1996年6月 今月の印象に残ったワイン


6月は特に何処にも出かけず、そう特筆すべきワイン会もなく過ぎてしまいました。私が読んでいるパソ通のワイン会議室では、東京において、ほぼ毎週くらいに魅力的なワイン会が開かれている由の連絡及び報告が入りますが、地方在住の私なぞは、楽しそうな様子をただ想像するばかりです。

かと言ってもし私が東京に住んでいたら、毎週+αのペースでワイン会で、決して健全な生活は送れないでしょうね、ワインセラーも当然作れないでしょうし、、

今月は家で一人で飲んだワインの紹介が主です。友人と飲んだ事も有るんですが、あまりちゃんと記録を取っていないもので、、


まずは、

シャトー・オーブリオン’75

です。

いきなり大看板が出てしまいましたが、実は1年ほど前、同じロットのワインをレストランに持ち込んで飲んだ所、そのボトルは、如何にも「辛い過去が有りました」と言う風なワインだったのです。

それで同じロットの残りは誰かと飲むことが出来ず、今回一人で飲んだ訳ですが、何故かこのボトルはとても健全で、言わば「オーブリオンらしい」オーブリオンでした。

そのグラーブに特有の特徴として「土臭い(earthy)」とか「きざみタバコ」とかの香りと良く言われますね。私はこれらの表現が余り好きではないので本当は使いたくは無いのですが、かといって他に何といって良いかわからないので時折使います。でも、この手の特徴を持ったワイン、つまりグラーブ(ペサック・レオニャン)の優秀な赤が大好きです。


次はここでの初めてのカルフォルニアで

Dunn "Howell Mountain" Cabernet Sauvignon '88

です。

カルフォルニアワインの水準の高さは、方々で聞く通りです。ただ私は赤ワインならば、ボルドーとブルゴーニュで充分満足していましたので、価格も特に安くない(品質の悪いのは別ですが)カルフォルニアワインは、敢えて手を出す必要は無いと思っていました(それでも幾らか飲んでましたが)。私はプロで無く単なる愛好家ですから、無理して幅広く知らなければいけない理由は特には無いのですから。

しかし問題は1991年です。私の娘の生まれ年なのですが、ご存じの通りボルドーは不作、ブルゴーニュはまだましな様ですが、これも長寿は期待できません。選択はローヌの一流処かカルフォルニアとなる訳です(ポルトも有る由)。

それで、カルフォルニアワインの事を改めて注意深く見ていると、色々覚えてしまいます。でそうすると何かの機会に、別に91でなくてもついつい買ってしまう、と言う訳です。

表記のダン・ヴィンヤードは大変評判の高い作り手です。ラベルが斜めの帯状でして、特徴的ですね(ラベルがはがれなくて、ピクチャーが有りません)。88年はカルフォルニアではそう良い年では無いという評価です。畑はナパとハウエルマウンテンと両方有るようでして、一般的評価は若干ハウエルの方が常に良い様です。何故だかハウエルの方だけ蝋封になっています。

これはとても美味しかったです。少し前に、ダイアモンドクリークの89を飲みましたが(ここも評判の良いヴィンヤード、89は88よりは良いヴィンテージ)、ダンの88の方が気に入りました。

カルフォルニアのカベルネを飲んでいつも思うのですが、(十数年経ない)比較的若いワインは明らかにボルドーと違いますね。カルフォルニアの良いワインは(良いのしか飲んでませんが)、どちらかと言うと「有無を言わない美味しさ」を与えてくれます。

敢えて解説すると、美味しさの「押し」が強いのです。つまり豊富な果実味に押されてしまって、一口で美味しいと唸ってしまいます。(でも、ただ果実味だけでは美味しいとは思わないでしょう、その他の要素も良いのです)


ボルドー1級の84は一時期大変安かった事もあり、かなり飲みました。とても美味しいワインが多くて嬉しかったのですが、そろそろ84は店仕舞の様に思います。84で特に好きだったのが、ラ・ミッション・オーブリオンとマルゴーでした。

シャトー・マルゴー’84

の最後のボトルを飲みました。私がセラーをしつらえる数年前から置いてあるワインなので、そろそろ落ちかけていましたが、マルゴーらしい香りとテイストがはっきりあって、美味しいワインでした。