2010年10月19日
_ [music] 「フィガロの結婚」(W.A.モーツアルト) 新国立劇場
この日の夜も、新国劇でオペラでした。こちらは、フィガロです。何回見ていても、フィガロが有るとなると、みたいですよね。ただ、演出がちょこっと凝っているらしく、、まぁ演出は気にしないことにしようと、思いながら新国劇に行きました。
いつもながらですが、とても良かったです。特に、客演の主要な歌手が揃いも揃って素晴らしい。ヨーロッパ各地からフィガロに合った若手の優秀な歌手を選抜した感じで、人選最高でした。フィガロは当然ながら、活発でチャーミングなスザンナ、気品があって素敵な伯爵夫人、いかにもな伯爵、ちょっと背が高いけど美形のケルビーノ。歌唱も素晴らしくありながら、さらに舞台映えする容姿も、若さも揃った演奏家をこれだけ集まったのですから、見事な物です。
まぁ、これで演出が普通ならばもっと良かったのですが、、。それでも、良く有る様な、意味不明に理不尽な演出が無いだけましです。場面は殆ど白、出てくるのは、荷物の白い箱と、大きな洋服ダンスだけ。舞台の中に斜めに歪んだ白い壁の部屋を作って、広いはずの舞台を狭く使っています。最後まで見ても、この演出どこが良いとも何とも思えないのですが、、何でこんな事するの?、って感じです。
良いのは、舞台装置があまり無いので、コストが安いかも、って所です。エコの時代、出来るだけ安く仕上げるのも大切ですね。もし、舞台を斜めにしたり、壁をずらしたりするので、結構お金がかかっている、、とか言うのでしたら、もうどうしようもないです。
気になったところを幾つか、、まずは、客演の外人歌手が揃って魅力的なので、その他の人とのギャップが激しすぎると言う事。これは、衣装や演出に問題があると思います。村の男達や村の娘達が出てくるのですが、それぞれ同じ服です。男達は揃って、暗めの短い袖と短いズボンの粗末そうな服。こんな服を見映えよろしくない不揃いな日本人が着て出てくると、格好からして、どう見ても浮浪者の集団か囚人達にしか見えません。娘達も、揃って黒いシンプルな服。村の娘さん達ではなくて、何かの集団みたい。
その人達がその格好で、結婚式のお祝いとかで出てくるのですから、場に合わないこと甚だしい。日本でやっているのだから日本人が出るのは当然だけど、そこは衣装や演出でカバーしなければいけないと思う。東洋人丸出しの簡素なユニフォームは止めて、「場面に合った」衣装をまとい、違和感を出さないようにするべきでなかったと思うのだけど、、。それなりの格好をしている、マルチェッリーナやバルトロやバジリオは全く変じゃなかったし、とても良かったと思う。演出家は衣装においても、シンプルさをもって演出したかったのだろうけど、激しい違和感があってはどうしようも無い、、それとも、これは私だけの印象なのかな?。あと、バルバリーナもミリと同じで少し悲しかった。こちらもそれなりの衣装で出れば、、と思うのだけど。