1997年6月 今月の印象に残ったワイン


6月は2日に

Grand Echezeaux 1988 (R.Engel)

を開けました。

ほぼ同時期に買った同じ作り手の86を何度も開けましたが、殆ど明らかに痛んでいてダメな物ばかりでした。それは作り手が悪いのでは無く、原因は恐らく経路だと思います。まともな保管をしていなかったろうと、容易に察しがつくテイストでした。

しかし、さすがに88は飲めるだろうと開けてみましたが、やはり同じくダメ。ああ、どうしましょう、これまだ何本も有るのです。オークションでは、この様に状態の悪いのも有るかも知れませんから、1ロットの本数が多いとき気を付けませう。


前日のショックから立ち直るために、次の日は冒険はしないで、「絶対美味しいワイン」を開けることにしました。

Ch. La Conseillante 1982


私の好きなポムロル、その中でも一等ポムロルらしくて(この辺は、また異論も有るでしょうが、)大好きなラ・コンセイヤントの、82はずいぶん前に何本か買っています。でも開けるのは初めてなんですね。

既に結構柔らかくなっています。暫く温度管理をしていないところに置いて有ったせいか熟成が進んでいます。複数本あるので、最初の1本はもう少し早めに開けてあげた方がよかったかも、とおもいました。

でも、美味しいワインを飲む、と言う当初の目的は達せられていたので、一応は満足でした。


Richebourg 1986 (Hudelot-Noellat)


このワインも、オークションで結構多い本数のロットで落札したものの、これまでにあけたボトルは、やはりどうも状態が悪いようで、良い印象が全くないワインでした(一応「リッシュブール」なんですが)。もう後のボトルは人にあげてしまうか、捨ててしまおうか、と思っていましたが、最後に一番状態の良いボトルを開けてみようと、アリッジ(ullage:欠損量)が一番少ないボトルを開けてみました。

で、このボトルは大変良かったです。そんなに飲んでいる訳で有りませんが、私の中では、ユドロ・ノエラはいつも結構評価高いです。残りのボトルもこのくらい美味しいと良いのですが、、


Hospices de Beaune
Mazis chambertin cuvee Madeleine Collignon 1990


先の96年10月のレポートでも書きました通り、数あるオスピスのキュベの中でも、通常最も高価に落札されるのが、この Mazis chambertin cuvee Madeleine Collignon です。

ラベルに依ると、90年の落札はサントリーの名前になっていますね、知りませんでした。実際にはカルベ社が瓶詰めした様ですが。

このワインはつい先日1万円と少しで売っていましたので買いました。90と言えばブルゴーニュでも素晴らしい年です。そして、評価の高い高名な畑、悪い訳は無いでしょうが、「少々不安」も有ったので、1カ月ほど寝かせた後、さっそく開けて試飲してみました。その訳は、何でもこのワインはまだずいぶんと在庫が有る様で、試飲の結果が良ければもう少し買っておいてもよいかな、と思ったからでした。

さて、その「少々の不安」とは何かと言いますと、90はそれまでオスピスで素晴らしいワインを作って来た、ポルシュレさんが居ない時期のワインだからです。この時期のオスピスはあまり良くない、と、どっかで読んだような気もします。「でも90だし」と思いつつあけたのでした。

結果は、「悪くは無いけど、あまり大したことはない」と言うのが、1本飲んだ時点での正直な感想です。最も、1回くらい飲んだだけで、その銘柄の良し悪しを決めてしまってはいけないと思いますが、、、


6月12日より、ニュージーランドに行く機会に恵まれまして、オークランド近郊のワイナリーを幾つか回っても来ました。ワインも結構飲んで来ました。その報告は

「xiphioのニュージーランドワイン・エトセトラ」

の項をご覧下さい。


Torre Ercolana 1988


昨年(96年)秋に買ったワインで、イタリアはラツィオ州のVdTです。荒井さんの「イタリアワイン読本」に依りますと使用葡萄は、カベルネ・ソービニオン、メルロ、チェサネーゼという事で、ほぼボルドースタイル(ボルドーではチェサネーゼは使いませんが)のワインです。

初めは知らなかったのですが、実は大変有名なVdTである由。最近、飲んだ方の感想も拝見しましたが、ボルドーワインに似ている、との事だったと思います。それで私も開けて飲んでみることにしました。

既に飲み頃か、と思って居たのですが、まだタンニンが感じられて、私の感覚ではまだちょっと早いように思いました。いかにも南の産らしい、豊かで充実した感触を受けました。

私には南フランスのボルドータイプのワインに良く似ている様におもわれました。具体的に今までの記憶の中で一番近いのが、昔飲んだトレバロン(Domaine de Trevallon)で、それ以外で最近飲んだ内ではシャトー・ロマナン(Ch. Romanin)あたりが幾らか、と言う所です。共にコトー・デュクサン・プロヴァンス(Coteaux d'Aix-en Provence)のワインです。まだ飲んで居ませんが、マ・ド・デュマ・ガサ(Mas de Daumas Gassac)の赤にも似ている事でしょう。

1、2年後に次のボトルを開けてみたいと思います。その時が楽しみです。