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xiphioの備忘録


2010年10月17日

_ [music] コンサート沢山の一週間

恒例の健康診断(人間ドック)で東京に行きました。そのついでに、東京でコンサートにかなり行ってきました。と、言うより、気になるコンサートが多い日程に検診の日を合わせた感じですが、、

_ [music] 「アラベラ」(R.シュトラウス)、新国立劇場

まずは、日曜日昼は、新国劇でのオペラ「アラベラ」です。なかなか良い演目選択で、私はとても好きなオペラです。

主役のアラベラは、当たり前ながら前半後半とも満遍なくの登場で重要なのですが、このオペラ、前半はズデンカ、後半はミリが、その要&キモであると、私は堅く信じています。まぁ思い込みですね。

前半のズデンカとアラベラとの二重唱は誠に美しくて、このオペラの【一番の聞き所】だと思って居ますし、後半のミリは役柄自体極めて魅力的で、このオペラの【一番の見所】だと思って居ます。個人的な思い入れで言いますと、このオペラはフィアカー・ミリです(と言い切ってしまおう、、後半少ししか出ないけど)。あと、アラベラの美しさも必要ですね。

さて、そういう思い一杯で見たこの新国劇のアラベラですが、主要なメンバーはなかなか良かったです。アラベラは最初見た時は太り気味かなと思いましたが、ドレスを着ると気にならなくて、美女が看板のアラベラ役ににはまっています。ズデンカは、ちょっと太り気味が気になりますが、演技がカバーしたましたか、マンドリカは役通りの見事なはまり方です。日本人の出演者の伯爵も奥さんも、客演の歌手に劣らず良かったと思います。歌唱は、それぞれ申し分なかったと言えます。

ただ、ただ、ああぁ、あのミリは無いようぅ、、。ごくごく個人的な意見で、思い入れが充分あるので偏った感想で有ることを前記しますが、ミリには泣きましたぁ、、歌はうまいです、ただ、ごめんなさいね、特別キュートで特別チャーミングなマスコットのミリが、軽やかに登場し軽やかに歌って会場の注目と憧れを受ける筈なのですが、、どうもお笑い女芸人が笑いを取っている様にしか見えません。衣装とも相まって、子豚ちゃんがころころ転がっているだけにしか見えません。悪いんですが、オペラは「舞台」でもあります。

その「舞台」であるオペラとしては、演出も気にならないでは居られません。全体的には比較的オーソドックスな演出で無理は無いのですが、何かどうも「手際」が悪い気がします。特に二幕の舞踏会。華やかで楽しい舞踏会の会場の筈、、歌って居る人は別にして、その背景、全く楽しそうで無いんです。後半、シャンパン飲んでの乱痴気騒ぎになるのですが、それも、舞台の雰囲気として、楽しそうでない、騒々しそうでもない、と、とにかく面白そうでないのです。外国でのオペラってこういう場面が実に楽しそうですよね。自主的には出来ないでしょうから、演出の人が細かく人を動かして無いのかしら、と思います。3幕もスポット当てっている人の後ろでの動きがなんか余分で、場面を作るというよりも、とても邪魔に感じます。

それと、舞台で出演者が結構タバコすってます。物語進行に必要なのなら当然OKなのですが、この場合は関係ないですよね。特に必要な演出でもないし、舞台でたばこ(か葉巻)をプカプカ吸っているのを見ている方は、かなり変な感じがしまして、気分良くないです。

_ [music] マウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル  (サントリーホール)

先のアラベラが終わって、何度か声をかけた後、新国劇を後にして、そのままサントリーホールへ向かい、軽く早めの食事。翌日が検診なので、コンサート終了後は食事がとれない。

ポリーニを聴くのは初めてだけど、結構チケット代高いです。S席で新国劇のオペラより高いのだから、、

演目は
ショパン: 24の前奏曲 op.28
ドビュッシー: 6つの練習曲(『練習曲集』第2集)
ブーレーズ:ピアノ・ソナタ第2番
後、アンコールで、ドビュッシー二曲とショパン二曲。

この演奏会は本当に素晴らしかった。演奏会が終わって考えたが、ポリーニという人、遙か前を歩いている、と言うより、遙か上に居る感じ。我々の所より一つ上の段階と言うか、次元が一つ違う気がする。

ただ、ブーレーズだけは、よく分からなかった。私は現代曲も嫌いではないし、一所懸命聴いたのだけど、よく分からないまま終わってしまった。ポリーニはこのグチャグチャでかなり長い曲を、他の曲と同じく暗譜でやるのだから人間離れしている!。

私と同じく殆どの聴衆も、席も離れず最後まで拍手を送った。お蔭でアンコールを4曲もやってくれたが、これがまた何とも素晴らしかった。さすがに4曲で、会場のライトも付いた。普通ならこれで終わりだけど、それでも拍手は続く、ポリーニさんは、最後まで丁寧に舞台に出てきて挨拶してくれた。福田進一さんが徳島の舞台で言った通り「日本の聴衆はしつこい」のだろうけど、私は良い聴衆だとも思う。