2001年4月 今月の印象に残ったワイン


この所、いろんな会に出向いて行っていますが、4月は京都は嵐山吉兆でワイン会が有ると言う事でお誘いが有ったので、徳島から出かけました。

そのワイン会の主催はロンドンの老舗ワイン商ベリー・ブラザースです。京都は明石大橋のおかげで、徳島からだと直通バスも有り、比較的出かけやすいので行くことにしました。それに、最後にはナシオナルの55(ポルトです)が出ると言うので、、

なにしろ名だたる嵐山吉兆、当然そんなところ私など一度も行ったことがないので(各地の吉兆さえ行ったことがない)、少々緊張して嵐山にむかいました。

ワインは以下の通りです。

40年以上の熟成を経た後半の4本は、全てベリー・ブラザースのハウスリザーブとの事で、ベリーかその身内のセラーで長く保管してあったワインの由。いわばプライヴェートワインで、普通は市販はしていないらしいです。

マルゴーは良く熟成した大変魅力的な59。ムートンは、皆があっと驚くほど若く、色もまだ大変濃い。正直「何なんだこれは!」と言う感じで、あちらこちらから驚愕の声があがります。55だと言うのに香りもテイストも、ムートンらしさがムンムンしている。大変元気というか、ワイルドな感じさえします。素晴らしいけれど、その分、エレガントさとかにはちょっと欠けていたかな、、

文句無く素晴らしいのはラフィットの47!、ムートンから一転、色も香りも熟成の精華、力強さは既に無いのだけれど、何と香り高くフェミニンでチャーミングなワインでしょう。私は確か大声で「フェミニン、極めてチャーミング!」と結構一人で騒いでいまして、あとで顰蹙ものではなかったかと思うぐらいでした。普通なかなかこんな風にはならないもので、保管の素晴らしさが知れます。

一番楽しみにしていたのは、ナシオナルの55です。当日出たワインの中で、恐らくいちばん今度飲むことが無いようなのがこのポルトで、とても楽しみにしていました。でも、、、このポルト若すぎました!。85とかと言われても全然不思議でない色の濃さ、堅く巻き付いた香りとテイスト、それまでが華と開いたワインだった事もあり、私には若すぎて良く分かりません(それまでの素晴らしいワインに酔い過ぎた、ってのもあります)。多分当日の会の前に開栓デカンタしたのでしょうけど、次の日ぐらいに飲んだら本当は良かったんでしょうね。

とにかく、「ワインの状態の良さ」が大変印象に残ったワイン会でした。珍しかったり、それ故に高価だったりするワインは幾らもありまして、(お金さえ出せは)まぁ飲もうと思えば飲めますが、こういったワイン(特にムートンとラフィット)は普通ではなかなかありえる物では有りません。

会費は場所が吉兆ですからえらく高いですが、2000年プリムールを1ケース買うのを止める事にすればOKですし、そのくらいの価値があるワイン会でした(少なくても私には)。

余談その1
時、京都嵐山は桜が満開!、昼間は京都御所、夕方は嵐山の桜見物をして、大満足でした。吉兆は前半は繊細で見事なお料理でとても美味しかったです。後半のちょっと力が必要なところでは策に陥りすぎな感じがして、とりたてて優れた物とは思いませんでした。

余談その2
当日は、ベリー・ブラザースの取締役さんも何名か来られていました。雑誌等々でかねがね噂を聞いていた、日本関係の責任者の松岡さんに初めてお会いしました。当日供されたワインと同じく、大変魅力的な方で印象的でした。何故だかワイン関係の仕事をされている女性の人って、なべて魅力的ですよね。


す・い・ま・せ・ん

今年は年初から更新をサボり気味で、この4月分をやっと7月に書いています(画像だけはすぐ撮っているのですが)。飲んだときにメモしたものは、その時のを参考にして書きましたが、それ以外は、実の所3ヶ月も前のことはそう良く憶えていないので(年のせいかもしれぬ)、なかなか書きづらいです。

無理して書こうとすると、更新が更に遅れそうなので、思い切って、書けないのは空白のままUPします。コメント無しのワインがありますが勘弁して下さい、まぁ全部「美味しかったワイン」です。




Ch. Ducru Beaucaillou 1975

とても素性の良いデュクリュです。もっとも「良年75のデュクリュ」の予想されるイメージその通りの優等生、ボルドーはメドックのワインです。

デカンタ中よりとても良い香りがしてました。こういう場合は、大体状態が良い美味しいワインなのでけど、はたしてその経験則通り。

熟成したボルドーでよくある、シダーの香り、マッシュルームの香りとアフター、素性の良さと好ましさにつつまれて、嫌なところが1つもない。

熟成感がありながら、まだまだ充分なボルドーワイン。品位の高い、一人でじっくり飲むにとても好ましいワインでした。




Brunello di Montalcino 1993
Cerbaiona

開けての印象、「結構濃いブルネッロ、、」です。「濃い」と言うことは、とりあえずは結構美味しいと思った、と言うことです。

でもこのワイン、ちょっとばかりブルネッロっぽくないワインです。濃いけれど酸が低い印象があって、全体としてカベルネみたいな感じ。タンニンがそんな風に思わせるのかも知れません。

時間が経ってくると、そのタンニンがちょっとざらつくようにも思うし、濃いけれどピュアな所が少し無いし、もしかしたら、状態が少し悪かったのかも、、。全体としては悪くはないけれど、ただブルネッロとして見た場合、どうも類型を思いつかないワインです。

最近読んだ「イタリア名醸ワイン案内」と言う本で、このチェルバイオーナの項がありました。最近はイタリアのワイン評価本「ヴェロネッリ」で「ソーレ」(太陽マークで最優秀の印)になっている由。

ブルネッロの生産量は5千本、そのほかにカベルネ、シラー、メルロなどを混醸したIGTチェルバイオーナも有るらしいです。それを読んでみると、このブルネッロにもカベルネやシラーが少しばかり入っている様な気が、しないでも無いのだけど、、どうなんでしょう。




Nuits Saint Georges "Les Pruliers" 1993
Dom. Robert Chevillon

そう言えば、はじめてのシュヴィヨン。ボトル外観も、開けてみてのコルクの状態も、その香りも大変健全。グラスに入れてみても、色も濃く香りも素敵で、やはりとても健全なワイン。

最初のテイストでは、少し閉じ気味かな、って思いました。まだタンニンが結構感じられてクローズしていましたが、印象としてはやはり良、なかなか有望と思いました。

で、開栓2時間後、とても素晴らしい深いテイストと香り、まさしくブルゴーニュそれも特級クラスの様な、深遠な感覚。格は1級ですけど、中身はその通り特級クラスですね。これからの熟成が楽しみです。




Ch. La Mission Haut Brion 1983

ご存じのように、ウォルトナー家がラ・ミッションを作っていたのは82までで、83よりはお隣のオーブリオンと同じ作り手となりました。(醸造スタッフも同じとのこと)

良く考えればもう20年近く前のことですが、ここらのワインって熟成に時間がかかるので、83以降のミッションを(オーブリオンも)飲みはじめようとしたのは、割と最近の事です。

今回初めて83のラ・ミッションを飲んでみました。ちなみにこのワインを買ったのは92年、赤坂見附のサントリーのカーヴ・ド・ヴァンでです。(この10年近く行った事がないなぁ)当時は今みたいに、ワインがとても高かったです。

開栓してみて、とにかく大変健全。香りに曇り無く、大変グラーブ、それも見事にミッションしている、疑いようもないくらい予想どおりのワインでした。色はまだ濃いけれど、少々熟成した色調、枯れてはおらず、かといって若いと言うこともなく、飲み頃の良い状態です。

やはりとにかく、グラーブらしいアーシーな香りが魅力的(私の好みなんです)。力強く、シダーの香りの充分に長いアフターも素晴らしい。テイストにもフィネスを持った、やっぱり素晴らしい「ラ・ミッション」です。

先に書いたとおり、この年から作り手が変わっている筈ですが、私にはあまりそれを感じない83です。マッチョなイメージだけが残った、89や88のラ・ミッションと比べると、今飲むにはずっと楽しいワインでした。




Dunn Cabernet Sauvignon Howell Mountain 1991





Ch. Laville Haut Brion





Chevalier Montrachet "Demoiselles" 1990
L.Latour





Ch. Latour 1975





Pouilly Fume "Silex" 1993
Didier Dagueneau

ダグノーは、ワインバーなんかで違う銘柄をちょいと飲んだこともあるのだけれど(たいした印象無し)、シレックスはこれが初めてです。

買ってから5年ほど、手元で根気よく熟成させたワインだけど、本当に噂通りの素晴らしいプイイ・フュメ。今まで置いてあって良かったと思えるテイストでした。

開栓直後はある種の凝縮感があって、今一開ききっていない部分があったけれど、30分、、1時間、さらに1時間半と経つうちに次第にその本性をあらわして来る感じで、とても素晴らしい。

とにかく大変ミネラリーで、大きな印象深いワイン。明らかにいつものシャルドネとは違うけど(当たり前)、和食ととても良く合う。93年だけど、やっと飲み頃になったばかり。このワインを開けて30分で全部飲んでしまうのは、犯罪に近いかも、、




Morey Saint Denis 1er cru "Clos Sorbes" 1993
D.Laurent

友人が来たので、開けたD.ローランのワイン。細かいことは抜きにして、ともかく美味しいワインを、と言うことで選んだのがD.ローランでした。

モレ・サン・ドニの1級だけど、それよりも何よりも、ドミニクのワインですね。焦がした樽のイメージは強いのですが、刺々しいタンニンなど何処にもなく、これはこれで大変良くできた美味しいワインでした。

この所、D.ローランの各ワインを少し飲みましたが、誰かが言ったように、何だかみんな同じ様にも思えます。まだ飲んだことありませんが、滅茶苦茶高価な特級などより、このクラスか、もう少し安い位がD.ローランは良いかも知れません。しかし、本当に上手く作ってあるものです。