2000年4月 今月の印象に残ったワイン


私は知らなかったのですけど、タンザー氏のワイン雑誌、IWC(インターナショナル・ワインセラー)の日本語版は休刊になると、mailで教えていただきました。確認したところ、 Issue 88号をもって終わりだそうです。その88号には「次号は4月17日発売予定」と書かれていますが、発売直前になって決まったそうです。

私の様な田舎住まいの身では、そうでなくてもワイン雑誌は1、2種類を除き殆どみかけませんでの、それまで全然気が付きませんでした。(IWCは、大阪や、東京にたまに行ったときに、まとめて買っていた)

一時、季刊や隔月のワイン雑誌がかなり発刊されて、(ワインライフ以外は)結構楽しみにしていたのですが。あらぁ、本当にワインブームは終わったのかしら、と思ったりします。ついでなので、昨年秋に第6号を買ったきり、最近全然見かけない Wine Magazine も出版元に確認しましたが、7号が3月に出ているそうです(知らんかった)。8号からは、出版元が変わり、次は(確か)6月頃に出るらしいですね。まぁ、色々ありそうです。

でも、目を転じれば、小さな様変わりも有りますが、相変わらずワインバーは色々出来ていますし、新しいお店も、また以前からのお店も、(良いお店は)結構お客さんで一杯の様です。日本の人にとって、お酒としてワインを飲むことはとりたてて特別な事では無くなったのは、事実のようですね。

さて、ワイン雑誌と言えば、その草分けのヴィノテークが創立20周年なんだそうです。私は16、7年位前から読んでいるので、まだ20年なの?、と言う気もします。最近発刊の雑誌とは違って、写真も控えめでカラーページも広告以外は殆どない地味目な紙面ですが、昔から殆ど無意味だと思っていたテイスティングの項が無くなってからは、興味深いレポートも色々あり、「さすがに昔からの専門誌」と思っていました。

でも、20周年を控えてきたからでしょうか、この所やたら過去の記事の引用が目立つのには、正直「?」です。1回や2回は回顧の意味で良いかも知れませんが、最近特に酷いように思います。ワインの世界、特にこのごろは変化が激しいので、過去の記事なんて読んでどうなる物では無いと思うのですが(事実読む気もしない)、、正直私には手抜きみたいに見えてしまいます(読んでいないので、断定は出来ないけど)。

でも、さすがにそう言う記事はもう出ないでしょう。表面的なワインブームも落ち着いてきたようですが、すでに日本に定着したワイン愛好家、ワイン好きに人のために、良い紙面をお願いします。




Beaune Epenottes 1985
Domaine Mussy

久しぶりのボーヌのワイン。同じブルゴーニュでも、コート・ド・ニュイに比べて派手さに欠けるし、また外れのワインも数多いので(私だけかも知れませんが)、買うときはどうしてもニュイ中心になってしまうのだけど、このボーヌは大変良いではないですか!!。

開けた時から素晴らしい素性、10分してその判断が間違いで無いことを証明するように、アフターがとても長くて綺麗です。数分にわたり鼻腔に芳しい香りが残ります。組成は細やかでかつ複雑です。

色は幾らか薄くなってきていて熟成のピーク、でもとてもクリアー。力強さは既に無いけれど、素晴らしいフィネスがあります。大きく包み込むような広さがあり、本当に見事でエレガントなブルゴーニュ。

ただし、何時もマスキュランなイメージが残る、DRCやルロアあたりとは違うようです。人を圧倒させるようなものはあまり無いのだけど、極めて魅力的で広大なアフターを持つ、すばらしく見事なワイン。

でもこんなブルゴーニュ、飲む機会って無いんですよね、本当に。たとえ複数本持っていたとしても、特にこの様なワインは、次のボトルもまた同様だとは、あまり確信を持って言えないし、、




Batard Montrachet 1985
Louis Jadot

本当にジャドーのこのクラスの白ワインは、何時飲んでも素晴らしいです。もう15年も経つ白ワインなんですけどねぇ、、

同じ作り手、同じヴィンテージで、シュヴァリエ・モンラッシェ・ドモワゼルは何度も飲んでいますが、ちょっと印象が違います。

こちらのバタールの方が、ちょっとミネラルが多くて堅い感じ、ドモワゼルはもっと開けた美味しさを持っています。ドモワゼルは何度も飲んだせいでしょうか、私はこちらが気に入りました。(でも、もう無いのだけど)




Ch. Latour 1982

一人で飲むワインは、あまり面白くない物です。加えて、思い入れがあったり、良いワインだったりすると、「一人であけるのはどうも・・・」って事になります。
(何故だか分かりますか?、こう言うワインを飲むときは、誰かにその思い入れだったり、ワインの良さを話したいものなんですね!。でもあまり大人数だと、自分の分が少なくなるので、まぁ4、5人くらいでしょうか)

そう言うわけで、少人数で飲むときは自身楽しみなワインを持って行きます。上のバタール85もそうでした。その時、友人が持参して飲ませてもらったのが、このラトゥール82です。

これって、今幾らするんでしょう?、このワインばかりは昔から結構高かったので、私も持っていません。

食事の始まるちょっと前にデカンタして、白を飲んでから飲み始めましたが、そのせいかタンニンが引っかかる事なんて全くなく、やはり大層素晴らしいワインでした。

若いめのカルトなカルフォルニアワインの様に、人を吃驚させるような美味しさ濃さは有りませんが、とにかく素晴らしくバランスが良い。緻密でありながら、均整がとれているために、言い方を変えると、スムーズとも言えそうな位飲みやすく、素直に美味しいワインです。

こういうワインは、最初は「以外と飲みやすい」(デカンタのせいでしょうが)とか思いながらも、口にする度にその持つフォルムの見事さと気品の高さに感銘を受けます。やっぱりテロワールと伝統の技故なんでしょうか。




Ch. Trotanoy 1985

トロタノワの80年代半ばはあまり評判は良くないですね。特にこの比較的良いヴィンテージ85のトロタノワは、パーカーさん85点という、どうでも良いような点数になっていまして、批評も「期待はずれ、云々」と結構けなされています。

そんなワインが手元に有った物ですから、(人には出せないので)一人で飲んでみましたが、これが大層美味しいので、びっくりしてしまいした。

知り合いも「軽いよ」とは言っていたのですが、確かに濃縮されたワインでは無く、色も薄めでしたが、それはそれで、「ポムロルのメルロのワイン」って言う雰囲気とテイストで、とても美味しく楽しめるワインでした。私は素晴らしいワインと思います。

これを書くとき、C.コーツさんの批評はどうかな?、と本を見てみました。確かにC.コーツさんの批評も総論はあまり良くはないのですが、中に「But very Merlot.」と言う一文があります。なんだかとても良く分かるように思えたりします、、

とにかくこのワインは大変気に入りました。実は2本有ったのですが、1本は某所に売ってしまったのです(評判も良くなかったので、買値とほぼ同じで、すごく安く)。失敗したかな?、と思っています。(でも、そちらのボトルも美味しいとは限らないのですが、、)




Kumeu River Chardonnay
Mate's Vineyard 1997

度々(「ドド」って読んでください)登場する、贔屓のNZワインですが、その中でも白で一番気に入っているのが、このシャルドネです。このクメウ・リヴァーについては、何年か前にNZに行ったとき訪れまして、その時の事などは「xiphioのニュージーランドワイン・エトセトラ」に書いてありますので、良かったらご覧下さい。

普通はクメウ・リヴァー・シャルドネと言うワインを作っていますが、その中でも単一畑物がこのメイツ・ヴィンヤードです。

そうは言っても、このクメウ・リヴァーに寄った時は、このメイツは飲めませんでした(売り切れで買うことも出来なかった)。それでも、そのシャルドネの良さに、鮮烈な感銘を受けました。

このワインは後でNZの酒屋さんから送ってもらったものです。実は先に1本試しに開けてみたのですが、それがどういう訳だか色が凄く濃くなっていて、味もヘンな風に濃厚で「えー、前に飲んだのと全然違う!」と、幾らかショックを受けていたのですが、「そんな訳はあるまい」と思い直し開けたワインです。

結果はその思いの通り、やはりこれは私の大のお気に入りのワインです。味も濃厚で無ければ、樽香もそう強くなく、強いて言えば明確なインパクトには欠けますが、大変良いストラクチャーとバランスを持っていますね。他のNZワインと比べると、やはり少し品が良く完成度も高いようです。

その日は久しぶりに遊びに来た友人を交え、ワインを各種4本ほど出しまして飲みましたが、中でもこのワインが一番評判が良かったです。(私も結構嬉しい)