことで少し心配もしたのですが、コルクは充分、色はエッジにオレンジが入るものの中央は濃くまだ大丈夫そう。香りは最初は揮発性のある香りがしたものの、テイストはしっかり。

甘く長く尾を引くアフターなどは、まるで良く熟成したブルゴーニュを少し力強くしたようで、なかなか素晴らしい。そう考えると「ポルトガルのロマ・・・」と言う表現も、全く的はずれではないかも、、でもテイスト縁の力強さなんかから、強いて言えばネッビオーロに近いかな、とも思う。でも双方に比べると、ちょっと品位が足りない気がするが、、

暫くするとちょっとへたって来た感じ、こうなると平板でちょっとブルゴーニュやバローロの一流所とはイメージが違ってくるけど、良いワインには間違いない。ちょっと田舎者っぽくあるけども。




Bonnes Mares 1988
Louis Jadot

さ、さすがに素晴らしく美味しかったです。丁度飲み頃にさしかかったワインで、これこそグラン・クリュですね。久々に感動ものでした。

確か88のジャドーで、同じ位のワインを(やはりボンヌ・マールだったと思うんだけど)人から譲ってもらって、その夜に友人とすぐ飲んだ事がありますが、その時より断然良いです。やはり状態の違いでしょうか?。




Vidal Reserve Cabernet Sauvignon 1995

またまた登場のニュージーランドの赤ワイン。フランスほどでは無いですが、NZにもヴィンテージ差が有りまして、それによると95はあまり良い年ではないみたいですが、このヴィダルの95は美味しいカベルネの手本の様に良いワインです。

「美味しいカベルネ」と、書くとカルフォルニアのワインを考えそうですが、思うに、NZのカベルネ(及びそのブレンドワイン)は、むしろ「ちょっと早飲み出来るボルドーワイン」に近いと思います。いわゆる新世界のカベルネのワインで、ボルドーに近いのがNZのそれでは無いでしょうか?、と言っても、私、チリとかアルゼンチンのワインは殆ど飲んでいませんので、えらそーな事は言えませんが、、

ヴィダルは、最近日本でもよく見かけるヴィラ・マリアの所有するワイナリーです。前にも書きましたが、ヴィラ・マリアはヴィダルとあとアスク・ヴァレーと言う優秀ワイナリーを持っていまして、それと元々のヴィラ・マリアのリザーブを加えて、3種のトップクラスのワインが有ります。

一般的評価はそれぞれ良く似ていますし、アクス・ヴァレーは飲んでいませんが、ヴィダルは先に書いたとおりの、早飲み出来た良くできたボルドー、って感じで、流石に割と良いように思いました。




Intistieti 1992
Soldera

ソルデーラと言えば、モンタルチーノでブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・カーセ・バッセと言う素晴らしい(価格もブルネッロで一番か)を作っている所です。

このインティスティエッティがどういうランクの物かは実の所ちゃんと確認していないのですが、92と言うイタリアとしてあまり良くないヴィンテージでもあるし、恐らくカーセ・バッセのセカンド扱いなんだと思います。(それでも、ほぼ1万円します。)

作っている本人は、噂でも、また実際に会った人に聞いても、「すっごい変人」らしいですが、そのワインは全く素晴らしいです。カーセ・バッセを何度か飲む機会に恵まれましたが、私としてはブルネッロと言う枠を越えて、素晴らしいと思います。

この92のインティスティエッティの評で、良いと言うのと、期待したほどでは無かったと言う、二通りを聞いたことが有りまして、丁度持っていましたので自分でも確かめてみる事にしました。

色はきょうびのイタリアワインとしてはちょっと薄い目で、果実実が厚いワインでは有りませんが、フィネスを持った大変良いワインです。丁度飲み頃です。こういうワインは、グラス1杯だけではよく分からないでしょうね。私はこの手のワインは大好きです。

ただし、色が示しているとおり、凝縮感とか、偉大さとかは希薄でしょうか。そういう意味では、この価格は少しネックかもとも思いますが、世の中にはヴォリューム感だけで中身のない高価なワインも多いですからね、、




Villa Creces Crianza 1995

パーカーさんがワイン・アドヴォケイト誌で激賞して、有名になってしまったワインです。(クリアンサと有るように、スペインのワインです)

そのパーカーさんの評論と共にアメリカのリストで見かけたので、買ってみたワインです(私も結構ミーハー)。元はそれほど高くないのですが、日本にインポートしますと送料やら何やらかかりまして、結構高くなりました(1本あたり7千円少し)。

そのパーカーの評論でも生産量が少ないことを書いてあったので、日本じゃまず手に入らないと思って、高くなっても納得して買ったのですが、この前東京に行ったとき、ふと、やまやを見つけ入ってみると、なんとこのワインが置いてあるでは有りませんか!、それもすごく安く(半額くらいだった様な、、ヴィンテージが違えばまだ救われるのですが、ヴィンテージさえ同じ!)。

そんなわけで、早いかなと思い、大事に取ってあったこのワインを、まず1本飲んでしまうことにしました。

正直今まで聴いたことがないワインだったのですが、パーカーさんが評価している通り、さすがに濃くて結構美味しい。で、明らかにスペインワインらしいです。記憶の中で近いのが、やはりアリオン、そしてペスケラ・クリアンサでしょうか。ただそれらと比べて、ちょっと洗練さにおいて欠ける物が有るようです。

そのせいか、グラス何杯かまでは美味しいですが、そう多くは飲めないですね。やまやで見かけた価格ならお買得ですが、私が買った値段ですと、ちょっとどうかな?、って感じです。