1997年8月 今月の印象に残ったワイン


8月は中頃に冷蔵庫をちょっと改良した、小さなワイン保管庫を作りまして、これからは手元で温度管理出来て飲める、と思っていた矢先夏風邪を引き込み、現在に至るまでずっとワインが飲めませんでした。

そんな訳で今月は取り上げるワインが少ないです(すいません)。でも、その分、最近幾つか新しい項目のページを書きました。

かれこれ2週間近くなった現在もまだ咳が残っています、困った物です。でもワインを常飲しないせいか、既に持病と言えるかも知れない食道炎は、最近幾らか良くて胸焼けもそう酷くは無いです。何が何によいのだか、よくわかりませんが、、


8月の最初に飲んだのが、

Yarra Yering Dry Red No.1 1992



オーストラリアのワインです。"Dry Red No.1"とはカベルネ・ソーヴィニオンから作ったワインです。私は実の所、オーストラリアのワインは良く知らなくて、確かこれが初めて自分で買うオーストラリアワインだと思います。

暫く前から、いわゆるニューワールドのワインはトレンドと言える位で、私など「時代遅れ」と言われそうですね。

97年6月にニュージーランドに行く前、NZワイン勉強のために何度も読み直した、"The Australian and New Zealand Wine Vintage"(通称 The Gold Book)によって、「あれこれ面白そう」とか言う感じで見たのが、私の場合、それぞれのオーストラリアワインに興味を持った最初です。

で、何でまずヤラ・イェリングを買ったかと言いますと、ヴィノテークで見たからです。別に記事を読んででは有りません。掲載されていた写真の、作り手のおっちゃんの風体に、何だか凄く惹かれる物があったからです。他に理由は有りません。(記事はいつも誉めてあるしね。)

ここは普通、日本にインポーターが有る作り手しか載せないので、探しますと実はあちらこちらで売っていました。結局、夏期の配送を嫌ったため、神戸に行ったときにワインショップ・ベリエで買いました。(4400円、93はもうちょい高かったです。因みにここは良いワイン屋さんです。)

我慢できず1カ月足らずで飲んでみましたが、期待に違わず、これは美味しかったです。熟したタンニン、果実味と深み、そして複雑さも有って、良いバランスです。私はとても気に入りました。

オーストラリアの赤は、あまり飲んだ事がなくって、今年(97年)春のフーデックスで(オーストラリアはかなり力が入っていました)試飲したオーストラリアの赤ワインは、どれもそう感心しなかったのですが、やはり美味しいワインは各国に色々ありますね。

昔、LPの時代、レコードの多くを、ジャケットからのインスピレーションのみで買っていましたが、まぁ、同じ様な事をワインでもやっている訳です。当然、人には薦められない買い方です。


ボルドーのいわゆる8大シャトーで、(みんな好きなんですが)一番私の好みと言う事で顕著に惹かれるのがオーブリオン、そして8つには入れてらってないのですが、ラ・ミッション・オーブリオンです。

何故か私はあの、グラーヴ特有の「土臭ささ」(earthy と言う)とか、「刻みタバコ」とか表現される香りがとても好きです。ただし、昔からこれらの表現が好きでは有りません。アーシィと言えばまだ良いのですが、土臭いと表現すると、どうも洗練された所が無いような印象ですし(そんな事は無いのですが)、またタバコが大嫌いな私にとって、後者の表現はかなり抵抗が有ります。

でも他にあの香りの表現の方法を、今の所持っていません。どなたか、良い表現センテンスが有れば是非教えて下さい。


8月上旬に

Ch. Haut Brion 1979

を飲みました。ピクチャーは必要ないでしょう。素晴らしく美味しかったです。

ただ、こんな当たり前な有名なワインの事を、わざわざここに書く理由は、1979と言うそのヴィンテージに有ります。79のボルドーは悪くは無いものの、そこそこのヴィンテージと見られています。現在、中には下り坂のワインも多いことでしょう。

ただR.パーカーJr氏の評論によるとオーブリオンの79はそのヴィンテージ最高の出来との事で、同じオーブリオンの75、78より評価は上です(93点ついています)。ヴィンテージ自体の評価は、75が大変良く、78もなかなか良い評価で、79なんかよりもずっと良いです。(事実私もそう思います)

オーブリオンの79を飲むのは今回が始めてであり、また75も78もあまり数は飲んでいませんが、私が飲んだ範囲ではやはりパーカーさんの評論の通り、79が一番良いみたいですね。

最近一部の間ではパーカーさんの批判をするのが慣例の様ですが、いずれも「ワイン評論家がワイン評論家を評論する」と言う、ちょっと文にすると変な図式になっています。でもそうではなく、一般ワイン消費者がパーカーを批判しているのは、あまり聞いたことが有りません。

パーカーさんの分かり易さを全面にだしたシステムは、それまで深くワインと関わってきた同業者から見れば、批判もしたくなるのは、私も分からないでは有りません。それよりも一番の問題は、パーカーさんの評論が凄い影響力を持ちだした事でしょうね(これは、確かに問題です)。

まぁ評論家どうしの鞘当ては勝手にやってもらうとして、やはりパーカーさんの評論は結構当たっていることが多い、と言うのが、彼とは好みが少し違うかも知れないと認識した上での、私の個人的な印象です。まぁ当然、たまには全然違っていることも有ります。

自分が飲んだボトルがはずれだった場合に違うのは当たり前ですが、評論よりずっと美味しい場合もあります。そう言うときは、決まってその場の話題になりますよね。でも、そう言うことが有りながらも、やはり「結構当たっているよね」と言うのが私の感想です。

私はワイン評論の書き方としては、C.コーツMWさんの評論が結構好きなんですが、例えばC.コーツさんとパーカーさんの意見が違う場合、どちらを重視するかと言われれば、パーカーさんになってしまいます(C.コーツさんごめんなさい)。