円安ですね。この3月末で1ドルが130円を越えています。ここまで来ますと、USからワインを買うより、国内で買う方が遙かに安いです(売っていれば、ですけど)。外国からワインを買うと、送料もかかりますし。
私が参加しているワインオークションは殆どアメリカなので、暫くはオークション入札も見合わせる事になりそうです。第一入札したくても、高くて出来ません。
私がオークションでワインを買い始めた時も、1ドルは110円か120円位してたと思いますが、当時は内外価格差が酷くて、イギリスやアメリカでは日本に比べてワインはかなり安かったのです。
その内、日本でのワインの価格が下がりはじめて内外価格差が殆ど無くなり、ワインもかなり安くなったのですが、今度は世界的に(ボルドーの優秀所中心ですが)高くなりはじめて、今に至ります。
価格高騰は、需要と供給の関係が根本ですから、そのバランスを変える要因が無いと変わらないでしょうが、私にとって、フランスワインが高くなったおかげで、他の地区のワインに目を向ける様になった事もまた、とても興味深いことです。
(最も、一般的にこの様な世界各地のワインに目を向けるようになった第一の理由は、その各地区で国際的に流通するような優秀なワインが作られるようになった事が一番の理由なんですが。)フランスのワインがあのままですと、広凡な知識を必要とするプロの方はいざ知らす、私のような単なる愛好家は、とりあえず良く知っているフランスのワインを愉しむだけで終わりそうでした(それでもかなりな数ですから)。
事実それで良いと思っていましたし、実際に以前は、ドイツやフランス以外のワインは一部を除いて入手出来る種類も限られ、それらの地区のワインの事を詳しく知る機会も殆ど有りませんでした。
それが、既に高くなってしまいましたが、カルフォルニアのワインそしてイタリアの各地のワイン、と多くの人に知られるようになり、更に今、オーストラリアやスペインその他の国のワインに目が向けられ、紹介され、今詳しい情報と共に店頭に並んでいます。
確かに価格が上がり、既に手の届かなくなったワインも増えましたが、まずはそれは無い物として忘れましょう。その他にも世界の色々なワインが百花繚乱です、実に楽しい事ですね。
もしかしたら、このページにドイツワインが出てくるのは初めてかも知れません。最近のワインブームは赤ワインが主だそうで、白ワインの売れ行きは赤ワインほどでは無いようです。
Ockfener Bockstein Spatlese 1971
Rheinart加えて、ちょっと甘口で料理とはあわせにくいドイツワインは、昨今のワインブームの主線からはちょっと外れている感があります。
私もそうですが、以前は飲みやすいドイツワインからワインを飲み始めた方が、とても多くありました。その内、赤ワインとか、辛口の白ワインを飲み始めて、次第にドイツワインを開栓する機会も減ってくるようです。
しかし、素晴らしいワインのカテゴリーとして、やはりドイツワインは忘れることは出来ません。今回飲んでみたこのシュペトレーゼの気品の高さが、ドイツワインの素晴らしさを確かに物語っています。
このワインは半年ほど前にオークションで入手した物です。大阪から知り合いの方が見えられましたんで、先々月書きましたスペインワイン「Cerro Anon Reserva 1975」と共に日本料理店に持ち込んで飲みました。
ラベルから判ることを解説しますと、オックフェン(Ockfener)はザールにある地区名です(従って、モーゼル=ザール=ルーヴァーのワインとなります)。ボックシュタイン(Bockstein)はそのオックフェンの一級葡萄畑で、作り手がライナート(Rheinart)となります。
開栓前は、「71はそろそろ行ってしまっているのが多い」と言う話でしたが、全然そんな様子は無く、綺麗な透き通った金色、落ちかけた甘さと酸味が、そのドイツワインたる気品を際だたせていました。恐らく非常に良い状態で、保管されていたのものと思われます。
以前飲んだ76のベーレンアウスレーゼはそのテイスト共、非常に優秀なソーテルヌを思わせる物が有りましたが、このワインはシュペトレーゼと言うこともあるのでしょう、それらとは違う素晴らしさでした。
上記記述の会で、大阪から来られた人が持参したワインです。ジンファンデルのエッセンスで、甘口ワインです。これも思いっきり珍しいですね。
David Bruce Zinfandel Essence 1974
California最近の物ですと、ジンファンデルの遅摘みや貴腐の甘いワインは珍しいながらも結構話は聞きますが、こんな古いのはまずお目にかかれません。
Maury(モーリ)は、フランスはルーション地方で作られる酒精強化ワイン(赤ワイン)です。
Maury 1979
酒精強化ワインとは、アルコールを添加して、葡萄の甘さを残したワインですので、甘口赤ワインとなります。細部は違いますが、基本的にはシェリー、マディラやポルトと同じ範疇と言えます。
フランスで言いますと、Banyuls(バニュルス)と同じですね。葡萄はグルナッシュを用いていまして、その点でもバニュルスと似通っています。
私はボルドーもブルゴーニュも未だに行った事が無いのですが、ランドック=ルーションのワインの作り手の所には、10年少し前にある会の旅行(別にワインの会では無い)で幾つか訪れましたが、その時にモーリにも行きました。
今のワインブームで無くても、ボルドーやブルゴーニュに行った人は別段珍しくは無いでしょうが、モーリに行った人は非常に珍しいんじゃないかと、ちょっと思ってたりします。(だから、10年以上前だけど、とても歓待してくれた)
ルートは詳しくは覚えていないのですが、なんかバスで山に向かって何時間も乗って、モーリの町に着きました。基本的には、ワインは町の共同醸造所で一括に醸造されていて、そこを見学して回った後、遅い昼食をごちそうになり、写真の79年ヴィンテージのモーリのワインをお土産にもらって帰りました。
ちなみに、毎日バスに長時間乗ってばかりで非常に疲れていたのですが、そこで出してもらった、葡萄の枝で焼いたソーセージが本当に美味しかったのを、良く覚えています。
旅の想い出のワインだし、甘口だからもつだろうと置いてありましたら、後日瓶内でちょっと発酵が始まったらしく、かなり吹いてしまいました。もう駄目やろうかと思いつつも、ずっと飲めずにあった訳です。
吹いたのは一時期だけで、あとはしっかりしていまして液面も殆ど下がっていません。色はかなり薄くなっている様でした。飲んでみますと、特にどこが痛んでいるふうは有りませんが、確かに大層甘いです。
最初は「結構大丈夫じゃないの」と思って少し飲みましたが、いかんせん元々凝縮した作りで無かったらしく(まぁ20年も経ってるし)、ワインとしての味が色と同じでかなり希薄になっていまして、更に時間がたつに従って、次第に「アルコール入り赤い砂糖水」の様相を呈してきたので、飲みきれない分は捨ててしまいました。
貰ったときにすぐ飲んじゃうのが、正解でしたね。最近はモーリの良い評判も聞きます。もし見かけて興味がありましたら、試してみて下さい。良かったら感想も知らせて頂けるとうれしいです。
最後に、この3月に8日間の日程でスキーに行っていた、スイスのヴェルビエにて、夕食時に飲んだワインの感想を短く書きます。価格は全て宿泊したホテルレストランでの値段です。
ホテルは4つ星で、料理もそこそこ美味しかったです。ワインの品揃えも、特に多いと言う訳では有りませんが、結構リーズナブルな値段で、状態の良いワインが揃っていました。 (流石に昨年の様に、リストを見て興奮するようなことは無かったですが)
Petite Arvine 1996 (Yvon Roduit) 59SFr
最初なので、ご挨拶も兼ねて、地元スイスの白ワインを頼みました。どうせなら一番高いの、と注文したのがこのワインです。"Petite Arvine"と言うのは、葡萄の品種の様ですね。私はスイスの白、と言うとシャスラしか知らないのですが、何種類か有るようです。
ちょっとフルーツ風味のある、飲みやすい、美味しいワインでしたが、他のと比べるとちょっと割高な感じはしますね。(それでも日本円にすると、レストラン価格で5千円ちょいなんですが)
Corton Renardes 1988 (M.Gaunoux) 86SFr
部屋に置いたあったリストには、パルメの83が130SFrかそこらで載っていたのですが、これはさすがに売り切れていました。そこでソムリエ氏のお薦めもあり頼んだのが、このワインです。このワインを薦められて断る理由はどこにも有りません、さすがにとても美味しいです。でも安いですね、レストランでこの値段ですから。(100SFr以上のワインは、2、3しか無い)
では、スイスはワインが安いかと言うと、別にそう言うわけでは無くて、町に有ったワイン屋では、ボルドーの有名シャトーなんかは日本と大差ない価格で売っていました。(少しばかり安かったかもしれないけど)
これらは恐らくホテルが、以前の安い時期に買い入れたワインのようです。なおかつ、日本みたいに仕入れ値の3倍とかで売っている訳でも無いのでしょう。
Sancerre "Les Montachins" 1995 (D.Gitton) 63SFr
知らない作り手ですが、通常のサンセールのイメージらしくて、ちょっと軽めですが良かったです。Ch. de la Riviere 1988 (Fronsac) Demi 39SFr
フロンサックのシャトーです。ハーフで頼みましたが、これはとても美味しかったです。特別有名なシャトーではないのですが(名前だけは、何となく記憶に有ったけど)、保存が良かったのでしょうね。丁度飲み頃を迎えていて、とても楽しかったです。