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xiphioの備忘録


2009年10月18日

_ [wine] ボルドー有名シャトー畑、総まくり

今日はボルドーの畑巡りの日だ、私にとっては、今回の旅行中のもう一つのハイライトでもある。朝8時30分に、ウノコムの加藤さんとホテルのロビーで待ち合わせる。この日は日曜日で、普段見学者を受け入れるシャトーも、何処とも閉まっているので、私は畑を見ることに特化した。ブルゴーニュでも感じたが、実際に葡萄が出来る畑に身をおいて、そのテロワールを見て感じる方が、醸造所で樽から試飲するより何倍も楽しく興味深いのだ、、でも私だけかも知れないけど。

加藤さんは、ボルドーに来てもう10年以上。美味しいボルドーワインを探して、日本に紹介している。丸1日ボルドー中を案内してもらって良く分かったが、ボルドーをよく知っていると言う点に置いては、加藤さんはホントに半端じゃない!。普通ボルドーの畑なんて、何処から何処までがここのシャトーなんて知っているものではないけれど、行くシャトー全てについて、的確に教えてくれる。

今回は盛りだくさんに要求して、まず朝のうちにソーテルヌに行くことになった。ソーテルヌは少々遠くて、車を走らす。ボルドーって郊外に出ると何処でも葡萄畑が有るのかと思ったけれど、どうも違うみたいだ。しかしソーテルヌに近ずくにつれ畑が増えてくる。画像の説明

しかしそのソーテルヌの葡萄畑の中でも、一見してイケムは頂点、圧巻の佇まい。見渡す限り続く葡萄畑の、緩やかにうねるほんの少し小高い丘の上にイケムはある。画像を見てください、まぁ、ロケーションからして見事と言うしかない。実際飲まなくても、この畑を見るだけでも凄いと思える。

その後、川の方に行く、少し離れているがきれいな静かな川だ。岸から少し離れた辺りから、川面に水蒸気が立っている。とても幻想的。シロン川という小さな川が流れ込んでいて、その川の温度が低いので、こうなるとのこと。この水蒸気の湿気が、貴腐菌の繁殖を支えているのだろう。

ソーテルヌに限らないと思うが、有名な良いシャトーは見るからに良さそうな場所に畑がある。加えて緩やかにうねる畑がとても綺麗で、大変風光明媚、とても良い所だ。

ソーテルヌを後にして、再び車を走らせてメドック方面に帰る。まずメドックの北のほうから。有名所に行く前に、懐かしいフルカ・デュプレを発見。その他知っているシャトーが、次々と現れる。そのうちにサンテステフに入る。まずモンローズの畑、ここも良い感じの畑だ。そして少し行ってコスの畑とシャトーを見る。コスのシャトーはインパクト有るなぁ、こりゃ観光地になるわ、と思っていたら、ここでバスで観光中の皆さんと出会う。

コスまで来るとポイヤックはすぐ隣。境界のあたりに窪地があり、そこを越えて再び高くなった所がラフィットの畑、そして隣がムートンだ。ラフィットとムートンの畑は割と同じ環境、とても緩やかな丘の広がっている。その一番高そうな所に立つと、回りに見えるは葡萄畑のみ、非常に気持ちがよい。

その次はランシュバージュ、ここも畑は良い感じ。ここまで見たところで、ミッシェル・カーズが始めた、レストランやショップなどの複合観光ヴィレッジにて昼食をとる。時間は12時半だ、こちらの昼食としては少し早い。ワインはダルマイヤックの2000年にした。やはり少し若い、美味しいけどこれと言って特に惹かれるとこもないかな?。料理はビストロ風でとても美味しい。ここでの昼食のメインの皿が、今回の旅行で一番美味しかった料理と言える。

食後、ラランド、続いてラトゥールとラスカズ、隣のポアファレの畑を見る。ラトゥールの畑は流石に良い感じだが、ラスカズの畑も見た目にはそう劣るとは思えない。D2の内側で、ちょっと内陸に入っているけど、ポアファレの畑も見た感じとても良いロケーションだ。

それからサンジュリアンに向かう。此処での私のリクエストは、デュクリュボーカイユとベイシュベル。まず、デュクリュボーカイユへ行く。ここの畑は本当に小石が一杯だ。そしてベイシュベル、例の帆を下げると言う逸話がどういう感じで行われていたか、実際見聞したい為に訪問したが、ここは凄い。川の船の停泊所からシャトーを見ると、まさに「クラブハウスへの最終18番ロングホール」って感じです。そーりゃ、すごいっす!。(ビデオは撮ったけど、写真が無いのが残念)

そして後はマルゴー、すぐお隣のパルメの畑を見て回り、メドックは終了。

それからまた暫く車を走らせて、幹線道路沿いのオーブリオンと向かいのミッションに行く。こちらも、少し登った緩やかな軽い丘のような感じになっている。道路からだといきなりシャトーが出てくる感だが、脇から見ると緩やかな斜面に広々と葡萄畑が広がっている。向かいの、ミッションも同じ感じ。回りには他のシャトーは無い。フィロキセラ害により、放棄された畑に市街地が出来たらしい。

さてお次はボルドー右岸だ、橋が何本も無いのでまず右岸に渡るのも大変だけど、渡ってからもちょっと遠いので暫く車で走る。そのうちボムロルに入る。

ポムロルは田舎と聞いていたが、中心たるその教会の回り一面、葡萄畑がずっと広がる、やはりとても気持ちの良い所だ。まずはル・パンに行く。うーん、噂には聞いていたが、本当に田舎の一軒家だ。意外な事に、松は2本植わっている。他のポムロルの小さい所と同じく、何処にもシャトー名ルパンとは書いていない。「強いて言えば、郵便ポストにティエポンと書いて有るくらい」と加藤さん教えてくれた。裏に回ると、簡素な建物に消えかけたルパンの文字が見えるように思えるが、、。この家の回りがルパンの畑だが、やはり緩やかな斜面にある。場所は良さそうだけど、畑の葡萄の木自体は、(当たり前だけど)回りのと際だって変わっているとは思えない。ワインは何であんなに違うのだろう?。

次はペトリュス方面。ペトリュスを右手において、私はまず、隣のラフルールへ向かう。ここも何も表示が無く、普通には全くラフルールとは分からない。ルパンより少し大きいけど、納屋を備えた普通の田舎の農家の建物だ。地勢はほんの少しペトリュスより上がっている、ごく緩やかな斜面だ。日曜日の田舎は本当に静かで、どの家も誰も居ないような雰囲気だ。(本当に居ないのかも知れない)

次はペトリュースの前に行く。ペトリュスの綺麗なシャトーの回りに緩やかに畑は広がっている。割と広い印象をうけるが、見たところ隣のラフルールとは畑の土壌が全く違うように思える。実は、このペトリュースとラフフールの間に、(名前通りだけど)ラフルール=ペトリュースの畑が有るのだけど、このワインはどうして際だっていないのか不思議。

少し下って、レヴァンジルの前を通って、シュバルブランに向かう。ペトリュスの下方に広がるレヴァンジルの畑も、本当に良い感じの畑だ。それに比べて、シュバルブランの辺りは割とフラット、今までの名醸地とは少し雰囲気が違う。地勢はこうであっても、土壌が違うのだそうだ。ボルドーの大概のシャトーはヴィジィットが出来るけれど、ここシュバルブランだけは受けてくれないそうだ。隣のフィジャックを抜けて、サンテミリオンの中心部分に向かう。

時折知った作り手の名前を見つけながら、だんだん細くなる道を進むと、なんか行き止まりになって、その先に見えるのがオーゾンヌのシャトーとの事。あれ、オーゾンヌって山の上で無かったかと回りを見回すと、ここは斜面の上だった。裏から来たので分からなかったが、後で下から見ると回りの状況が一目瞭然だった。

ここから回りの地勢を見ると、起伏がかなり激しい。オーゾンヌのシャトーの向こうにまた別の丘が有って、斜面にシャトーと綺麗な葡萄畑が広がっている。そちらもとても良さそうなので、加藤さんに聞いてみれば、パヴィだそうだ。パヴィも、オーゾンヌに劣らず本当に良い所にある。

その後、坂を下ってオーゾンヌの下方に出て、隣の丘のパヴィを左手側に見上げながら道をすすみ、暫く行った後斜面を登り、テルトル=ロートブッフの畑を見に行く。私はテルトル=ロートブッフを飲んだ事がないが、結構人気のようだ。葡萄の仕立てが特別な様で、見ると非常に木の幹が低くその分、枝が少し長い。

再びオーゾンヌの下方に来て、畑とシャトーを見上げる。小高い丘にシャトーがあり、回りの斜面に畑が広がる。これまでの畑の中で一番の急斜面かも、、畑もそう広くない。

念願のオーゾンヌの畑を最後に見た後は、サンテミリオンの街に入って、ほんの少しだけ観光。この時点で午後6時をかなり過ぎている。でもここも綺麗で素敵な街だなぁ。画像の説明

夕食は加藤さん宅に呼ばれているので、町のワインショップで、今晩加藤さんと飲む1959年のワインを買って、そそくさとボルドーに帰るのだけど、ここからはかなり遠いなぁ。

加藤さんのアパートは、先に書いたボルドー随一の目抜き通りのサン・カトリーヌ通りに面した所にある。ワインを持ってお邪魔すると、奥さんが料理をごちそうしてくれた。とても美味しい。メインの肉は、人に任せられないとのことで、加藤さんが焼いてくれた。

サンテミリオンの町で買った59のワイン、Ch. Boulerme 1959は、一応ACはサンテミリオンだけど、聞いた事がないシャトー。流石に地元調達なので、状態はよさそうだ。特に人に強く感銘を与える様な一級品ではないけれど、劣化した所も無く充分楽しめた。ただコルクにもワインにも、ちょっとカビ臭いにおいがあったのが、少し残念。(所謂、ブショネの香りとは違う)

ホテルを出てから、加藤さん宅まで、ほぼ12時間。いろんな意味で凝縮していて、とても充実した楽しい1日だった。ガイドをして頂いた加藤さんには感謝。彼の豊富な知識無しでは無理だった。またいつか、この様な日が過ごせるだろうか。

最後に付け足し。本年、2009年のボルドーの気候はワイン作りにとっては、過去に例がないくらい(ほぼ完璧、じゃなくって)完璧らしいです。右岸も左岸も同様らしいです。期待しましょう。(でもそれだと、2000とか2005とかの立ち位置はどーなっちゃうんだろう?)バカみたいに高かったので、最近ずっとボルドー買っていなかったのですが、09は出たら買ってみようかな?。ちなみに、ブルゴーニュも凄くいいみたいです。