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xiphioの備忘録


2025年10月11日

_ [music] ウィーン国立歌劇場来日公演 「フィガロの結婚」(10月11日公演)

久々のシュターツオパーの日本公演です。今回は2演目のみで、昔に比べてほんの少し小ぶりかな、とも思いますが、「薔薇の騎士」は一度は見たかったので、まずこちらに行く事にしました。

「フィガロ」も、以前から公演日近くに鮨屋に行く予約をしており、上京予定だったのですが、そもそもチケット代もとても高いので、しばし思案した後やはり行く事にしました。

未だにまだ見た事が無いオペラも結構ある中、フィガロは随分見ている気がしますが、なんと言っても数あるオペラ演目の中でも、最高に完成度の高い素晴らしいオペラなので、何度でもOKです。(ただ、比較はしてしまいそうですが)

シュターツオパーだし、慣れた演出と言う事で変な読み換えも無いらしいので、とても楽しみにしていたのですが、、、

出だしのフィガロ役の歌唱でこけてしまった、、いや最初の序曲、オケや指揮はとても良かったです。

この公演、各配役の歌手が当初予定から結構変わっていますが、「え、このフィガロの人、急遽代役?」と、最初の数分間戸惑ってしまいました。とにかく、全く声が出ていない、「急遽人がいなくなったので、そこらのバスの人が出て歌ってる?」とも思ってしまいました。

何もアナウンスも無いので、暫くして、どうやらやはり当初の配役通りの歌手の人らしい事を理解しましたが、、どうなんでしょう、代役では無いのでしたら、主役フィガロを歌うだけのそれなりの評価を得た歌手なんでしょうが、当日は相当疲れていたのでしょうか?、それとも何か風邪でもひいていたのか?

「あれ、どうしたんだぁ?」と思ったのは多分私だけじゃ無い様で、一番最初のフィガロの歌唱の後、拍手、全く出ませんでした。(仕方ないよねぇ、って思いました)

1階ですが、後方の座席だったせいか、その後のフィガロの早口の台詞や歌も、何言ってるのだか何歌ってるのだか全く分からない、いやイタリア語なので元々理解は出来ないのですが、全く明瞭で無くフニャフニャ聞こえる。

他の歌手は、幕が進むと次第に声も出て良くなって来たのですが、フィガロだけは今日は駄目だと、途中から諦めました。

今回の公演の中心はスザンナでした。当初の予定の歌手が不調で降りたので、この後の薔薇の騎士でゾフィーを歌う方が、急遽、こちらにも登板ですが、演技も含めとても良かったです。とても素晴らしかったと思います。後の薔薇の騎士が楽しみです。

伯爵役は充分良かったと思います。伯爵夫人は、最初歌唱の声質が少し暗い気もしましたが、声自体は出ていましたし、その後のスザンナとの掛け合いも素敵で、まずまず良かったです。

肝心のケルビーノですが、登場した所の最初の有名な歌では、早すぎで加えて歌唱が不明瞭で、それこそ何の歌だか分からない様な感じで、これはまずいかも、、と思いましたが、後半は良かったと思います。

演出に関して、舞台装置は総じて簡素な物、と、思えました。最後の場の隠れごっこのギミック以外は、最小限の簡素なセット(板に絵を描いただけの物)を無理矢理使う感じです。最初の一幕なんて、後ろ直ぐに大きな衝立が来ているだけで、それだけ(戸は開くけど)。奥行きはほぼ無く、舞台前面からその衝立までの、奥行き1m程だけで物語が進行していまして、ちょっと切迫感を感じました。(此処だけ見れば、衣装を着けた演奏会形式とそれほど変わらないかも)

人物の演技演出は、オペラ題材にそった、楽しいもので、とても楽しめました。指揮もオーケストラも流石にウィーンのオペラ演奏と思えるものでした。

歌手に不満が無い訳ではありませんが、良いオペラ公演だった事には間違いは有りません。ただ、常設公演だどこれで充分ですが、日本までの引越公演と言う特別感は、昔とは違ってもう無いですね。そういう意味では、「いい演奏会だった、でも価格ほどの特別感は無かったかも」って印象です。