2006年05月25日 ワイン関連のDVDを見ながら、、
_ [wine] モンドヴィーノ
昨年日本で公開されとても評判になっていた、ワインに関するドキュメンタリー映画「モンドヴィーノ」のDVDが出ていると聞き、早速購入。到着を待ちかねていまして、届いて即日、見てしまいました。
評論や感想は何度か雑誌等で知っていましたので、おおまかな内容はあらかじめ想像がついていましが、見聞きするほど面白そうなので、前々からDVDの発売を待っていました。実際に見る前の予想としては、「ミシェル・ロランとモンダヴィが完全に悪役にまわり、それらとの対比をからめた、幾らか作為的な所もある辛辣なドキュメンタリー」という所でした。
で、実際の所もだいたいその予想された通りのストーリーでしたが、見終わっての素直な感想として、やはりとても面白かったですし、当初思っていたよりはまともな(?)映画でした。ワインの世界の事をあまり知らない人が見たら、どうかとは思うのですが、私などには、その筋では著名な人が、殆ど素のままの感じで出ていますので、結構細部にわたって興味深かったです。
構成としては、各インタビュー自体が幾つかの短い部分に切られて(例外もありますが)、あちらこちらのインタビューの断片を組み合わせて作品にしていまして、時折説明文が出るものの、単にワインが好きと言うだけのあまり知らない人が見たら、一度だけではどういう繋がりになっているのか、途中でこんがらがってしまうかも知れませんね。そう言う意味では、有る程度マニア向けの映画かと思いますし、名前を知っている人には「知られざる実態」(それとも、予想された通りの実態?)を垣間見る思いで、本当に面白い作品です。幾つかの場面ではカメラアングルが低く、多分それらはカメラを脇かそこらに構えたままでの隠し撮りに近い感じで撮っているのでは無いでしょうか。また、普通のインタビューでも、意識的に被写体の素の部分が出た場面を取り上げている傾向にありますね。
こういう作品の場合、実際に収録したのは作品の数十倍いや百倍以上有るるでしょう。そして、その中から二時間少々に切り貼りして編集する訳で、良く有る「新聞活字切り抜きの脅迫文」みたいに、ともすれば編集の仕方如何で編集者の意図するストーリーを作る事が可能な訳で、それは登場人物本人の意図と微妙に食い違うかも知れないのです。「映画」を作る以上、制作者は、解りやすく言えば「善と悪の対比」の様にぐっと人を引き込む構成にしなければいけないし、また「面白く」する必要もあるでしょう。普通の人には単に面白ければそれで良いのでしょうが、ワインに真剣な人が見るのでしたら、そこの所はちょっと冷静な目が必要かと思います。
実際の内容については、悪の枢機卿役のミシェル・ロランが役者として最高に素晴らしい出来映えで、誰かが演出したんじゃないかと思うほどです。でもこの人、こんなに取材に気取らず嫌な顔もせず、ずっとつきあってくれるなんて、親切な本当にいい人なんでしょうね。それに比べて、パーカーさんは少し作ってますね(さすがに元弁護士)、恐らく同じような質問を幾度と無く受けているので、体裁を整える受け答えが、既に頭の中にルーチンとして有る感じです。取材者はどうにかしてその裏の本音の言葉を引き出そうと必死です。他には、某WS誌があんなのは、買って読んでいる人はみんな感じているでしょうし、ロピトーなんかそごうのワインギフトに成る以外には誰も買わないだろうし、モンダヴィは別段こんなものでしょうし(皆さん結構良いじゃないですか)、結局あんな風になってしまったし(今皆さんどうしているのでしょう?、話題にもならないよね)、でもキルワンは何かちょっと可愛そうだったかな。
対比側と言っては何ですが、やはりモンティーユの家族がいいですね。親父は昔からあるドメーヌでは如何にも良く居そうな感じですが、息子と娘も、編集による演出も有るのでしょうが、なかなか個性的で魅力的ですね。それと個人的には、やはりブロードベントさんがやはり格好良いと思います。クリスティーズに入ろうとして警備員に止められる所なんて、最高です。
それにしても、これだけ多くの有名人に懐まで入り込んでの突撃取材(古い言葉ですね)を敢行した監督も大したものです。経歴からも解りますが、実際映画上でも、英語、フランス語、イタリア語を流暢に操ってインタビューしています。言葉巧みに取材相手の本音を引き出していまして、時折ポロッと出たその本音、そこだけ使っています。これは想像ですが、インタビューを受けた人の殆どが映画を見て「ダマサレタ、コノヤロー」と思っているのでは無いでしょうか。しかし出るべきで出なかった人(多分ヒュージョンソンなんか取材申し込みを断った口じゃないかなぁ)、それを思うと、今回どうゆう役回りであっても、出演して頂いた皆さんには視聴者としても感謝する思いです。
意図を持ったドキュメントとして、日本では昨年公開されたばかりのこの映画ですが(初公開は2004年カンヌ映画祭)、なんと恐ろしい事に、今では見終わった後に、既に完全に「時代遅れ」の感が漂います(ロランさんとパーカーさんが相変わらず元気で活発なのは変わりませんが)。それほどワインの世界は素早くダイナミックに変容しているという事でしょう。何方か「モンドヴィーノ2」作らないですか?。今度はニコラ・ジョリィとかルロアさんとかにも皆出てもらって、、
_ [wine] ワイン関連の映画?「サイドウェイ」
上記の「モンドヴィーノ」と一緒に買ってしまった、これもワイン関連の映画として名を聞いた事がある「サイドウェイ」です。「モンドヴィーノ」を見た勢いで、続けてこちらも見てしまいました。
こちらは、普通の映画です。主人公がワインおたくと言う設定で、カルフォルニアのワイナリーも訪れるし、レストランでもワインは出てきますが、特にワインじゃなくても良かったかも、、。バックグラウンド的と言うかBGM的な扱いか、また知り合うきっかけとかのちょっとした小道具的扱いで、それほどマニアックな話は出てきませんので、見終わった素直な感想は、「普通の映画じゃん!」って所です。もっと主人公のマニアックなところを見せるとか、カルフォルニアワインの実情を織り込むとかしても良かったようにも思うのですが。まぁ面白かったですけど。
_ [wine] Caymus Special Selection 1991
上記2つのワイン関連のDVDを見ながら飲むワインは、さて何にしようかと思いましたが、モンドヴィーノ関連としては、うちにはモンティーユは無いし、モンダヴィも実は殆ど無いし、以前スタッグリンからカベルネソーヴィニョンの1994とサンジョベーゼ1995を直接何本かワインを買ったことがあるのだけど、結構気に入っていたサンジョベーゼはこの間最後の1本を飲んじゃったし、超重いカベルネは何本か飲んで嫌になって、残りは安く売ってしまった様で残っていないことが判明した。
実はモンドヴィーノでスタッグリン・ファミリー・ヴィンヤードをみて、あんな瀟洒なヴィンヤードとは思っていなくて、びっくりした。私がワインを買った頃は生産量はかなり少なくて、サンジョベーゼは親父さんの趣味みたいな感じで作っていた様だったし、なにせ「ファミリー・ヴィンヤード」と有ったので家族だけでやってるのかと思ってしまった。(今はメキシコ人の労働者とワインメーカーが作っているみたいですね)
まぁそれは良いとして、背の高いケイマスSSの1991が目に付いたので、これを開ける事にした。91のカルフォルニアは当時とても評判が高くて、このワインもワインスペクテーターだったと思うけれど、100点満点を取っていたように記憶するのだけど、確かではない。とにかく91の中でも、評判の良いとても有名なワインであった。
1991は娘の生まれ年で、ボルドー、ブルゴーニュが苦しいので、いきおいカルフォルニアのカベルネを色々買って飲まないで保管しておいたのだけれど、試しに少し飲み始めた経験から、もう飲まないと手遅れに成ると確信し、最近は結構開けています。
有名な1991のケイマスSS、幾つか開けた他のカルフォルニアの1991と結構よく似ていて、チャーミングで素直でとても美味しいのだけれど、香りにもテイストにもこれといった特別な複雑さも無く、要するに特に感銘を与えるワインには成っていない。正直言って、もっと果実味があってパワフルな若い時期に飲んだ方が良かったかも知れない。そう言うところが、例えばボルドーの1990とは明らかに違うように思う。