複雑時計の憂鬱


機械式時計にも、通常の時間表示以外に、色々付加機能が有ります。代表的な所を挙げると、 こんな所でしょうか。まだ他にも挙げることが出来ると思います。

クロノグラフやムーンフェイズは割とポピュラーな機能ですね。そして中でもトゥールビヨン、ミニッツ・リピーター、永久カレンダーの三つは実現する為の機構が大変複雑で、三大役物とも言われています(従ってこれらの時計は非常に高価)。

機械式時計が好きになりますと、より複雑で精緻な構造を持った、以上のような付加機能を持った時計が魅力的に思えるのは、至極当然の事です。

しかしこの様な複雑で魅力的な時計は、それをを手に入れる事を考えるのと同時に、その後の事も考え合わせる必要があります。デッドストックして使用しない、と言う場合は最初から除外ですが、それは後のメンテナンスの事です。

三起の様な東京の優秀な技術者を抱えている時計修理屋でも、普通はその時計の正規代理店に出してしまう様ですので、物によってはオーバーホールの費用が非常に高いのに驚きます。それは部品交換が必要になった場合、部品を出してくれないからだそうです。

別ページで書きましたが、私がお世話になっている地元の修理店は、そこで出来るメンテならば、非常に安くやってくれます(普通の時計なら大体OK)。ただ、複雑時計はさすがにやってくれなくて、クロノでもなかなかやってくれません。(大変なのに、大してお金を取れないからです)

従って、複雑時計は、正規代理店での非常に高価なメンテナンス代を最初から覚悟しなければなりません。まして複雑時計のアンティーク物を購入した場合、どこかに不都合が有った時には修理に持っていっても、「本当に直るのかなぁ」と心配にもなります。(修理する方も、複雑なのは結構いやがりますから)

まぁ、それでも、お金と時間さえ充分かければ何とか直せてしまうところが、機械式時計の良いところです。「ミニッツリピータ懐中時計、購入のその後」で書きました通り、ミニッツリピーターでも直して頂きました。

それでも、私は中でもパワーリザーブが好きで、パワーリザーブ表示付きの時計は、好んで買っています。

また、クロノグラフの腕時計も持っています。「クロノなんて使わないや」と初めは思っていましたが、有ると有ったで結構便利でして、実際時折使います。クロノはダイアルも精悍に見えるし、やはり良いですね。

メンテナンスの費用は気がかりですが、結局は本人の好き好きでしょう。でも毎日常用する時計は、シンプルなのが良い様に思いますが。