白下糖が作られて少なくても1週間以上寝かした後、順次「研ぎ」作業に入ります。研ぎとは和三盆糖独自の精製工程の事です。
一般的な砂糖の主成分はショ糖であり、グラニュー糖や上白糖の成分は殆どこのショ糖です。またそれらを見ればわかるとおりショ糖とは本来白い物です。和三盆糖の白下糖も研ぎと言う方法を用いず一般の砂糖を精製する機械を用いて精製すれば、それらと同じ物になるでしょう。
要するに研ぎとは不完全な精製工程です。しかしその為に和三盆糖は元の砂糖黍の美味しさをそのまま引き継ぎ、普通の砂糖とは全く違った物になりえたのです。
砂糖の精製工程とはすなわち粗糖から「糖蜜分」を抜く事です。白下糖で結晶化しているのは純粋な砂糖分であり、それに液状の糖蜜分がからんだ格好で半固形状態となっています。その糖蜜分を抜く最も直截な考え方は、糖蜜分を「搾り取る」と言う方法です。和三盆糖精製も基本的にはその方法を採りました。
まずは樽に保存して有った白下糖を八等分し麻の布で包み、箱の中に入れて、てこの原理を用いて天秤棒を用い石の重しをかけます。現在のこの機構は昔の酒糟絞りと酷似していまして、明らかにこの機構を流用した物だとおもわれます。
この状態で丸一日、白下糖は半固形なので絞られた糖蜜は地下に掘られたカメに溜まります。最初のこの作業を「荒がけ」と呼びます。