2010年02月05日
_ [music] 地方音楽批評:戸田弥生、ヴァイオリン・リサイタル(平成22年2月3日、徳島)
昔の労音、徳島では「市民コンサート」の演奏会です。戸田さんは何度か徳島に来て頂いています。何時もとても良い演奏会だった印象が有りますが、今回は特別に印象的な演奏会でした。
まず、プログラムが大変意欲的です。
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
シューベルト:幻想曲 D.934
シューベルト:ロンド D.895
ショスタコーヴィッチ:ヴァイオリンソナタ Op.134
この市民コンサートの演奏会は、親しみやすいプログラムが並ぶ事が多いのですが、今回は、なかなかのプログラムです。演奏会中に戸田さんがお話されていましたが、当日のピアノ伴奏をされていた作曲家の林達也さんの意向がかなり反映されたものらしいです。
「亜麻色の髪の乙女」は単なる導入サービスでしょうが、あとは結構内容の濃い曲が並んでいますね。シューベルトのロンドは知っているかと思いましたが、実際聞いてみると、初めて聞く曲の様に思いました。ファンタジーも充実したとても良い演奏でした。何よりとにかく、ヴァイオリンの音が大変美しい。曲間にプログラムを良く読んでみると、使用楽器は上野製薬貸与のピエトロ・ガルネリらしいです。どーりで!!。
演奏会プログラムの白眉はショスタコーヴィッチです。実は、私にはあまり馴染みが無い曲でしたが、非常に感銘を受けました。前半のシューベルトの様に美しさに身を任せられる感じとは違い、とても緊張させられる曲と、そしてピンと張った演奏で、2楽章あたりから、胸をドキドキしながら曲を聴いていました。これはキチンと曲と対峙するとなると、かなりな緊張感と精神力が必要な曲で、寝るなんてとんでもない、目さえ閉じて聴く事が出来ない曲想と、その演奏でした。
正直言って、人にこんなに緊張感をもたらす曲を聴いて、幸せかどうか疑問だと思うのですが(だから、ショスタコって、何度もブームになりそうで、結局ブレイクしないんですねぇ、抜群に天才的な作曲家なんですけど)、素晴らしい演奏だったと思います。ホントに、息をするのが苦しいくらい、ドキドキしながら聴いていましたから。素晴らしいヴァイオリンの戸田さんと、林さんに感謝致します。
しかし!、しかぁぁし!!、、その入魂の演奏後の拍手は、パラ、パラ、、とても、嗚呼とても寂しい、、つまり曲を充分理解出来なかった人が多かった様ですけれど、今更ですが、それはもう仕方ないと思います。以前なら批判も、地方故の自虐批評もしたでしょうけど、今では普通のクラッシック音楽ファン層でしたら仕方ない反応だと思っています。
演奏側も、東京での高級な音楽愛好家が巣寄る演奏会とは違う事は、それは良く分かっている筈でしょう。しかしあえて、こういうプログラムの演奏をして頂いた事に関して、本当に感謝しています。申し訳ないと思うほどの少ない聴衆や、その反応などに懲りずに、また是非徳島に来て頂ければ、私、本当に嬉しく思います。有り難うございました。