釜場 荒釜 あくぬき

砂糖黍から搾汁された液を煮詰めてゆくのが「釜場」の作業です。釜場は幾つかの段階に分かれていて、その最初が荒釜でのあく抜きです。

砂糖黍を絞った得られたばかりの汁は、あく分(主に砂糖黍の穂の部分から出る)を非常に多く含んでいて濁った緑色をしています。荒釜はこのあくを抜くためにしつらえられた釜です。

この釜に半分くらいだけ砂糖汁を入れ加熱します。するとあくが緑の泡と共に上部に沢山出てきます。あく抜きはここでこのあくを目の細かい網で根気よくすくい取るのです。 まず前段階の「一番あく抜き」をしたあと、次に石灰分を加えますと更ににあくが浮き上がってきまして「2番あく抜き」作業を行います。
しかしながらそれではすくい取れないあくも幾らか残ります。その為にこの釜だけには端に隙間を開けた蓋が作られていて、その後はこの蓋をして加熱を若干強めます。するとあくが吹き上がってきた泡の上に乗って、縁に沸き撒ける事になります。加熱をうまく調整してあくが完全に切れるまで続けます。この作業を「ふかし」と言います。

右写真はその「ふかし」を行っている所です。常に監視しうまくあくだけが外に溢れる様に蒸気量を調節します。

この工程を経て一釜上げるのにおよそ30分かかります。また1つの釜に一人の割で人がつきっきりになるため人手と手間のかかる作業となりますが、このあく抜きを完全にし終わらないであくが残ると最後の和三盆糖の色がドス黒くなってしまいます。単なるあく抜き作業ですが、出来上がりの品質をも左右する重要な工程です。ただ一部の所ではあく抜き作業の省力化の為に、薬品類とフィルターを用いた機械を使用しているところもあります。

  • 和三盆糖の製法のトップページへ戻る
  • 締場 一.砂糖黍の搾汁
  • 釜場 二.荒釜 あくぬき
  • 釜場 三.すまし桶 不純物抜き
  • 釜場 四.中釜、上げ釜、冷やし釜 煮詰めと撹拌冷却
  • 釜場 五.冷やしカメ 冷却、結晶化
  • 製法場 六.荒がけ 一度目の糖蜜分離
  • 製法場 七.研ぎ 糖蜜分離を繰り返す
  • 製法場 八.粉砕、乾燥