1995年12月 今月の印象に残ったワイン


冬はワインが美味しい季節です。ワインを飲むとき、やはり温度には気をつけませう。どんなワインも20度を越える頃からその特徴を失い始め、繊細で複雑な味わいを失ってしまうと私は思っています。どんなジーニアスなワインも、あまり高い温度で飲んでしまってはそのエレメントを失ってしまいます。

四国と言うこともあり、12月でも室内は結構暖かいものです。12月23日の夜で、現在室内は16度、湿度は低く、ワインを楽しむにはとても素敵な環境です。

12月は良い物を開けたせいもありますが、良いブルゴーニュを幾つか楽しむ事が出来ました。


ピエール・ダモワのシャンベルタン1959

届いた時には吹いてしまった跡が有って、これは結構危ない、と思ったワインでした。普通吹いてしまった(「泣く」とも言いますね、英語でもseepageと言うのとweepageって言う表現の2つを見かけます。)ワインは急激な温度変化があった証拠で、まともな事が無いですから。

開けようとしたのですが、何とコルクと瓶とが吹いたせいでしょうか完全に引っ付いてしまっていて、コルクを抜こうとするとコルクの中身だけぼろぼろ崩れてきます。結局、うまく中のコルクを掻き出しました。古いワインも結構抜栓しましたが、こんな事は初めてでした。

で、恐る恐る飲んでみると、まず口に当たるのが新鮮な果実味。これは全く意外でした。おおよそ35年以上を経たとは思えないほど凝縮されていて求心力が有り、かつ充分な熟成を感じる広がりもあって、素晴らしかったです。

私はいつも自宅で一人で飲むのですが、1本全部は飲めないので、いつもはすぐ半分ほどハーフの瓶に移してバキュバンにて保存しておき、次日に残りを飲む事が多いのですが、次の日でもそう衰えず、大層美味しく飲めました。(たとえバキュバンで保存しても、次の日にはこれと言って特徴の無いワインに成り下がる事が多いのです。)


12月は59のブルゴーニュをもう1本のみまして、

ルモワスネ(Remoissenet)の
グラン・エシェゾー1959

ラベルがどうしても剥がれず、ピクチャー無しです。
こちらは、見るからに健全そうなボトル。ラベルも大変綺麗で恐らく最近蔵出ししたもので無いかと推察しています。59のグランエシェゾーと言えば、最近ルロワが蔵出しをやりまして、私も1度飲んで感激した事が有りますが、どうしてどうして、このルモワスネも大変素晴らしい物でした。

先のシャンベルタンとは違って、最初のテイスト(デカンタ後、約20分)は「果実味は落ちてるな」って感じだけだったのですが、それから1時間を迎えるころまでにもりもり美味しくなってきました。

複雑でストラクチャーがしっかりとしていて壮麗、バランスの良い見事なワインでした。