1999年11月 今月の印象に残ったワイン


11月は徳島や東京で知り合いとワインを楽しむ事が何度かあり、家でじっくり飲んだワインが少なかったので、いつもの様に画像付きで採り上げるのはいくらか少な目です。

そのワイン会の内の1つ、東京での会は数ヶ月前から予定が決まっていて、出席メンバーも私とごく親しい人ばかりで、皆と一緒に食事できることを前々から本当に楽しみにしていました。

今回のそのワイン会は、全て私提供と言うことで、予定が決まってすぐに徳島からレストランの方にワインを送ってありました。澱の多い古いワインも、この様に何ヶ月か前に予定が決まっていれば大丈夫ですね。

ワインは以下の通りです。私が既に一度飲んで、ここにも採り上げたワインが多く、言わば「自信作」です。瓶はすべてレストランに置いてきたため、画像は有りません。

最初にお店でシャンパンを取りました、バランクールだったような気がします(憶えて無くてすいません)。

最初のラヴノーのレ・クロは99年1月のレポートにも書きました。さすがに評判良かったです。LLのドモワゼルは、かわいそうに半ば死んでいました。一応テイスティング後、「ごめんなさい、これは飲まないように」と言いました。何度も同じワインを飲んでいますが、今回のが一番悪かったみたいです。

St.Nesbitもやはり、99年の4月のレポートで書いています。その時も激賞したと思いますが、1口目から持参した本人が一番美味しいと騒いでいたと思います。今思えば皆さんは割と平静みたいでしたから、これは私の好みなのかも知れません。先に書いたレポート通りの、素晴らしいワイン。

一応最初はブラインドで飲んでもらいましたが、これはすぐにカルフォルニアワインと当てられてしまいました。確かにでしゃばったワインでは有りますが、やはりモラガはとても美味しいと思うけどなぁ、、
モラガについては、93を99年1月に書いていますので、良かったら見てください。

この61のシャトーニュフ・デュ・パプも99年5月の項に感想を書いたワインです。私の印象はその時と殆ど同じです。ただし、すこし酸化したテイストを指摘されました。うう、それは確かなので、それを言われるとつらいです。私はこの手のワインを飲むことが多く、酸については許容量が広いので、このくらいだと全然大丈夫なんですが、普通にはちょっと痛んでいると言われるみたいです。(でも61だから、こんなもんじゃないかなぁ、、)

次は珍しい、50のラフィットです。私の所に1本だけあった1950年のワインです。今回皆さんへの連絡役をしていただいた方が50の生まれなので、中身に不安を感じながらも開けてみました。

ところが!、何と素晴らしいワインでしょう!!、古いワインですから力強さよりエレガントさですが、香りも、そのテイストも、何と広い世界を持っている事でしょう。どういう経路か知る由も有りませんが、きっと大事に熟成させられたのでしょうね。

さぁ、その後は、私のヴィンテージ59の、ブルゴーニュ、ボルドー、甘口の3連発です。

まずはルモワスネのグランエシェゾー、これは何度か飲んでいますが、いつもいつも大変美味しい(今回が一番良い様に思います)。「何かやってる」可能性は無いことはないのですが(ルモワスネはその点では怪しい)、いやしかし、テイストは全く違和感の無いところで収まっています。

この59のコスは2度目ですが、先に飲んだボトルに比べて格段と若い感じがします。色も59とは信じられないほど濃く、味もその色に準じた物です。もしかしたら、まだ開ききっていないかもしれません。皆はリコルクを疑いましたが、それは当然です。でもコルクを見る限りはオリジナルの様です(59はどれも私が開栓しました)。私の手元に来るまで、一体どーいう保管をされていたのでしょうか??

ここまで来ると、飲み過ぎと言うこともあって、最後のムラン・トーシュのアンジュ59が小者に感じられますから、かわいそうです。いつ飲んでも素晴らしいロワールの甘口ワインです。




Montiano 1996
Falesco

有名なファレスコのモンティアーノです。何で有名かと言いますと、今イタリアのエノロジストとして大変人気の高い、リカルド・コッタレラの所有するファットリア(ワイン醸造所)であるからです。

現在、コッタレラが顧問をするファットリアは幾つ有るんでしょうか?、数十ある筈です。で、そのどれもが良い評価を受けていますね。また、メルロを主にしたワイン作りでも有名です。

そのコッタレラ自身が所有(厳密には兄弟での所有)しているのが、ラツィオにあるファレスコです(実際にはウンブリア州の近くで、葡萄の大半はウンブリアのものだそうだけど)。そして、そのメルロ100%から作られるワインがモンティアーノです。

その名前を最初に聞いた頃は大変入手難だったのですが、今はオーデックスがインポーターとして入れてますから日本でも手に入りやすいですね。オーデックスはコッタレラがコンサルタントをしているワインを沢山輸入していまして、これらも注目に値するかと思います。(私はまだあんまり飲んでいないので、はっきりとした事は言えませんが)

さすがに有名なワインだけありまして、イタリアでも名前だけのメルロのワインが多い中、しっかりとした、濃く、ちょっとジャムの様なアロマをもった、メルロの印象を強く持ったワインで、とても良いです。

確かに、ラパリータやマセトゥの様な、トスカナの超一流メルロと比べると、ちょっと洗練されていない感はありますが(まだ、今後の熟成でどうなるか不明ではありますが)、あれほどの値段で無ければ充分納得できるワインですね。




Ch. Ausone 1985

またまたオーゾンヌです。1985年、すでに約15年前となりますが、普通なら「まだちょっと早いかも」って思ってしまうでしょうね(少なくても私はそう思って今まで開けなかった)。

80年代から評判が良くなってきたオーゾンヌですが、85年自体はなかなか良い年なのですが、この年のオーゾンヌはどうもあまり評価が良くないみたいですね。

パーカーさんに至っては「75?」と言う点が付いています。それで評論の出だしは「I have never been impressed with this wine,..」で(パーカーさんの日本語版ボルドーは持っていませんのでどういう訳になっているかは不明)、その後も随分けなされています。

普通、パーカーさんにこれだけ書かれれば誰も買わないですね。その他の評論も見てみましたが、決して芳しいものではなかったです。買ったのはもう3、4年前ですが、それでもオーゾンヌだから結構高かったです。でも他のヴィンテージに比べると安かったので、評価も知らず買ってしまったのでした。

確かに色は薄いです。先に情報を仕入れておかないと、「どーして、85でこんなに熟成してんの?」と思ってしまうでしょう。でも飲んでみると、「どーしてこのワイン、そんなに評価が低いの?」と違う意味で驚いてしまいました。

確かに強いワインじゃなくて、色が象徴しているように既に熟成のピーク、はずれ年の雰囲気です。ブラインドなら70年くらいと言ってしまうでしょう。そういう意味では、各評論家の意見は正しいと言えます。

しかし、何とチャーミングなワインでしょう。アフターも強くは無いけれど、ふわりと甘く軽く立ち上がり、綺麗に尾を引きながら消えてゆく。まるで、とても良くできたブルゴーニュの様でもあります。再びブラインドだったら、ブルゴーニュと言ったかも知れないですね。