トップ «前の日記(2006年06月02日) 最新 次の日記(2006年06月11日)» 編集

xiphioの備忘録


2006年06月04日

_ [audio] GAS、THOEBEのメンテナンス(2台目)

前回書いた通り、GASのプリアンプ、THOEBEの整備を一度した事が有るのだけれど、まぁ、上手くいったせいもあって味をしめ、またまた同じ機種を先日買ってしまった。今回は一応動作品であるが、やはり錆も酷く、美品ではない。

一度ばらして色々交換もしているので、要領は分かっている。とりあえず部品を集めなければいけないのだけど、地元では何も手に入らないので、東京か大阪に出る機会まで、待つ事になった。今回は5月に京都に行ったので、帰り大阪の日本橋に寄って部品を揃える。秋葉原に比べて、店の数自体は少ないけれど、日本橋のデジットは最高に面白い店だ、ここだけで全ての部品が揃う。各電解コンデンサ、RCAピン、電源コード交換用のパーツ、ゴム足、などなど、本当は半固定抵抗も交換したいところだけど、悲しいかな知識不足ゆえ調整法が解らないので、こちらは断念。電解コンデンサはニチコンのミューズゴールド(ちょっと高いオーエディオ用電解コンデンサ)を使用、部品の単価より要は手間なので半分気分の問題。RCAピンは、本当は良質な物を使いたいが、この機種の場合は選択の余地がない。電源コードは手持ちの3Pの中で太めの物を流用、コードブッシュ、端子などが必要。

なかなかまとめて時間が取れる機会がなかったので、電解コンデンサの交換だけ、少しづつやって、昨日土曜の夜にメイン基盤のコンデンサ交換をすまし、ついでにフロントパネルの取り外しと、パネルやつまみの洗浄をやっておいた。

本日(4日)は特に用もないので、午前より作業を始めた。午前中にRCAピンを取り外し、必要なだけ分解し各部清掃。昼より、取り外したシャシーの錆取りを、ディスクグラインダを使って行う。RCAピンを基盤に取り付けると、手が出せなくなる所も多いので、この機会に、外部だけでは無く、内部も磨ける所は出来るだけ磨いておく。背面も錆が一杯なのだけど、あまり強く磨くとレタリングが皆消えてしまうので、加減が難しい。細かい所は結局は、手で磨く。そのあとは、錆防止のスプレーを吹いておく。電源ケーブルは元のより太くなっていて、コードブッシュも少し大きいので(元のと同じ大きさのコードブッシュは何処にも置いてなかった)、穴を広げるのだけど、これには少々手間取った。

RCAピンの交換は要領は解っていると言え、何せ数が多いので結構大変。ただ半田付け自体は、それほど難しくはない。またこのプリ、手前がL(白)で奥がR(赤)なので注意が必要だ。通常のアンプは、まず全ての機種で、上がLで下がRだけど、その感覚だと手前をRにしたくなる。現によその人が整備したGASの「テドラ」で、手前を赤にしてしまっているのを見た事がある。(間違ってから気が付いても、もうとても直す気にはなれないだろうなぁ)

後は仮組みして、音出しのチェック。無事音が出てる事を確認した後、組み立て、フロントパネルとつまみの取り付け、蓋をして出来上がりである。外国の機器は、シャシーの工作精度が悪いとか、設計が上手くできていないとかのせいで、ネジが穴に合わない事が結構ある。取り付けのネジは、まずごく軽く入れて、後は対角線のネジから順に、2回か3回に分けて締めるのが基本であると思うけど、ちゃんとやってます?。

最後に、念のため出力のDCバランスを測った。まずは問題が無くて、安心した。ここまで終わって既に午後5時半、昼食を除いて休息は無し。これだけで、結局まる1日かかってしまった。自分のアンプでなくて、もし委託だったりすると、少し手を抜くからもっと早いだろうけど、それでも仕事でやっている人は大変だなぁ、と思う。

GASはもう会社も無いし、メンテなしではまともに作動しないはずの古いアンプになるけれど、今でも結構人気がある。私も昔は懐疑的だったけれど、たまたま手に入れた「テドラ」(本当はあまり落札する気では無かったのだけど、ついつい)が、何故かとても良かったのである。特性は別にして、とても明快な音を出すプリアンプだ。プリでこれだけ個性的なのは珍しい。パワーアンプのアンブジラも有名だけど(聞いた事は無い)、音は殆どプリアンプが決めていたのでは無いかと、思うくらいだ。

THOEBEはテドラの廉価版。カタログには「テドラとはMCヘッドアンプが無いのが違うだけ」と書いてあるけれど、実際は大分違う。でも後で出ただけあって、レイアウトとかはTHEOBEの方が良くできていて、整備はしやすい。音も私ぐらいのレヴェルの人には、大きくは違わないように思う。この機種に限らないが、残念ながら、巷の人気というのは概ね正しい。私の少ない経験でも、昔の機器であっても未だに人気が有る物は、やはりそれなりに今でも通用する良い機械だ。しかしこのアンプも定価は相当高かった。それを考えると、中身は当時の国産のアンプに比べても、かなりチャチイ部分もあるのではないかと思う。でも音は良いのだから不思議なものだ。

テドラもあるし、現在特に必要なアンプでも無いし(同機種2台目だし)、別段売るつもりも無いので、「何でそんな事やってるの?」と言われれば、結構返答に困るけれど、50近く、そこそこいい年になっても、物を直したり作ったりの工作は結構たのしいものである。これで回路の知識が有り、内容が幾らかでも理解出来て、各部調整とかも何とか出来れば本当に良いのですが。