悲しむべき事に、8、9月は取り上げるべきワインが無くて困っています。何故なら、この時期、殆ど飲んでいないのです。
以前より胸やけが酷く、特に夜半にワインを飲んだ夜は、胸やけの為に夜中に目を覚ますことも多く、遂に医者に行く羽目となりました。
はじめて飲んだ胃カメラ自体は大したことは無かったのですが、検査の結果、食道が相当酷く荒れており、中症から重症の食道炎と診断されました。こういう症状は食道ガンに変異しやすく、医者にそれを言われた奥さんは、私に禁酒を言い渡しました。(ぐすん)
おまけに、後で行った血液検査の数値がかなり高く(コレステロールが高いのだそうだ)、それにより禁酒をさらに念押しされる羽目となりました。これには私も以外だった事もあり結構びっくりし、一応しばらくは控えるようにしています。(でも、秋のワインフェアでワインを買ってしまった、クリスティーズの東京オークションにも入札しました−落ちなかったけど)
さて、その医者に行く前に飲んだのが、
ヴォギュエの Musigny Vieilles Vignes 1986
です。ヴォギュエといえばミュジニーでは昔から大変定評のあるドメーヌで、過去には栄光に包まれたワインを多く産した様です。近年暫く調子を崩して凡庸なワインしか出していなかったとの、パーカーさんら他の意見でありますが、80年代後半からまた復活して来て素晴らしいとの評判です。
今でこそヴォギュエのミュジニーも売っているのを見かけますが(最近評判なのでまた高くなった)、ずいぶん昔、ワインがまだ高かった頃、このワインは私の憧れでもありました。ある時東京に行く機会が有ったとき、今は経営が変わってしまったミツミの銀座八丁目店に行き、83年のミュジニーを二万円少々で買い、抱くようにして持って帰ったのを昨日の様に思い出します。
その83のミュジニーは先に書いた理由により、結構怪しいワインなのですが(良い保存も出来なかったし)、未だに飲めないで取って有ります。
今度飲んだ86年と言う年は、私の印象では、ブルゴーニュにとっては難しい、どちらかと言えば良くない年で、まだ87が良いかも知れません。
さて、その年の、まだ復調していない(と評価されている)ヴォギュエのワインはどうかと、とても楽しみにして開けました。
で、これはとても良かったです。綺麗な果実味が最初に感じられて作りの良さをまず感じました。暫くして、全体のバランスがとても良くなり、素晴らしく楽しめたワインでした。さすがはヴォギュエのミュジニーです、評判を落としていた時期とはいえ馬鹿には出来ませんね。
先に書いたような経緯で奥さんには禁酒を言い渡されていますが、ある日、夜私一人で留守番する事となり、その夜にこっそり飲んだワインは
Vigot-Battaultの
Vosne Romanee "Le Gaudichots" 1988
です。昨年暮れにオークションにて1ケース買った物で、5月に最初のボトルを飲んでの2本目です。黒に金字の渋いラベルなのですが、スキャナーでは巧く取り込めません、ちょっと見ずらいピクチャーですいません。
これは珍しいワインかと思います。ヴォーヌロマネ村でも"Le Gaudichots"と言う畑は大層小さく、また場所が大変素晴らしい所にあります。地図をお持ちの方は見ていただくと良くわかるのですが、この"Le Gaudichots"はラ・ターシュの畑にへばりついた様に見える幾つかの小区間です。持ち主が一緒なら(ラ・ターシュはDRCの単独所有)同じくラ・ターシュとしたいところでしょう。
5月に開けた最初のボトルはまだ堅い感じで、もしかしたらまだ飲むのに早いかと思われたのですが、3、4カ月過ぎたこのボトルはかなりこなれた感じになって良かったと思いました。