1999年12月 今月の印象に残ったワイン


12月、世の中は忘年会やらなんやらで、酒飲みのシーズンでしょうか?。

私は毎年ながら、この時期は宴会に出かける事とは殆ど無縁の状態になります。今年はそれを逆手に取って、12月は、前々から楽しみにしていたワインを開けようと計画していたのですが、18日頃から風邪にかかり、それがまた直りかかったら、また別の風邪にかかったらしく、結局正月中も、体調不良のまま過ごしてしまいました。(それでも正月はシャンパン開けてましたが)

ワインを楽しむには、何と言っても一番大事なのは、自分の体調、と言うことは今更によく分かりますね。

以前、体調のせいでもうワインが飲めなくなり、保管してあったワインと、ワイン専用冷蔵庫を売ります、との案内を見たことがあります(結構良いワインが有ったように記憶しています、私は買いませんでしたが)。それより、私もワインが好きだからこそ、その方の無念さがよく分かるような気がします。

皆さんも風邪なんかの病気には気をつけて下さい、それから飲み過ぎも、です。




Ch. Montus Cuvee Prestige 1992

マディランと言うACで、フランス南西部(シュッド・ウェストと言う)のワイン産地の中のACのワイン。カオールとかガイヤックとかもこの地域のACです。

そのマディランの中でも、一際注目をあびているのが、アラン・ブリュモンが作るワインがシャトー・モンテュスです(他にもブスカッセとか色々作っていますが)。カベルネのブレンドワインが多いのですが、この地に特別な品種のタナと言う葡萄のみから作られたのが、このモンテュス・キュベ・プレステージです。

ブリュモンさんは96年に初来日し、私もその頃に初めて91のモンテュス・キュベ・プレステージを飲んで、びっくりした事が有ります。そのことは、96年11月の項に有りますので、良かったら読んでみて下さい。

そんな訳で、それからすぐ買ってみたのが、この92年のモンテュス・キュベ・プレステージです。96年にその91を初めて飲んだ時も、まだ若いと思っていたので、この92は開栓を随分待ったのですが(結局買ってから3年間)、そろそろ1本ぐらい良いのではないかと、開けてみることにしました。

で、待った甲斐があったと言えます。うーん、とても素晴らしい。強いて言えばボルドーライクと言えるのですが、明らかに違いますね。それよりずっと力強くボールドな感じでありながら、それでいて粗野にならないところが良いです。また深く豊かでも有ります。タナって良い葡萄ですね、、いや作り方次第なんでしょうけど、、

モンテュス・キュベ・プレステージについては、95が更に素晴らしい評価を得ているようです。飲めるのは、また3年ほど先でしょうが。




Hartwell Cabernet Sauvignon 1990
Stags Leap District

ハートウェルの90年。このワインは生産量が大変少なくかなり珍しいワインです(かなりカルトっぽいワインです)。このワインもヴィンヤード29と同じく、グレースファミリーの葡萄のクローンを使い、また実際の醸造もグレースでやっています。

そんな訳で、昔は結構人気だったと思うのですが、95あたりからスーパーフィロキセラの被害を受けて生産量が激減しているみたいですね。最近の評価も、あまり芳しい物ではないですし、、。
このワインは、やはり3年前、インターネットで見つけたアメリカの酒屋さんから買った物です。今やこの90なんて、どこ探しても見つけるのは困難でしょうけど。

このワインも素晴らしかったです。デカンタをしましたが、その途中から芳香がたっていたし、何より色の綺麗さに驚きました。まだ深く濃い赤ですが、非常に照りがあって輝いていました。グラスの中でも、とてもレッグが長かったです。

テイストは色と連れ添うように、深淵とも言え、表面はまたレースのような複雑さを持っています。アフターにも常に深みをたたえていて、とにかく美しく魅力的なワインです。ボルドーとは違った、カベルネの大きな華と言えます。

最近よく口にする、力強くて甘いカルフォルニアワインとは少々傾向が違うと思いますが、(90年と幾らか熟成しているからかも知れないが、)私は大変気に入りました。




Clos Vougeot 1994
Anne & Francois Gros

グロ家の1つAnne et Francois Grosのクロ・ヴジョです。現在、グロ家は幾つかに分かれていて大変ややこしいので、まずは整理をしておきます。(ワイナートの第2号を参照しました)

今グロ家関係の作り手は、4つあります。

上の3つが、昔のジャン・グロの3人の子供になります。ジャン・グロの兄弟のフランソワ・グロを娘が継いだのが4番目のアンヌ・グロですが、最近まで、アンヌ・エ・フランソワ・グロと言う名前になっていました。(今回飲んだのはそのワイン)

一方、ジャン・グロの娘の方は「アンヌ=フランソワ」と言う名前だったので、アンヌ−フランソワ・グロとなります。結局名前としては、「エ」が有るか無いかだけの違いで、また共に旗艦がリッシュブールでもあり、恐ろしく区別がつきにくい状況でした。

まぁ、アンヌ−フランソワ・グロはA.F.Grosと書いてますし、ラベルの感じは全く違いますので、知っていれば間違うことは無いんですけれどね。
(Anne et Francois Gros(今のAnne Gros)はご覧のようなラベルですし、A.F.Grosの方は、女性の顔のイラストがラベルに入っている素敵なラベルです。)

クロ・ヴジョと言えば、どの部分を持っているかによって素性も知れるところですが、調べてみたところフランソワ・グロの畑は、クロ・ヴジョでも上部から中部にかけて、上部はグランエシェゾーに接しています。なかなか良い場所ですね。

94と言うかなり若いワインを開けたのですが、暫く前、東京に行ったときに、A.F.Grosの方の95を飲ませてもらいまして、若いながらも大変美味しかったので、Anne et Francois Grosも飲んでみたくなった訳です。

開けてみまして、先に飲んだA.F.Grosに負けず、大変美味しいブルゴーニュで、大いに満足しました。この所ブルゴーニュの若いめのと言うと、93の閉じ気味のグランヴァン(非常に評価が高い)に、これは置いておけばやっぱし美味しくなるんだろうかと、思案しながら飲むことが何度か有ったので、、、

これは大変良くできたワインで、美しく綺麗な果実味と、いわゆるチェリーの香りが芳しいワインです。それでいて平板ではなく、ブルゴーニュワインのチャーミングさにも溢れています。ワインの構造も良く、あまり良くないと言われる94なんですが、そう言う事はワインからは感じませんね。(94はそんなに悪くないんじゃないかと思ったりするのですが、、)

少し前、知り合い宅で、ブルゴーニュを回ってきた、と見せてもらった写真の中に、このアンヌさんの写真を発見!、私もお会いしたいです、、