今月採り上げたワインは3本と、ちょっと少な目です。じっくり飲んだワインが少ないのでそうなったのですが、7月は久しぶりに東京に数日間ゆきまして、その間ずっと毎晩誰かとワインを飲んでいましたので、今月はワインはたくさん飲んだ気がします。帰る前の晩は、知り合いの方が私の滞在に合わせて麻布のレストランでワイン会をしてくれました。今回は各自(私以外)ワインを持ち寄りの会で、最初はブラインドで各自が意見を交換します。
こういう会は、東京とかでは良く行われている事を聞きますが、私は初めてです。ブラインドで飲むって、ある意味怖い所もありますが、(私などは最初から当たらないものだって思っていますので)とても楽しいものです。
「あまり物を言わない方が無難」と言う事は、こういう席においても一面真実ですが、まぁ我々はとんちんかんな事を言ってもお笑いですみますし、とりわけ私はワインが美味しいと、饒舌になるくちですので、当たる当たらないは別としてとにかく何か言います。
同席の方々は本当のプロは居ないけれど、皆ワインに関してはエキスパートな方ばかりで、そういう知り合いと、あーだこーだ、時には他人の意見に感心したりしながら、色々話すのはとても楽しいですね。
でもブラインドは難しい、と言うより普通当たらないですね。皆で話しているとある方向にだんだん収束してゆくのですが、でも本当は全然違っていたりして、、でも「間違うのも、また楽し」です。しかし、ワインは何と楽しい場を提供する飲み物なんでしょうか!
Bricco Manzoni 1990
有名な(だと思うのですけど)ピエモンテの作り手、ロッケ・デ・マンツォーニのブリコ・マンツォーニです。
Rocche dei Manzoniマンツォーニはやはりバローロが看板でして(まだ飲んだ事無いけど)、地元の酒屋のセラーでこのワインを見つけた時は、「お、珍しや90のマンツォーニみっけ!、でもブリコ・マンツォーニってバローロのセカンドかな?」と思ったのでした。
ガンベロ・ロッソの1999年版によると、ブリコ・マンツォーニはネッビオーロとバルベーラとの混醸と書いてありますね。へぇー、こんなワインも有るんですね、イタリアだもんなぁ、、
で、このワインは本当にとても美味しかったです。ちょうど飲み頃を迎えていて、長いアフターと香りが特徴的で極めて魅力的。バルベーラは殆ど飲んだことが無いので、何とも言えませんが、本での知識が無ければ、素晴らしいネッビオーロと信じて疑わないでしょう。
Richebourg 1988
大変有名なワイン、ルロアはこの年からリッシュブールを作り始めました。いくら私でもこんなワインを、何の理由もなくそうそう開けられる訳ではないのですが、今回ちょっと区切りが有ったので飲んでみました。
Leroyテイストは、お値段の事を言ってはなんですが、やはり3万を軽く越えるワインの物ですね(今だと幾らするんだろう)。ルロアのリッシュブール88ですもの、これくらい美味しくなくては、、でも印象を一言で表すと、それはマスキュランと言うか大変しっかりとしたワイン。
開けてから飲んでしまうまで、一貫してしっかりとしたバックボーンを持ち、とても目の詰まった、ストラクチャーのはっきりした、まぁ文句のつけようがない優れたワインです。でも、やはり飲むのがまだ少し早いんでしょうね、官能を奮い立たせる様な広がりには、まだ欠けている様に思いました。
暫く前に友人の全快祝いで、DRCのリッシュブール88を開けた事があるのですが、やはりそのときと印象は良く似ています。このルロアの方がもう少し大柄な感じがしましたが、共に飲み頃はまだ先であろうと言う点においては、共通しています。
Gevrey Chambertin 1993
このワインを買ったのは96年2月ですから、もう3年。前にこのワインを飲んだのは、その頃、地元の酒屋が主催したワイン会ででした。
Claude Dugatその時の事はまだ良く憶えていまして、只の村名ジュブレイ・シャンベルタン(1erクリュでも無い)にしては、大層濃い色でタンニンも強く、いわばガチガチのすごく堅いワインで、正直あまり美味しいとは思いませんでした。
でも、あまりに堅いので、置いておいたらどうなるか興味が有り、そのワイン会の後、何本かその酒屋さんから買いました。もっとも、既にその頃はクロード・デュガはえらく有名で、一級や特級のワインなどはとても手に入らなかった事もあります。購入価格は当時でも8千円と、村名ワインとしてはとても高かったです。
あれからもう3年以上にもなるんですね、で、ワインはと言いますと、これが予想以上に素晴らしく変貌しています。あの堅かったタンニンは失せて深みが顕著、開栓後30分ぐらいが最高に良かったです。1時間以上経つと酸がたってきてちょっと気になってきます。
さすがにクロード・デュガ、単なる村名ワインにしては破格に素晴らしいです。ただしお値段の方もそれなりなので、それを考えると「値段なり」とも言えますね。さて、93のデュガの特級畑のワインはどんな感じなのでしょうか?