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xiphioの備忘録


2024年01月06日

_ [wine] Arther Barolet et Fils Beaune 1959

購入は2007年、当時国内の幾つかのワイン屋さんから、アーサー・バロレなるブルゴーニュ古酒が何種類か売り出されまして、思わずその「バロレ」と言う名前に反応してしまいました。(今になって裏ラベルを見ますと、インポーターはフィラディスさんでした)画像の説明

私なんかより上の方で、昔からワインを飲まれている(一部の)方には、通称バロレ、つまり「Dr.バロレ・コレクション」のワインはとても有名です。ずいぶん昔ワインを飲み始めた頃、「こんなワインが有るんだよ」と、バロレの事を初めて教えてもらったり、飲ませてもらったりした頃には、入手は既に無理でたまにオークションに出る程度でした。バロレ・コレクションは、概ね1920から30年代のワインが多かったのですが、59も有りました。

久しぶりに見た「バロレ」と言う名、でも「アーサー・バロレって何やねん?、バロレ・コレクションのパチ物か?」と思いつつも(確か、販売時点でも詳しい説明は無かったと思う)、珍しいブルゴーニュ古酒、それも生まれ年の59がある、と言うことで、多少怪しみながらも購入。このボーヌ59は5万円弱で、安くは無いですが、由来はともかく、最近瓶詰めした物とかで無く、ちゃんとした59ブルゴーニュらしかったのでとりあえず購入したワインです。

今回、私も還暦は既に過ぎ去り、何ともう少しで65歳になったりするので、気になるワインはとりあえず開けてみようと、開栓しました。

ブルゴーニュ59にしては、アリッジは少ない方、コルク上部も状態良さそう。デュランドに感謝しながら、コルクを抜きましたが、下半分は結構脆くはなってはいましたが、コルクはかなり良かったです。コルクの状態からは、当時の瓶詰めとして違和感はないです。ただ、ヴィンテージの焼印はありません。(本家のバロレでも無かったと思う)

開栓してグラスについでみると、色、なんかすごく濃い、、大丈夫か?、と思うくらい。飲んでみて、まぁ大丈夫、、開栓したてで、香りはあまりないけれど、テイストも濃い、濃い果実味がとても特徴的です。古いブルゴーニュは結構飲んでいますが、「うぇ、59ブルゴーニュとはとても思えない」、と言うのが素直な印象。でも、そういう点、それってとっても「バロレワイン」している事に、一瞬おいて気がつきました。

「Dr.バロレ・コレクション」のワインの特徴は、かなり年を経た古酒ブルゴーニュ(の筈)なのに、そうとはとても思えない濃い果実味と凝縮感です。「作った時は、どんだけ濃かったんだぁ?」と、一緒に飲んだ方々と、昔良くそんな話になりました。ちなみに当時私は、「アルジェリアあたりからの、濃いワインを混ぜてるではないか」説を、となえておりました。理由の一端に、今まで飲んだ範囲ですが、バロレではACは殆ど意味がありません。村名のボーヌだろうが、特級畑だろうが、ほぼ同じテイストです。多分ヴィンテージも10年位の違いなら、あまり関係ないでしょう。

今回開けたワインは、と言いますと、普通ですと「ちょっとおかしくないこのブルゴーニュ、65年近くは経つと言うのに、この果実味と凝縮感、、」と言う感じですが、バロレのワインとしては、(記憶上)いつものスタイルかと思います。開栓から時間が経つと、テイストやアフターも広がりが増してきて、より素晴らしいワインとなりました。とても良かったです。本当にブルゴーニュかぁ、と今でも若干思わないではないのですが、これだけ美味しければ、もうそれで良いと思います。

今回開栓したのを機に、「Arthur Barolet」の事を検索してみました。今でも存在するネゴシアンと知り、ちょっとびっくりです。「Dr.バロレ」ことアルバート・バロレは、医者をやめて実家のアーサー・バロレでワインを手がけていた由。パチ物では無かったんですね、恥ずかしながら、今回初めて知りました。そういう事なら、これは所謂「Dr.バロレ・コレクション」ではないものの、バロレのワインといって良いでしょう。実際、飲んだ印象は、全くその通りでした。

余計な事ですが、アーサー・バロレについて教えて戴いたサイトの解説文で、「死去した後、セラーに残されたバロレワインは全てスイスのアンリ・デ・ヴィラモン社が買い取りCollection du Dr. Barolet と名付け、新しいラベルが貼られオークションに出品され今日の名声に繋がっています。」とありますが、これは一部修正。

聞いた話なので、記憶を含め不正確ですが、当時アンリ・ド・ヴィラモンはアメリカ向けに普通に売っていたらしいです(かなりな在庫があったらしいですから)。その頃は有名じゃなかったので、それほど話題にならなかったでしょうが。それと、セラーに残ったバロレのワインを引き取ったのは、アンリ・ド・ヴィラモン(Henri de Villamont)だけでなくて、フランソワ・マルトノ(François Martenot)もありまして、こちらのバロレ・コレクションも結構有ります(有りました)。実際、後日、当方がオークションで買ったのは、マルトノの方でした。ヨーロッパのオークションでしたから、ヴィラモンはアメリカで、マルトノはヨーロッパで販売したのかも知れません。

飲んでしまった後、このワインについて、気になった点もいくつか、、

まず、澱が少ないと言う事。無いと言う事ではないのですが、かなり少ないです。これは少し不思議です。瓶は底がかなり深く、当時の瓶だと思われます。それと、ラベルが剥がれない事。割と古そうなラベルなのだけど、お湯では剥がれない。最近張った物かな、とも思ってしまう。最近と言っても概ね82年以降と言う事になるけれど。