1998年11月 今月の印象に残ったワイン


11月は早々と風邪をひきこみまして、おまけに快復するまでに2週間以上もかかったために、あまりワインを飲んでいません。

あまり飲まない割には、先に注文してあったスペインワインとか、秋のワインフェアで買ったイタリアワインとかが届きまして、そろそろセラーも一杯に成ってしまいまして、「ワイン買うの、もう止めよ」とまたまた思っています。

ワイン専用冷蔵庫などを買われる方には、ハードディスクの容量と一緒で、通常「絶対すぐ一杯になるから、出来るだけ容量の大きい物を買うべき」とアドヴァイスするのが普通です。

私もその例に漏れず、かなり大きいのを買ったつもりですが、あれよあれよと思ううちに一杯に成ってしまいました。懐具合が寂しいならそれなりに、安いワインを買ってしまいますから(最近は安くても興味深いワインが多いですし)、結局は「もう、置くところがない」と言うのが、ワインを買わなくなる一番理由になりえますね。




Ch. Monbousquet 1982

このワインもかなり昔に買ったワインで、何年も温度コントロール無しで置いてあったものです。

多くの反論を覚悟の上で、あえて自分の持つ「感触」を言えば、ボルドーワインの場合は夏を迎え結構温度(30度近く)が高くなっても、「痛んだ」という風なダメージまでは行かない様に思います(吹いていないワインですよ)。

ただ私は、温度はそれなりに高くなるけれど一日の温度変化がかなり少ない、蔵の中に保管してありましたので、あくまでその状況での話となります。

このワインは取り立てて素晴らしいインパクトを与える物ではないものの、非常に綺麗に仕上がったものでした。細身ながらかぐわしい香りとテイストでとても楽しかったです。

モンブスケはサンテミリオン・グランクリュのかなり生産量の多いシャトーですが、その頃の他のサンテミリオンのワインと同じく、最近までは総じて早飲みの軽めワインを作っていたようです。このワインが今も楽しめたのは82年と言う優れたヴィンテージだからでしょう。

パーカーさんのボルドーの2版での評価は Average(つまり最低レベル)で、試飲スコアさえ載っていません。ところが、最近出版された新版のボルドー(英語版)での解説では、90年代になって所有者が変わり、俄然品質が良くなってきた様です。

そのパーカーさんの評では、94年から97年までの毎年、90点以上のスコアになっています。そんなに良くなっているとは、全く知りませんでした。また新生モンブスケをいつか試してみたいですね。




Ch. Figeac 1959

コルクが弱くなって来たのか、少しキャップシールのところが濡れてきている様なので、思い切って開けて飲んでしまいました。

案の定、コルクは結構ゆるかったですが、ワインはまだ大丈夫でした。熟成を経た複雑さと余韻の長さがあり、偉大と言えないまでもとても美味しかったです。

考えてみれば、59のボルドーはかなり飲んでしますが、はずれた事は殆ど有りません。確か一度、オーブリオンのハーフで「醤油風味」に成っていたのがありましたが、飲めなかったのは、それ一度きりです。どのワインもそれなりに美味しいワインばかりでした。本当に、良い年に生まれたな、と思っています。




Ch. La Conceillante 1988

ポムロルのワインは小さな生産者が多いし、またエリア自体も小さいので結構高いのですが、その中でもコンセヤントはまだよく見かける方でしょうか?。比較的生産量の多い、優秀な作り手としてガザン、レヴァンジルあたりと並んで、「ポムロル」らしいワインを産するシャトーですね。

この88のコンセヤントの評価は何故かあまり良くありません。で、「88のコンセヤントがそんなこた、ねーだろう」と思いつつ買ったワインです。

そろそろ飲み頃かと思いつつ開けてみましたが、飲み終わっての全体印象としては、コンセヤントとしてはそれほど印象的な物では無かったと思います。(もちろん充分美味しかったですが)

私は目の詰まった滑らかながら力強いメルローワインをイメージしていたのですが、期待よりも、柔らかいと言うよりは幾分軽く平板にみえ、真の深みと言うものに欠けているように思います。この87を飲んだことが有りますが、むしろ87の方がグリップがあってアフターも長く魅力的にだったかと思います。

ただ以上は、このポムロルの最高級ワインとして比較した場合で、このワイン自体はスタイリッシュで魅力溢れるワインでした。