2009年02月15日
_ [music] 日本の聴衆は、しつこいか?(福田進一ギターリサイタルにて)
どうかな、こんな事は書かない方が良いかな、、と思っていましたが、ラジオなんかでギターの曲を聞く度に、何時も思い出してしまうので、一応書いておきます。
昨年7月、地元で福田進一さんのコンサートがありました。他の機会にも此方にいらした事はあるかも知れませんが、地元で聞くのは二度目でした。一度目は随分前ですが、その同じシリーズのコンサートで、若くて格好いい福田さんの嘘のようなテクニックの演奏を聞いたのを、良く憶えています。更にその前、確か、濱田さんの案内によるTVの音楽番組で、福田さんがギターを演奏され、その演奏の素晴らしさに「誰、この人!」と驚いたのを思えています。その頃はまだ、CDも出されていなかったと思います。
とにかく、私なんかがここでわざわざ記す必要のない、最初から素晴らしい演奏者で、お弟子さんの方が一時有名になりましたが、「後は後進の指導に、」とか言わず、何時までも素晴らしい演奏を聴かせて欲しく思っています。
今回の演奏会も、楽しく素晴らしいものでした。つい先日までスペインにいってらしたらしく、かなりお疲れとの事でしたが、そちらで初めて演奏した曲の演奏も良かったです。そして予定されたプログラムが終わり、何回か拍手で呼ばれた後、確かこの様に言われました(最後の一文を除いて、言葉は正確でないと思いますが)
『向こう(多分スペイン)は、演奏後の反応も凄く熱狂的なんですよね、でも後が割とさらっとしているというか、すぐに終わるんですが、それに比べて日本は少ししつこいというか、、あ、いやいや、、(聴衆は爆笑)』
私もはずみとして一緒に笑いましたが、正直「福田さん、一体何言ってんだ!!」と思いました。
「今日の演奏も素晴らしかったですよぉ」って、一生懸命拍手する聴衆に向かって、冗談めかしたとはいえ、「少し、しつこい」とは、何事でしようか!!。(当然、その後拍手は途切れた)
スペイン帰り直後でとても疲れていて、早く帰りたい気持ちは良く分かります。でもそれなら、その他の方策が有るでしょうに、、
福田さんの、気取らない態度はご存じの方も多いと思います。初めて聞いたコンサートでも、途中で「ちょっと暑いんで、服を脱がせてもらって良いですよね」と言われて、ちょっとラフな格好で演奏されました(偉ぶらない気さくな良い方だな、と思いました)。今回の演奏会でも、演奏中にその外国の話とかも、楽しく聞かせて頂きましたし、時折聞くインタビューでも、冗談を交えた受け答えで、聞いていても楽しいですよね。
だた、幾ら冗談で受けを狙ったとしても、いや本当にそう思っていたとしても、やはり演奏家として聴衆を前にして「言って良い事と悪い事」が有るように思います。
とても忙しい海外への演奏旅行で疲れている直後、こんな地方にやってきて、そのまた客が少ない演奏会で、気が抜けたのかも知れませんが、、有名に、そしてまた大家になり過ぎちゃったのでしょうか、大好きな方だけに、ああぁ本当に、思い出す度に、私はとてもとても残念な気分になります。