1996年5月 今月の印象に残ったワイン


今年3月には、シャモニーへスキーに行きました。やっぱし、同じアルプスにスキーで行くなら、フランス語圏(若しくはイタリア語圏)ですよね。地域的には近くても、食べる物とかがだいぶん違います。

フランス語圏ならば、探せばワイン屋さんと言うのは、ヴィレッジのどっかには有るものです。

まぁ、シャモニーまで行って、わざわざボルドーやブルゴーニュでも無いでしょうから(それでも買って毎晩飲んでた。カロンセギュール82は何度飲んでも美味しいですね。)、お土産にはこちらの地方のワインが良いと思い、店員のお兄ちゃんにサヴォアで一番良い奴、と言うことで薦めてもらったのが、

サヴォアの白ワイン、マレステ1994年

です。正確にはルセット・ドゥ・サヴォア(Roussette de Savoie)と言うAOCになります。

価格も確か4千円ほどしたと思います。サヴォアのワインとしては一番高い部類でしょう。首の所にフランスのどっかの品評会で賞を取ったと言うシールが、張って有りました。

一口飲んで、爽やかな果実の風味と、切れの良い酸が印象的でつい「おいおいこれはゲヴュルツかよ」とつい言葉が出てしまいました。

使用葡萄品種について調べてみても、サヴォアの白はジャケール種、ルーサンヌ、ルーセット等々、使う葡萄が結構有るようです。ルセットではアルテス種と言う記述もあり、それかも知れません。

テイストもただ単に先の印象だけではなく、飲む進む内に深みも出てきて、確かに美味しく、質の良い白ワインでした。


もう一つ白、こちらは由緒正しい稀覯品と言えますか、

ラフォンのモンラッシェ1976年

です。オークションにて同じロットで買ったDRCのモンラッシェが、既に死にかかっていたので、気になって飲んでみました。

綺麗な金色、熟成された非常に濃縮されたテイスト、言うことは余り無いワインでした。まだもったでしょうが、今飲んであげて良かったと思います。


さて、私がこの欄に書くワインは、(少なくとも私にとっては)非常に珍しいワインばかりで、もしかしたら読んで下さった方には何の参考にもならないのではないか、と言うことに最近やっと気がつきました。最も、人の参考になる様なティスティングレポートは素人の私には重い課題なんですが。

それでもまぁ、少しでも役に立てばと思い、今月飲んだその他のワインの事も少し書いてみます。

そこで1つ、このワインはお持ちの方も多いと思いますが、

ギガルのコンドリュ"La Doriane"の94年

を始めてこの度開けてみました。

何年か前、「ギガルがシャトー・グリエを買ったらしい」と言う噂を聞きましたが、本当の所は「ギガルが、シャトー・グリエの近くの畑を買った」と言う事らしいです。その畑がこの"La Doriane"との由。多分この94がファーストヴィンテージだと思います(間違っていたら指摘して下さいね)。

奥さんと食事に行った折り開けたのですが、何とも不評でした。奥さん曰く「クリームソーダの甘みとソーダをちょっと無くしたような味」とのことでした。私も幾らか賛同しないわけでは有りません。確かにヴィオニエっぽい感じなのですが、ちょっと歯磨き粉の様なテイストがするほど、味のエレメントが完全に分離していて快適とは離れた味でした。

後日シャトー・グリエ89を飲んでみましたが、確かにグリエの延長線上にあるテイストなんですが、この"La Doriane"は各々のテイストのエレメントが強烈で、先にも書いたとおり、ちょっとばかしバラバラな味わいでした。(やっぱし、グリエは美味しい)

好意的に解釈すれば、一生懸命作りすぎたのかも知れません。少し置いておけば美味しくなるのでしょうか?、、ううむ、誰か教えて下さい。


今一つ、私が東京に行ったときワイン会で飲んだのが、

ラトゥール83年

です。

実にパーカーさんの評価では、このワインは87点と言うどうもパッとしない点数(ちなみにランシュバージュ83の方が88点で上)になっています。パーカーポイントでこれ以上の点を取っているカルフォルニアとかチリのワインは山ほど有りますが、それらはラトゥールより美味しいのでしょうか?

良くパーカーの評点は同地域などの中に於いての評価であって、他との比較は余り意味がない、と聞きますが(PTもそう言っていた)それも否定できないところがあります。

このラトゥールの83は、相変わらずのワインの王者たるべき堂々としたワインで、広がり、複雑さ、余韻の深さで常にラツゥールの名を意識させます。大変美味しく感じました。ボトルの状態も良かったのかも知れませんが、私なら91、2点は付けるでしょうか、、


これも出回っているワインについてです。最近ルロアの蔵出しが続いていますが、暫く前から、69のブルゴーニュが3種、かなり出回りました(もう店頭からは姿を消していると思うけど)。

Volnay-Santenots, Echezeaux, Vosne-Romanee

の3種です(ともに1969年、ルロア)。

一通り買わされて、一通り飲みましたが、知り合いとも話した結果、意見が合ったのが一等良いのがVolnay-Santenotsと言うことです。あと私は、Echezeaux Vosne-Romaneeの順かと思います。

Volnayを筆頭に見事なワインですが、もう飲まなければいけないワインでも有るように思いました。