7月、友人宅でワイン会が有りました。結構古いワイン好きの仲間の会で、彼の家でのこのワイン会は、このところ毎年恒例となっています。だた私は地理的にちょっとばかり離れているので、今までは垂涎のワインリストを後で眺めるばかりでしたが、今回は念願叶い初めての参加しました。ここのワイン会の特徴は、とにかく古いワインがぼこぼこ出ることです。これは単にその家主の趣味ですね。私もワインと言えば、そこらの人に比べれば結構古酒好きと言えるかも知れませんが、彼にはかないません。
ワインリストは以下の通り、全て家主たる友人の持ち物です。ここのワイン会は、食べ物の持参は歓迎するけど、ワイン持ち込みは厳禁!、なんです。
今回も見事に古酒が揃っています。いつもなら、ボルドー有名所の古酒がもっと並ぶのですが(彼はボルドー好き)、今回の主役は何と言っても3本の「バロレ・コレクション」です。
- Champagne Louis Roederer N.V.
- Meursault 1991 Coche-Dury
- Montrachet 1974 Laguiche
- Montrachet 1960 Chanson
- Madeira Terranitez Special Reserve 1802 Oscar Acciaioly
- Ch. Figeac 1975
- Ch. Latour 1972 Magnum
- Ch. Latour(Latour a Pomerol) 1959
- Vosne Romanee Clos de Reas 1953 (Remoissenet)
- Gevrey Chambertin 1929 (Barolet Collection)
- Beaune 1928 (Barolet Collection)
- Pommard 1962 (Barolet Collection)
- Barbaresco 1962 Gaja
- Ch. Rayne-Vigneau 1934
「バロレ・コレクション」がどういうワインなのか詳しく説明しても、まぁ普通には今後見かけることも無いでしょうからあまり意味無いと思いますが、一応簡単に書きますと、「昔、バロレ(ドクターと言う敬称が普通付いていますので、どっかの学者だったのかな?)と言う人が、作り方などを細かく指示して、特別に作らせたブルゴーニュワイン」らしいです。(その筋ではとても有名らしいのですが、知っている人は殆ど居ないと思います。)
飲んだワインはご覧のように、特級でも1級でもない普通の村名ワインなのですが、多く飲んだ人に拠りますと、バロレになるとACはそれほど意味を成さない、らしいです。こんなワインが有るんですね、世の中は本当に奥深いです、はい。
普通には29年のジュブレイ・シャンベルタンや、28の単なるボーヌが、60年以上経っても充分飲めるなんて思いませんが、バロレは大丈夫なんでそうで、その通り素晴らしい物でした。特に29が精妙な中に深みを持った素晴らしいワインで、28がそれに次いでいました。62のポマールは開栓前にちょっと澱が回ってしまったからかも知れませんが、前2本に比べると少し平板ぎみでした。しっかし、ここらの30年の差っていうのは、無いのと同じですね。
その前の、59の「Ch. Latour(Latour a Pomerol)」と言うのも珍しいワインで、ラベルには堂々と"Ch. Latour"と書いてありますが、ACの表記はポムロルになっています。つまり実はLatour a Pomerolなんですね、ラベルの何処にも書いていませんでしたが。友人がヨーロッパで買って帰った物で、今回のワインの中では一番高かったらしいです。ワイン自体のテイストは、出した本人は期待に反して今一だったみたいですが、私はとても良いワインと思いました。(59にはずれなし!、はは)
話が逆になっていますが、白ワインの中では60のシャンソンのモンラッシェが、もうダントツに美味しかったです。60でなんでこんな素晴らしいの?!と思わないではいられません。
また、さすがにガヤのバルバレスコ62は良かったです。ガヤの古いのは飲んだ事無いのですが、このワインはまだまだ力が有って、柄も大きく、ちょっと圧倒される感じでした。
そして最後の、古いソーテルヌも、本当に素晴らしかったです。やっぱりソーテルヌは50年位して、ちょっと色が赤くなってから飲むべきだと、つくづく思いました。
Ch. Montrose 1975
とても良かったと思うのですが、さて、何か書こうかと思った時には、既に記憶の彼方で、どう書いたらよいのか思いつきません。(7月初めの事を、8月下旬になってから書こうとしてはいけませんね)そうやって、画像は撮ったけれど結局何も書かないワインというのは結構多いのですが、今月はそうなると2つだけになってしまうので、とりあえず写真だけ載せておきます。すいません。
Ch. Cheval Blanc 1988
シュバルブランはとても人気があるワインですね。私の知り合いの中にも、「シュバルブランが一番好き」と言う方が何人か居ます。それも、他のボルドーの有名シャトーワインなどは何時もかなり飲んでいらっしゃる方々ですから、たまたまそのワインを飲んで美味しかったから、と言うわけでは無いのです。その、ボルドーのシャトーで一番好きなのは?、と言う問い、なかなか難しい質問なのですが、ラトゥールやマルゴーに伍してシュバルブランをあげる方は、やはり多いようです。
私はと言えば、どうも特定するのは難しいです。ラトゥールは何時も素晴らしいし、オーブリオンは好みだし、マルゴーも美味しいし、オーゾンヌは他にない魅力があるし、、と色々考えていましたら、私はシュバルブランの特徴を今ひとつ把握しかねていることに気が付きました。(ラフィットもしかり)
先月のブラインドのワイン会の場でも、「これはシュバルブラン」と言う声があったのですが、自分でその意見を確認しようにも、どうも私自身シュバルブランがどんな感じのワインなのか、記憶と言うか、感覚が今ひとつあやふやなのです。
シュバルブラン自体は何度か飲んだことがあるのですが(この間のVINEXPOでも飲みましたし)、こと自分のワインを開けた記録では75と78を飲んでいますが、もうそれはずっと前になります。
何だか最近長らくシュバルブランを(ゆっくり)飲んでいなかったので、記憶とその感覚を取り戻すためにも、シュバルブランを久しぶりに飲んでみることにしました。
ちょっと若いめのが、特徴が良く分かって良いと思いまして、開けたのがこの88でした。例によってパーカーさんの評価はと言いますと、87点になっています(ま、どうってことない点数ですね)。でも、一人で飲むのでしたらこのあたりが適当でしょう。
で、このワイン予想よりもずっと美味しかったです。やっぱりシュバルブランは他のとは違いますね、私には香りと言うか、テイストのタンニンや凝縮感を感じる所にまとわりつくアフターに、ちょっと特徴が有るように思います(上手く表現できないけど)。この間みたいに、若いのをわいんわい飲んでしまうと、何だか良く分からないのでしょうけど、、
このワインを飲んだ翌日にパルメイヤー96を開けまして、そのまた翌日、そのパルメイヤーとシュバルブランの残り(私は一人で飲むときは、まず半分をハーフのボトルに移してバキュバンで栓をします)を両方飲んでみました。双方の対決は、明らかにシュバルブランの方が美味しかったです。
ヴィンテージとかも全然違いますが、評価が高く人気のカルトワインよりも、やはり超優秀所のボルドーワインって、所でしょうか。
Ch. La Mission Haut Brion 1989
パーカー100点満点ワインのミッション89です。オーブリオンは最初から100点でしたが、ミッションは99点でした。最近になって100点になったみたいですね。私は良くパーカーの点数とかを書きますが、決して彼の評点を盲信している訳では有りませんし、私自身がその数点の違いでそのワインがどうだとか思っている訳でも有りません。一般的情報として、そのワインがどういう評論を得ているか、どのような位置に有るかを、お知らせするために(価格もね)、一つの便利な目安として書いています。
と言うわけで、この89のワインはお隣のオーブリオンと共に大変素晴らしいと思われているわけです。私はまだ飲んだことが無かったので、まずは1本友人と飲んでみました。
飲んでみての最初の感想は、「凄いワインだけど、これって全然オーブリオンと違う」でした。まぁ82以前のミッションならば当然ですが、83以降同じ所有者のシャトーとなり、醸造スタッフも同じ筈です。それに畑はご存じの通り、単に道路を挟んでの右左なのですから。
実のところ、83以降のミッションはオーナーやスタッフが変わった事もありまして、ちょっとばかり軽く見ていましたし、また殆ど飲んでいませんでした。それに何故か、83以降、誰の評論でも、ミッションの評価がオーブリオンのそれを上回る事がありません。それで、私は密かに、ミッションはオーブリオンの超高級セカンドとなっているのでは?、と邪推していましたが、これは全く間違いでした。
少し前に飲んだ89のオーブリオンは、全く素晴らしいワインでした。まだ若いけど、しなやかで、深みがありリッチ、エレガントでフィネスがあり、もう見事!美味しい!としか言えませんでした。ミッションはそれに比べて、明らかにパワフル、すでに飲んで美味しいのですが力強く凝縮しています。
飲み終わって、「うーん、ちょっとカルフォルニアワインを連想させるみたいにパワフル」と意見を言ったのですが、同じように思う人も居る様で、後日、知り合いのワインバーに行きますと、このミッションの89の空瓶が目の前に立っていまして、訊いたところさっき飲んだ由。同じように私の意見を言って、どうでしたか、と訊いたところ、やはり同様な話をしたらしいです。
ただ、ミッション89がカルフォルニアワインみたいだ、とは決して思いませんでした。連想はさせませが、違うんですねやっぱり。そのフォルムの良さとか、完成度の高さとか、かいま見るフィネスとかです。今後どう熟成して行くのでしょうか、楽しみでもありますね。