1997年2月 今月の印象に残ったワイン

コルチナ・ダンペッツォで飲んだ、
イタリアワイン特集


スキーの項でも書きましたが、97年2月にはイタリアはコルチナ・ダンペッツォにスキーに行きまして、5泊して毎晩1本づつ、計5本のワインを飲みましたて、そのイタリアワイン特集です。

近年イタリアワインブームですが、イタリアワインって本当に色々多彩ななワインがあって、なかなか把握するのが難しいです。結局みんな憶えてしまわなければいけないわけで、そう言うところが一部のの方々の興味を誘っている居るみたいで、イタリアワインファンと言う方も多く聞き及びます。私はこれまで、有名所しか知らないので、これを機会に珍しめのワインを色々楽しもうと、イタリアに向かいました。

泊まったホテルのワインリストは、そういう私には極めて魅力的な物でした。ワインリストはそんなに厚い物ではありませんでしたが、そのコルチナが位置するヴェネトと、近隣のトレンティーノ、アルト・アディジェそしてフリウーリのワインが多く並んでいまして、なかなかどれを頼もうかと迷うばかりです。(あとトスカーナのワインも結構多く、その他のイタリア物が少々、チリ、カルフォルニアなどがほんの数種と言う具合で、フランスワインは1本もリストに載っていませんでした。)

価格的にはどれもとても手頃で、中心が2万リラから3万リラの間です。10万リラを越えるのは有名所のごく一部でした。

最初の2日がフリウーリのワインで、その後ヴェネト、トレンティーノ、そして最後の日にトスカーナのワインにしました。全て敢えてVdTの赤を選びました。詳しくは分からないけど良い物をと言うことで、リストの中でも高い方のを選びましたが、私が飲んだ中で一番高いSasselloで60,000リラと日本円で6千円もしませんでした。レストランでこの価格と言うのは、やはり安いと感じます。


[第一夜]Cabernet 1994, VdT del Friuli-Venezia Giulia (Jermann)

次のRonco dei Rosetiを初日に注文したのですが、ウェイターのお姉さんが見つける事が出来ず、同じフリウーリのJermannのカベルネにしました。Jermannは白のVdTで良いのを作っているようですね。テイストはまごうことなきカベルネなんですが、何と弱発泡しています。食事と一緒だと、面白くて結構美味しいですが際だって優秀と言うワインでは無く、他との比較でこれで35,000リラは結構高いかな、とも思いました。


[第二夜]Ronco dei Roseti 1990, VdT del Friuli-Venezia Giulia (Abbazia di Rosazzo)

持参していった、荒井さんの「イタリアワイン読本」にも載っているVdT。その荒井本にはカベルネ・ソーヴィニオン40%、カベルネ・フラン20%、etcとなっていますが、その通りボルドーイメージ通りのワインで、開栓後3、40分で開いてきました。特に際だった特徴は持ち合わせて居ないけど、良くできたボルドーワインという感じ。45,000リラ。


[第三夜]Cima del Monte 1987, VdT del Veneto (Alessandro Contarini)

私の持っている本には何処にも載っていないワインなのですが、これは大変素晴らしかったです。熟成して飲み頃になっているからかも知れませんが、開栓後一時間を経て、深く、複雑な香りが広がって、とても楽しめました。葡萄の品種なんですが、私の狭いイメージにむりやり結びつけると、メルロー+カベルネ・フランってとこかなって推測したりして楽しんでいました。価格は記録忘してますが、確か50,000リラくらいしたと思います。


[第四夜]Fojaneghe Rosso 1992, VdT della Vallagarina

やはり荒井本に載っているトレンティーノのワイン(それで選んだのだけど)。荒井本によれば、メルロ60%、カベルネ・ソーヴィニオンとカベルネ・フランで40%との事。素直に美味しいワインだけど、ワインだけ楽しむにはちょっと焦点が甘い感じです。価格もレストラン価格で24,000リラと今回飲んだ中では一番安い。ただ食事と楽しむには何の不満も無いです。


[第五夜]Sassello 1990, VdT di Toscana (Castello di Verrazzano)

最後なので、いわゆるスーパータスカンと言うので知らないのを飲んでみようと、まずサン・マルコ88(70,000リラ)を注文しましたが、それは無いと言うことで、これまた聞いたこともないサッセーロ90(60,000リラ)を注文。30分たってテイストも伸びてきて、手帳にテイスティングコメントを「30分して佳し、葡萄は明らかにカベルネ、メルロー以外が中心と思われるのだけど、、云々」と書いていたら、向こうのテーブルの方が近寄って来るではありませんか。その彼は、昨日ワインが並んでいる棚に行って、私が二日目に飲んだRonco dei Rosetiを直接選んでいたので、「結構詳しい奴に違いない」と目を付けていたので、きっと私がメモを取っているので興味があったのだろうと、「Do you taste it?」と下手な英語で話しかけると、「いいや、あんたが、私が作っているワインを飲んでいるのでやってきた。」と言うでは有りませんか!!!。

彼の名は、Luigi Giovanni Cappellini、キャンティの高名な作り手Castello di Verrazzanoのオーナーです。年は30台前半でしょうか、奥さんと小さな娘さんと一緒に滞在していました。

「そのサッセーロはスペシャルキュベだし、90は特に良いから一時間以上於いて飲んでくれ」、との事でした。後でお互いデザートの時になって、こちらから彼のテーブルに行ってそのワインの事を色々聞いてみましたが、サッセーロは地域的にはキャンティでサンジョベーゼ100%との事。無知な私は「それなのにどうしてVdTなの?」と聞いてしまいました。昨年まではサンジョベーゼ100%だとVdTになっていたんですね。

ちなみに、サッセーロは熟成に全て新樽使用、内75%はアリエ産の樽で、18カ月熟成させるのだそうです。さらに、フィレンツェのレストラン「エノテカ・ピンキオーリ」向けのみに、クエスチョリーノ(Querciolino)と言うワインも作っていて、88がスッゴク良いから、もし見つけたら飲むべし、との事でありました。


コルチナ・ダンペッツォの街にはエノテカと言うワインバーが有りまして、外から見る分にはとても楽しそうです。私は是非行きたかったのですが、夕食時のワインだけで既にへろへろになっていましたので、行けなかったのが残念です。