2006年05月28日
_ [audio] アンプの整備、GAS、THOEBE(1台目)
私と言えば、昭和34年生まれなんですが、小学生高学年から中学生ぐらいまでは、所謂ラジオ少年と呼ばれる部類に(一応ですが)はいるのだと思います。いつからかは良く憶えていないけれど、多分小学生高学年の時から半田鏝を使った事がある部類であります。
でもとっても悲しかったのは、とても田舎だったという事。小学校の近にある小さな本屋さんには、ラ製(「ラジオの製作」と言う雑誌の事)や初ラ(「初歩のラジオ」と言う雑誌の事)が1冊づつ入っていて、それを心より楽しみにしていた。(だから買えない事も有った)抵抗やトランジスタなどのパーツに至っては、徳島市内まで行かなければ全く入手不可能で、確か小学生の時、一度トランジスタと言う物を見たいが為に、町の電気屋さんに行き、ラジオかテレビの保守用みたいなセットの中から、規格も解らず、適当にトランジスタを1個譲ってもらった事がある。
半田鏝を父親にねだって買ってもらい、そのラジオ雑誌で見つけたごく簡単な「キット」を通販で買って、作ったのが最初だろう。中学になって真空管の並三ラジオを作ったのが、初めての大きな物と言える。スイッチを入れて初めて音が出たときは、今も憶えているくらい感動した。AMとは思えないくらい、とてもとてもいい音だった。
それから時折中断はしながらも、電気工作はやっていた。やってはいたが、自分自身不器用だと思っていたし、それで「半田付けは巧くないなぁ」と実感していた。それは実は半分以上、道具の問題だと気が付いたのはずっと後の事だ。私はずっと子供の頃父に買ってもらった、40Wの半田鏝使っていて、それで下手だと思っていたのだけど、もう少し容量の大きい半田鏝を使うと、今まで下手だと思っていた所がいとも簡単に綺麗に出来てしまうのに、後年やっと気が付いた。(気が付くのが遅すぎ!、と自分でも思うが、、)
まぁでも、基本的には器用な方ではないのだけれど、半田付けの経験だけは長いと言える。一方、電気回路の理解となれば全く別で、勉強しようとした事は有るけれど、結局はどういう風になっているのか良く解らず、雑誌の製作記事通りに、ラジオなりアンプなりを色々作っていた。
ところで、この数年インターネットのオークションで色々物を買っている。実は一番多いのがアンプの類で、はっきり言って「どーすんの、こんなに」と言うくらい買っている。あまり高価なのは買わないので、結局は昔有名だった古いアンプが多い。でそんなのアンプは、買ったもののすぐ故障してしまったり、あるいは初めから不都合が有る場合が、非常に多い。それも私の場合、既に修理する取次店が無かったり、またメーカー自体が既に無かったりするのが殆どだ。
そんな訳で、何処かで修理してもらうのだけど、有り難い事に最近では技術を持っている人が、古いアンプの修理などを結構受けている。私も一度修理してもらった縁で、その後も何度も(アンプに限らず)修理修繕をお願いしている所がある。手間がかかるので、結構お金も時間もかかるのだけど、もうお馴染みさんである。はっきり言って、これまでの落札代金と修理費用を合わせると、新品の超高級アンプが買えそうに思う。聞かなくなった機器を売ろうにも、掛かった費用を加えた価格では絶対売れないので、まぁ置いておく事になる。倉にはアンプが一杯だ、時折馬鹿じゃ中かなぁ、と自分ながらに思うのである、、
ただ色々な古いアンプの修理の内容とか見ていると、昔はメーカー製の機器に手を入れようなんて思っても見なかったのだけど、結構出来るのではないかとも思い始めてきた。それで、昨年安く手に入れたジャンク扱いのプリアンプ(GASのTHOEBE)を、とりあえず故障箇所だけ直してもらい、その後のメンテは自分でしてみる事にしたのは昨年暮れだった。
実際にやる事は、まず電解コンデンサが寿命なので、これを交換すること。それと、GASのプリアンプについて言えば、入出力のRCAピンが非常に腐食しやすく現存のものはほぼ例外なくボロボロなので、RCAピンの交換となる。あと、塗装されていない部分は錆もかなり出ているので、錆取りである。
まず分解して必要な電解コンデンサを調べる。THOEBEは基盤が取り外しやすく、メンテがとても楽だった。田舎なので電解コンデンサを入手するのも時間がとてもかかった。そのほか、少し高かったけど、電動の半田吸取機と、温調半田鏝も買った。(この代金で整備してもらっても充分お釣りがくるけど)
準備が出来たので今年の初め、用事のない日曜日に作業を開始した、先に書いたとおり、メーカー製の機器に手を入れるのは結構緊張物だったけれど、電解コンデンサの交換は簡単に終わった。これも全て、半田吸取機のおかげだと思う。見事に半田が除去できる。あとは普通に、コンデンサを基盤に半田付けするだけだからとても簡単。やはり道具は揃えておかないと駄目だ。一方、温調半田鏝はあまり恩恵は感じなかった。これで第一段階終了だ。
GASのプリアンプのRCAピンは基盤に直付けなので、交換がとても大変なので、暫くは取りかかる気にならなかったのだけど、ピンの腐食があまりに酷いので、また時間のある日曜日に、RCAピンの交換に取りかかった。ここでも半田吸取機が大活躍で、実際これがないと出来ないと思う。前回電解コンデンサの交換の時は、あまり分解しなかったのだけど(RCAピンが基盤に直付けなので、あまり分解できない)、今回取り外したついでに、出来るだけ分解して清掃してみた。元々ジャンク品で外観も汚かったのだけど、内部もかなり汚い。内部の隅なんか泥のようなものが積もっている。まさか雨ざらしになっていたんじゃないだろうか、、とも考えた。とにかくばらしたついでに綺麗に磨こうと思ったが、どうも大変なので、急遽近くのホームセンターでディスクグラインダーを買ってきた。さすがにあっという間に綺麗になる。やはり道具は揃えておかなければいけない。あと電源コードもボロボロなので、ついでに交換したかったのだけど、内部で使われているのと同じ端子が地元では見あたらなかったので、今回は諦めた。
出来映えには充分満足だし、とても楽しかったけれど、こちらも丸1日かかった。電気工作が好きじゃないと、やはり結構大変かもしれないが、メーカー製のちゃんとしたアンプを、自分で整備できたのはとても楽しかった。オークションでも、故障品を入手して自分で修理整備して、またオークションで売っている人結構居て、落札値と手間を考えると、正直あまり儲かる事とは思えなかったのだけど、結局は自分が楽しんでやって居るんだろうな、と思えるのではある。