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xiphioの備忘録


2007年04月03日

_ [wine] 宴の後で

今回、東京で3月31日と4月1日の二日間に渡って飲んだ、古い赤ワインは全て、出所はベルギーの同じセラーだそうです。そこのセラーのワインを丸ごと買ってきたブルゴーニュの酒屋さんから、その内の59ワインを中心に買ってきたわけです。

今回そのワインを何本も飲んでみましたが、どれも総じて色が濃く若々しいのが印象的です。想像ですが、そのセラーはかなり温度が低かったのではないでしょうか。その分状態はとても良いですが、良い物はもしかしたら熟成が中途半端だったかも知れません。なにせ一番綺麗に熟成しているのが49のムーラン・ナ・ヴァンでしたから。

これらのワイン、この所のユーロ高もありまして、正直言って値段は安くは有りませんでした。買う時は旅の勢いで、あまり値段の事は考え無いで支払ってきてしまいましたが、この間飲んだワインで、一番安い物でも100ユーロ後半、高い物で200ユーロ少々という所で、送料まで入れますと、だいたい1本2万5千円から、3万5千円強って所ですね。普通に考えると、ただの「ポマール」とかの村名ワインにしては随分と高いのですが、そこはそれ、状態も良いと言うし、1959生まれの古酒好きなもので、、(単に、何も考えないで買ってしまったと言うのが、正解かも)

しかし実際飲んでみて、それなりの価値は有ったかと思います。好みもありましょうが、ここらのワインになりますと、実際の所、今飲んでみての美味しさと言うのは、あまり個々の銘柄の持つヒエラルキーに影響されない事が多いです。だいぶん前ですが、丁度東京に行った時に、少し知り合いでも有るんですが、トゥール・ダルジャン(パリの本店です)でカヴィスト(セラーマネージャーみたいな人)している日本人の方が帰国してワイン会をすると言う事で、いきなり参加させて戴いた事が有ります。持ってこられたワインは全部古酒で、言葉は悪いですが、良くわからないワインばかり(つまり大看板的な有名なワインではない)でした。それがまた、どれもとても素敵なワインでした。こういう世界も有るんだなぁ、と思ったのをよく記憶しています。

彼とは違って、我々はそういう極めて繊細なワインにどっぷりはまってしまう事はないでしょう。こういう場合は特に、(おそらく当時もそれほど高価値と思われていなかったに関わらず)作られてから殆ど旅をせず、低温の良いセラーで長い間動かさず保管されているボトルを見つけなければいけないからです。通常オークションとかで流通している古いワインは、常に幾らか怪しいと思って良いですし、アメリカ等に渡ったものは概ね駄目みたいですから(各地の評判の良い高名なワインはそれなりに強いので、大丈夫なのも多いですから、どうぞご安心を)、闇雲に買っても単に傷んだワインをつかむばかりでしょう。

それと、我々以降のワイン愛好家がはまる事も、多分もうないのでしょうね。恐らく「その頃の作りのワイン」でないと多分駄目でしょうし、「その頃」の古いワインはどんどん無くなって行くものなので、、、、バロレコレクションもそうですが、我々はそこらのワインを飲む事が出来た最後の世代なのかも知れません。