「まぁ、ワイン本なんて季節物、手っ取り早く出して売り上げを重ねた方が良い」、のでしょうねぇ、、、
今年の11月に、某有名ワイン評価本の改訂版日本語訳が出ますが、最初はお手伝いの予定で7月の間少し私も翻訳に関わりました。しかし、些細な誤りの完全訂正や、今後のリファレンスに耐えうる、考え抜かれた用語使用、及び訳語割り当て、等々、「良い本」を目指していた方々は結局途中で仕事を外されてしまい(その方のお手伝いの私も外れた)、急遽依頼先を変更、分厚い本でありながら8月半ばから取りかかって11月には、即製翻訳本が出来上がる見込み。
でもこの本、学術書でもなければ、正式なリファレンスでもないので、(私も含めた)殆どの方にとって、それはどっちでも良いのかも知れません。恐らく批判も出ないでしょう。私だって別の本でも、「そう言われてみれば酷い訳だけど、まぁ日本語にしてくれるだけ有り難いし、普通は気にしない」と思ってますし、、
所で、毎年秋に行われていた、クリスティーズ主催のワインの東京オークションは、本年は取りやめに成ったそうです。(昨年('97)参加したときのレポート、「クリスティーズ、東京ワインオークション(平成9年10月)」も良ければご覧下さい)
長い間毎年行われていたし、特に近年はワインブームもあって、「今が稼ぎ時なのにぃ」と思いましたが、実は、ワイン部門のトップの担当者がやめてしまい(この春、確かフランスのオークション会社に引く抜かれたんですね、あちらこちらの外国のワイン雑誌に載ってました)、後任がなかなか決まらず、その影響で結局取りやめになったそうです。
昨年の事を考えると、とても期待できるオークションでは有りませんが、長年毎年やってたので、ちょっと残念ではあります。来年はまたやるようです。
昨年(97年)の6月にニュージーランド(以下NZ)に行った時、オークランド近郊のワインメーカー、ノビロを訪問したとき買って帰ったワインです。
Nobilo Pinotage Cabernet Sauvignon Reserve 1987その時の各ワイナリー見学等々の報告は「xiphioのニュージーランドワイン・エトセトラ」をご覧下さい。ノビロも載っています。
また、一緒に買って帰った"Concept3"と言うワインは、昨年飲んでレポート済みです。良かったら読んでみて下さい。
ノビロは普及クラスのワインが日本にも輸入されていますが、買って帰ったのは、まぁ(Concept3もそうでしたが)そのワイナリーで無ければ買えない、結構珍しいワインだと思います。
ヴィンテージも、こんな古いのはNZワインでは見かけることは無いのですが、それより使用葡萄ですね。ラベルに記載されて居るとおり「ピノタージュ」と「カベルネ・ソーヴィニョン」が使われています。
で、このピノタージュと言う葡萄は珍しいですね、私も初めてです。以前ヴィノテークに、最近オーストラリアあたりで栽培され初めている、と記載されて居たのを憶えていましたが、実際その葡萄を使ったワインを見るのは初めてでした。(この葡萄、H.Jのポケット・ワインブックにも記載が有りません)
ワイン関連の百科事典、"The Oxford Companion to Wine"によりますと、1925年にピノ・ノワールとサンソー(Cinsaut)のかけ合わせで南アフリカで作られた葡萄品種である由。更に詳しくは同書、若しくは(持ってないので書名がはっきりしませんが)ロビンソン女史の葡萄品種についての小事典を参照して下さい。
味の方は、本当のところ余り期待していなかったのですが、意外と美味しいので、とても嬉しくなりました。
このワインはラベルに有るとおり、ピノタージュとカベルネとのブレンドですが、ノビロのカベルネはどうも長期熟成に適さない様で、カベルネの特徴は既に失われているように思います。これは、カベルネだけで作られたConcept3を飲んだときの印象と矛盾しません。
そしてこのワインを飲んだときの香りとかの特徴は、結構ピノを思わせる物でした。知っているからそう思うのかも知れませんが、熟成したピノを想起する香りとテイストで、「ピノタージュ、結構良いかも知れない」と思ってしまいました。(最初は、何でこんな変なワイン買って帰ったのだろう、、と後悔してたのですが、、)
NZで買ったあるワイン本で見てみると、ノビロはピノタージュのワインをコンスタントに出しているようですね。Huapaiに畑が有るようです。ただしその評論は、「軽いワインで、薄いボジョレの様に思えて、単純で、心動かされない、云々」と有ります。
1、2年前に結構出回っていたワインですね。これは最初に見かけた時に(ユキヤです)買いました。その後あっちこっちで見かけました、きっと買われた方も多いのでは無いでしょうか。
Gevrey Chanbertin Lavaux St.Jacques 1988
Dom. Rene Leclercブルゴーニュでルクレールと言えば、フィリップ・ルクレールとこのルネ・ルクレールですね。二人は兄弟だそうです(ルネは弟)。一般的評価は(私はまだ飲み比べた事が無いので)やはり、兄のフィリップが幾分上です。
高名なフィリップ・ルクレールの弟と言うだけで実は大したことないのでは無いか、と危惧しながらの開栓でしたが、心配を吹き飛ばす、なかなか素晴らしいワインでした。この90も有るので、結構楽しみです。
モンタルチーノは、イタリアワインの中でも、私が好きなワインの内の一つです。
Brunello di Montalcino 1990
Campogiovanni葡萄はブルネッロ種ですが、キャンティで使われるサンジョベーゼのごく近縁でありながら、出来上がったワインは(私のイメージのなかでは)かなり違ったものに思えます。サンジョベーゼのキャンティらは、際だった直ぐにそれと判る綺麗な酸が特徴ですし、ブルネッロは豊かさや後味の滑らかさに特徴が有るのでは、と私の少ない経験では思います。
この1990年はトスカナでは大変良い年で、今となっては(ボルドーも同様ですが)見つけることすら難しくなってしまいまいた。作り手のカンポジョヴァンニは、評判の良い作り手ですね。
評価の高いワインでしたので、暫くしてから開けてみたわけですが、開栓すぐは、特にタンニンがあたると言うわけでないのですが、総じてタイトでまだまだ堅い感じでした。何分後と言うより、次の日がより美味しかったです。しっかりした良いワインでした、もしかしたら飲み頃はもう少し先なのかも知れません。
P.S.
この原稿を書いている時点で、コスタンティのモンタルチーノ90を飲んでいます、このカンポジョヴァンニも結構良いと思いましたが、こちらも素晴らしいです。でも、タイプが大分違いますね。
つい先日、神戸のベリエに行ったときに買ったワインです。価格16,700円と言う、スペインワインとしては破格に高価なワインですが、91と言うことで(娘のヴィンテージなのです)ついつい買ってしまいました。
Perez Pascuas Gran Reserva 1991ただ何も知らずに買ったのでは無く、スペインワインとして結構有名なペドロサのスペシャルキュベと知らされて、買った訳です。帰ってタンザー氏のIWCを見てみましたら、このワインについても評論してありましたね(評者はゲリー・ドーズ)。
また、その後届いたヴィノテークも丁度スペイン特集が載っていまして、このワインの事も記述が有りました。とってもタイムリー!。
いわゆる「ペドロサ」と言う名前で良く見かけます、スペインはリベラ・デル・ドゥエロのワインの作り手の正式な名前は、"Bodegas Hermanos Peres Pascuas, Perodosa du Duero"と言うらしいです。ペドロサと言うのは村の名前の様ですね。
そこで、樹齢50年以上のテンプラニーリョだけから作られるワインが、このペレス・パスクアス・グラン・レセルヴァ1991です。生産本数4750本、発売時の価格US$70、とのことです。(ちょっと高くなってますね)
IWCに10年以上待つ必要あり、と書かれていたのでデカンタしましたが、ともかく非常に凝縮した感じのワインです。香りは重く深くとてもスモーキー、でもまだまだ閉じている感じでした。飲んでもさすがにとても重い感じ、4人程で飲みましたが、美味しいと言う意見も多かったですが、価格を考えて上で、好みか?、と問われると現時点では分かれるでしょう。
やはり、10年後のワインかも知れません。ただその10年後が、私などにはちょっと予想がつかないワインです。
ここ徳島ではお盆の阿波踊りの最終日、8月15日に、神戸よりワインバーをやっていらっしゃる方が数組、ご夫婦でいらっしゃいました。夕食は和食なのですが、皆さん赤ワインが良いと言うことで、私が以上のようなワインを出して飲みました。
- Grands Echezeaux 1988 (R.Engel)
- Echezeaux 1983 (Mongeard Mugneret)
- Clos Vougeot "Musigni" 1985 (Gros Frere et Soeur)
- Romanee St.Vivant Marey-Monge 1976 (D.R.C.)
- Ch. Leoville Las Cases 1966
- Ch. Cos d'Estournel 1959
- Ch. Certan de May 1990
- Chianti Classico Roserva 1990 (Castello di Gabbiano)
- Ch. Gilette Creme de Tete 1976
セルタン・ド・メイまでが夕食時に、その後は場所を移して飲みました。最後のジレットだけ、神戸から持参されたワインです。(岩崎さん、ありがとう!)
どれも良かったですが、印象に残った物ですと、まず、DRCのロマネ・サン・ヴィヴァン76です。過去に何本か飲んだワインですが、今回のボトルが一番状態が良かったです。いままで、76のDRCは駄目だと思っていましたが、考えを変えなくてはいけないかも知れません。
ボルドーでは、66のラスカズも良かったですが、やはり59のコス・デストゥネルでしょう。恥ずかしながら、細かい香りやテイストの記憶が定かでは有りませんが、良く熟成した美味しいワインでした。
各ワインの紹介など、色々書きたいこともありますが、そんなことをしていると改訂が10月になってしまいそうなんで、今回はラベルをずらずら並べるだけで手抜きをしてしまいます、申し訳なし。