2010年05月01日
_ [music] Die Dollarprinzessin (邦訳「ドルの女王」)
この「オペレッタ」、ちょっとだけ見るつもりが、またついつい最後まで見てしまいました。いやぁ、本当に楽しいです!。私は今まで何度このDVDを見たでしょうか。買ったのはもう5、6年位前なのですが、今でもよく見ていまして、恐らく所有の音楽関係のDVDでは一番数多く見ています。
作曲者のレオ・フォルはウィーンのオペレッタ作曲家。当然この曲もオペレッタとして書いていますが、今日の普通の人が聴くと、まず間違いなく「ミュージカル」だと思いますね。とても楽しくのりの良い曲が次々出てきまして、まぁまぁ楽しい事この上ありません。
実はこの曲とは縁がありまして、30年近く前、学生時代、初めて行った海外旅行で、何とこの"Die Dollarprinzessin"のLPを買って帰ったのです。昔はヨーロッパなんかに行った時、日本では手に入りそうもない珍し目のレコードを買って帰った物ですが、殆ど「感だけ」で選んだ中にこのレコードがありました。今思ってもよくこんなマイナーなLPを買ったものです。「ドイツ語のオペレッタの抜粋である」と言うのは表記から知れたのですが、内容は分かりません。それでいて、お土産LPの中でもかなり気に入った物でした。
それがある時、日本のレコード屋で、「ドルの女王、Die Dollarprinzessin」とDVDを見つけた時は、思わず目を疑いました。こんな、殆ど無名な曲が日本でDVDになっているとは!。これに関しては、今でも、よっくDVDにして出してくれたモノだ、と感謝しています。しかし、この邦題はあまり良くないです、かといってどういう題にするかというと難しいですね、「マネー・プリンセス」とか「エコノミック・プリンセス」辺りかなぁ、、
このDVDの映像と演奏は1971年にユニテルが製作した物。持っていたLPは、この演奏の抜粋でありました。映像に字幕まで付いた全曲版は(このDVDでも少しカットが有るみたいですが)、LPから想像される通りの、楽しさです。
何度も見れば見るほど、聴けば聴くほど、このジャジーな軽妙さとのりの良さ、これはまるまるミュージカルです。しかし解説にも有りますが、この曲の初演は1907年、まだジャズと言う名前も、ミュージカルも定着していない頃であったそうです。例のメリーウィドーが1905年に初演ですからほぼ同時期です。このウィーン・オペレッタの現代性は何なんだろうと思うばかりです。
オペレッタなので物語が有るのですが、ストーリーがまた面白いと言うか変なんですよねぇ。ストーリーは解説しませんが、舞台はアメリカなんですが、アメリカから見れば金満金融至上主義の当てつけに見えるし、ヨーロッパから見れば古い貴族体制の自虐的批判にも見えて、どちらでも舞台にはかけずらいでしょうかねぇ。(ユニテルは良く製作したものです。)どちらともあまり関係のない我々日本人がお気軽に見る分には、変な所も有りますが軽妙でとても楽しいです。
楽曲は何度も書くとおり、まるでショーを見ているような楽しい曲ばかりです。またこの映像を製作した方も、それを生かすような演出を存分にしていまして、ますますミュージカルになっています。これは想像なんですが、音楽の方もちょっとそれっぽくアレンジしていないでしょうか、元の楽譜とか手にはいると判るのでしょうけど。ともあれ、よく見ると映像の演出も楽曲の楽しさに輪をかけるように、なかなか良くできています。
このDVDが日本で出たからと言っても、Dollarprinzessinを知っている音楽ファンは、やはり殆ど居ないでしょう。第一私だって、昔にドイツでジャケ買いしたLPを聴いていなければ、DVDを手にとっても、なんだこの曲知らないなぁ、と思うだけでしょう。買った直後に雑誌の新譜評論の欄で見ましたが、良いと一応褒めてあった気がしますが、私のように激賞して推薦マークを付けたりはしてなかったと思います。これ見る度に、世の中には殆どの人が知らなくても、素晴らしく素敵で良い曲って沢山有るんだなぁ、って思ってしまいます。幾ら長生きしても足りないかも、、。
こんなに楽しくて素敵なオペレッタ(ミュージカル)なんですが、ストーリー的に、昨今そのままではやりづらい所も有るでしょう。何方かこのオペレッタをリメイクして演奏上演なんて、考えてくれないでしょうか、、もし私が音楽関係の仕事をしているなら、是非このDVDとはまた違うやり方でこの曲を取り上げてみたいのだけどなぁ、、