1999年10月 今月の印象に残ったワイン


10月、やっと涼しくなる季節で、イコール、それはワインも美味しくなる季節ですね。(でも今年はいつまでも暑かったですね、私の所のセラーの空調は10月も殆どフル稼働でした)

その10月のある日、県外から知り合いの方が何人も徳島に来ましてワイン会をしました。今回は、私のワインを飲む会、なんだそうで、一応ワインの提供は全て私になりました。(ワイン代は頂けます)

と言ってもシビアなリクエストが来ていまして、ラトゥールの90とマルゴーの90です。(彼らは、私がこの双方のワインを殆ど1万円で買っているのを知っている!)

その他、シャンパン、白ワイン、甘口などを揃えて、当日飲んだワインは次の通りです。

最初のカクテルはお店の、アルザスの71(すいません、銘柄記録し忘れです)とバタール・モンラッシェはいらした方が持ってこられたワインです。

で、肝心のパーカー100点の90年のマルゴーと、殆ど100点の同じく90年のラツゥールですが、どんなワインだったか、殆ど記憶に有りません。

別に酔って記憶がないのでは無く(酔い過ぎない内にと言うことで、早めに飲んだ)、最近のワインだからタンニンがきつくて飲めない、とか言うことも無くそこそこ飲めるのですが、正体を見つけるにはまだまだ若すぎて、殆ど何も判らない内に飲んでしまいました。

マルゴーもラトゥールも「それらしい気がする」と言うぐらいで、何かよくわからないうちに飲み終わっていました。もう少し時間を置いてからゆっくり飲んだら面白かったのでしょうが、、、

私としては先のピション・バロン70のマグナムが、とても美味しくて嬉しかったです。こういうのが、程良く熟成したボルドーでしょうね。ヴィンヤード29も、今が飲み頃で大層美味しかったです。

私が一番楽しみにしていた、最後の甘口のワインについては、別にして下記に書きましたから読んでください。




Morton Estate Black Label Merlot/Cabernet 1995

モートンエステイトはとても評判の良いニュージーランドのワインナリーです。特にこのブラックラベル(一番良いクラス)は評価が非常に高いですね。

多分日本で手に入りやすくてかつ一般的評価も高いNZワインは、このモートンエステイトのブラックラベルとヴィラマリアのリザーブシリーズです。(白だとクラウディベイも入りますね)

醸造所は"Bay of Plenty"と言う地区で、オークランドから南東方向にあたる地域ですが、葡萄畑はホークベイとマールボロ地区に有るようです。手元の資料によると、殆ど100%自社畑だそうで、この規模のワイナリーとしてはちょっと例外的かも知れません。

ワインはさすがに大変手堅い物で、メルロが多くてそれにカベルネのブレンドなのですが、メルロの滑らかさの中に、カベルネの持つ複雑さが見えて、結構面白いですし、今飲んでとても美味しいです。考え方によればNZの赤ワインらしい、とも言えるかも知れません。

ただ今はとても美味しいのですが、前に飲んだ同じNZワインのハリアー・ライズに比べて、熟成の可能性にはどうとも言えません(まぁハリアー・ライズは結構マニアックですが)。実際次の日に飲んだワインは、あまり気を惹かないものでした。




Chianti Classico Riserva Rancia 1993
Fattoria di Felsina

フェルジーナのランチア、ガンベロ=ロッソでもトッレビッキエーリ(3グラス評価)をとっているワインです。(フェルシーナはトッレビッキエーリの常連です)

でも何故か、このワインはあまり特徴の無いワインで、ちょっと残念でした。(どうしてかなぁ、、)




Masseto 1993
Tenuta dell'Ornellaia

オルネライアを作るファットリアが作る、100%メルロのワインが、マセトゥです。

最近トスカナ(や、その近隣地区)のメルロ100%のワインがとても人気ですが、ラパリータと共に、そのトップにたつワインですね(もちろん人気の面でも)。

マセトゥは初めて飲みましたが、やはり素晴らしいですね。濃いだけでなく、メルロとしての良さと、その中に微妙なニュアンスを持ち合わせています。




Archery Summit Vireton 1997

白ワインと言うと、私の好みはもろブルゴーニュ(それもモンラッシェあたりの)のシャルドネなんですが、最近食事と共に摂るには、もう少しドライで切れの良いワインも良いな、と思うようになりました。

それで買った白が、このアーチェリー・サミットのヴィレトンです。アーチェリー・サミットはオレゴンのとても評価の高いワイナリーで、赤はピノ・ノワールを作っていますが、白はこのピノ・グリから作るヴィレトンを作っています。(シャルドネじゃないところが、面白いですね)

白の品種としてはシャルドネ以外には、ソーヴィニオン・ブランも嫌いでは無いのですが、特に好きなわけでも無く、却ってピノ・グリあたりが好みです。(シャスラなんてのも結構好きです)

このヴィレトンはさすがに大変良くできていて、それゆえすぐにはピノ・グリとは思えないぐらいですが、やはり料理とはなかなかいいですね。一緒に赤のピノも買ってあるので、こちらも楽しみです。




Niersteiner Auflangen Heiliger
Dreikonigswein hochfeine Auslese 1964
Kurfurstenhof

先に書いたワイン会に出したワインですが、その中でも私が最も楽しみにしていたワインです。(甘いのは一人ではまず開けられないので)

ただの64のニアシュタイナーのアウスレーゼではなく、"Dreikonigswein"と記述があります。この「ドライケーニヒスヴァイン」の事は私も知らなかったので調べたところ、「ポケットブック・ドイツワイン」と言う本に説明が載っていましたので、以下に転記します


Dreikonigswein 「ドライケーニヒスヴァイン」

3人の王のワイン。1971年まで、1月6日に収穫されたアイスヴァインに限り許された呼称。現在はラベル上には記せないが、広告宣伝文には記述できる。実際には過去のものとなったチャーミングな名称である。


「アイスヴァインに限り、、」とかかれているが、ラベル上ではアウスレーゼとしか書いてありません。この時代の記述は曖昧なので、実はアイスヴァインなのかも知れません。また、この時期に収穫するから、殆どの場合アイスヴァインであったのでこのような解説になったのかも知れません。

ワインはブラウンがかっています。古い大変良くできたソーテルヌのさまで、大変素晴らしい、とても甘く美味しく、期待に違わぬ素晴らしいワインでした。間違いなく今月一、印象的なワイン。




Cain Five 1995

カリフォルニアの90年以降に出てきた「カルト」なカベルネは、早くから飲めてインパクトがあって、とても美味しいことから大層人気で、中には入手難で買うのに数十万するワインも有るようですが、このケイン・ファイブも最近人気のワインです。

先のワイン会に出そうと用意したのですが、結局このワインは飲まなかったので一人で飲んでみましたが、さすがに美味しくて素晴らしいワインでした。

完全に今飲んで大丈夫で、本当言うと私は好みとしては充分熟成したワインが好きなのですが、これほど美味しいと何年も待ってこのワインを熟成させる気にはなかなかならないですね。(この手のワインを熟成させて美味しいかどうかは議論の余地がありますが、、)




Musigny Vieilles Vignes 1993
Domaine Comte Georges de Vogue

特級畑ミュジニーの大看板、ヴォギュエのミュジニーです。実際に10.7haのこの畑の内、実に7.3haがヴォギュエの畑となっています。

畑の広さだけでなく、その品質でもミュジニーの看板であったのですが、多くの評論では70年代から80年代後半までは、あまり良くなかったみたいですね。

私は10年前に新婚旅行でパリに行ったとき、初めてヴォギュエのミュジニーをレストランで飲みました。その小さなレストランでは飛び抜けて高いワインだったのですが(多分83年、日本円で1万5千円位したかなぁ)、そこそこ美味しくはありましたが、ミュジニーにしては期待はずれの気もしました。

それからぜんぜん飲まない内に、ヴォギュエの評判は急速に過去の名声を取り戻し、90年以降のヴィンテージでは常に称賛の的となっていますね。(値段も高い)

この93のミュジニーも評価は非常に高いので、リリースされたとき、ちょい無理をして何本か買いました。3年以上飲まないでずっと置いてあったのですが、ついに1本飲んでみました。

まず最初に気が付いたところは、その色です。93にブルゴーニュにしては濃いですし、そして色がとても鮮やかですね、まるでリリースされたばかりの様な鮮烈さを持っています。

そんな訳でとても期待して飲んだのですが、感じとしてまだ全然ひらいていないワインで、その凝縮感だけが印象的でした。タンニンもまだ随分感じられて、飲み頃はまだ先かも知れませんが、そんな事より何よりなんか凝り固まった様な凝縮したワインでした。

このワインが先々どうなるか、本当の事は分かりませんが(高かったし、美味しくなってくれないと困るんだけど、、)、1年後くらいにまた飲んでみたいです。