2006年08月31日
_ [wine] 1550円のグランヴァン
昨日の夜は友人と、新しく徳島に出来たレストランにゆきました。シェフはこの間まで平成調理師学校でフレンチの先生をやっていた方。以前、その調理師学校の一室で1日一組だけのフレンチレストランをやっていて、何度か彼の料理を食べた事があるけれど、何時もとても素晴らしかった。この度そこの先生を辞めて、実家の中華料理屋さんを改装し、新たにレストランをオープンした由。とてもカジュアルなレストランで、何々料理って銘打っていないけれど、イタリアからピザの釜とか輸入して焼いていたりとか、何だかイタリアンっぽい情報だったので、持って行く赤ワインはイタリアワインにした。
白はイタリアの白はあまり良いのを持っていないので、とりあえずそろそろ飲み頃になったであろう、95のバタール・モンラッシェ、ブラン・ガニャールの物。95の白は結構買ったけど、まだ1本も飲んでいない。さすがに飲み頃だろうから今日は様子見。赤はグリフィ95、ティニャレロ97とトレンティーノ・カベルネ89を持って行った。
先の2つは説明無くても大丈夫だろうけど、最後のトレンティーノはとても記憶に深いワイン。この所1本ずつ残して居るボジョレー・ヌーボーを別にすれば、恐らくうちのセラーで一番安いワイン。2千円くらいかな、と思っていたのだけど、良くカードを見ると1550円だった。このワイン、市内のワインを沢山置いてあるディスカウントの酒屋で買った物。昔は私も安くて美味しいワインを標榜していたわけで、何を思ったか(多分カベルネのワインだったからだろうけど)試しに買ってみてすぐ飲んで、非常に渋くて(すっごくタニックだった)飲みづらく、たしか1本開けられずに大部分捨てた様に記憶している。若いカベルネのワインはタニックなものだけど、若いので果実味も有るので飲めないって程の事は普通無い。ちなみに私は今に至るまでこの様なワインを飲んだ事は無い。そこであまりにタニックだったので、こんなワインをづーっと置いておいて熟成したらどうなるだろうと、と考え、まぁお財布に殆ど負担の無い価格ということもありもう1本買って置いたわけである。購入は92年、当時まだセラーは無くて蔵にワインを保管していたので、セラーが95年に出来るまで、そこで夏を2度を過ごしている訳である。
でもまぁ最初開けてみて飲めなかったぐらいのワインを、何でもう一度買ってみたかは、本当のところ自分でも良く解らない。購入後15年経っても、まず開けても美味しいわけ無いと思っていたので(なにせ元が1500円なので、、最近はこのくらいでも美味しいワインは結構あるけど、昔は安いのはそれなりにまずかった)、一人で開けるわけにゆかず、かといって捨てるわけにもゆかず、ずっとセラーの邪魔者として存在したのである。
今回は、有名スーパータスカン(既に死語か)2本に紛れて、こそっと持って行ったわけである。元々きょうの会は3人、これにシャンパンも加わるから、合計5本、、全部飲めるわけは無く、はなから残すつもりだったのだ。
バタールモンラッシェは、全く問題なくて美味しい、少し悪口を言えば平均的か。特にインパクトが強いと言う物ではないが、95として上手くできているし、良い熟成の途中とも言える。当然もう飲んで良いのだけど、もっと置いてあったらそれなりに色々なテイストが強くなりそう。
グリフィとティニャレロはやはり97と言うヴィンテージかティニャレロが良い。総じてトスカナの97は(ヴィンテージ評価通り)とても美味しい。95のグリフィは良くできていて、食事と共にのワインとして何の不満も無いけれど、ワインだけとしてはカリスマ性に欠ける。
そして、何の期待もなく開けたこのトレンティーノ・カベルネ89。色は薄くなって居るかも知れないけど結構健全。テイストは昔の思い出のタニックな所はまるでなく、柔らかくふわーとアフターテイストが立ち上がる!。特に傷んだ所は感じられず、最初の印象は上手く熟成したサンテミリオンの様。とても良い!、こんな風に化けるとはとても信じられない。良く観ると、テイスト、アフター共に少し南国風、ストラクチャーには確かに乏しいが、「ふつー」にはとても素晴らしい。
高い、評判の良い、有名なワインが美味しいのは当たり前、時折こんな信じられないワインが有ったりするから、本当に不思議。ましてこのワインは思い出があり、なおかつ手元で長期間おいてあった物(世の中広しと言えども、無名で廉価なこのワインをここまで丁寧に保存した人は何人いるか?)。だからよけい嬉しいし、私のとってみれば完全にグラン・ヴァンだ、こういう事があるからワインは止められない。
(でもね、私は嬉しくってすごく騒いでいたけど、同席の方は確か他のスーパータスカンを飲んでいた。もしかしたら、美味しいと嬉しがっていたのは私だけかも?!)