2007年06月05日
_ [music] 地方コンサート批評「川田知子、ヴァイオリン・リサイタル」(5月25日、徳島市)
こちらの日記には最近、飲んだワインの事ばかりしか書いていないですね。一人で飲んだワインの事については、まぁ結構好きな事かけるので、とても書きやすいのです。しかし、たまには別の事も書かねば、と少し前のコンサートについて、、内容は、概ねコンサート直後に書いたメモの写しです。
5月25日に徳島で、市民コンサート徳島(昔の「労音」です)が企画招聘し行われたコンサートです。川田さんのヴァイオリンは初めて聞きます。プログラムは、前半がヴィタリーのシャコンヌとブラームスのヴァイオリンソナタ2番、後半がフォーレのロマンス、序奏とロンドカプリチオーソとガーシュインのポーギーとベスより、です。いつもそうなのですが、地方のコンサートなので、受けやすいこんな感じの選曲になってしまうのが少し残念でもありますが、その中でも結構好みなので、楽しみにして出かけました。
まずは私の大好物(?)、ヴィタリーのシャコンヌです。第一音からヴァイオリンの音がとても良く出ているのが印象的。とってもよく響いていて美しくて、高音のさえざえしさなど、感銘物です。普通は最初ちょっと寝ぼけた感じで始まって、プログラムが進むに従って次第にキレが出てきたりするものですが、最初の曲から、こんなによく鳴っているのに驚きました。
演奏自体は、一言で言うと、とてもよくまとまっている感じ。美しい音色と確かなテクニックとで、充分ヴァイオリンソナタを堪能するのだけど、綺麗すぎで、シャコンヌの持つ激情とか奔放さが、何か綺麗綺麗にくるまれてしまって、まとまっている感じもします。
次のブラームスのソナタの2番も、ヴァイオリンの美しさは特別。この曲もまた、とてもよくまとまっている。でも、フォルテもアタックも、何かこう優しい優しい感じ、、ちょっとサロン的、と思ってしまった。実際の川田さん、遠目に見ただけですが、とてもかわいらしく素敵で優雅そう、その感じにとてもよく似ている。音楽には時折ぐっと引きつける力強さも欲しい気もするけど、どの曲の演奏も、端々の最後にどこか優しい感じがする。たぶん、強引な事が出来ない優しい人なんだろうなぁ、ピアノもちょっとだけ重い気がする、、
この市民コンサート徳島の演奏会、会員制で徳島というさして文化レベルの高くない地方でのクラッシックの演奏会なので、どの演奏会でも聴衆は常にホールの半分以下(半分入れば、超大盛況だ)。今回は何故か、更に入りが悪くて、本当に演奏者に気の毒だったと思う。それでも美しい、よい演奏を聞かせてくれて感謝。色々書いたけれどよい演奏会で、コンサート帰りの道はとても気分のよいものでした。