トップ «前の日記(2011年03月09日) 最新 次の日記(2011年03月11日)» 編集

xiphioの備忘録


2011年03月10日

_ [wine] ローヌ地方のワイン畑見学(1)、エルミタージュ&シャトーニュフ・デュ・パプ

本日から2日間かけて、ローヌの有名な葡萄畑を見学に行きます。こういう畑巡りには、ヨーロッパでは車が不可欠です。かといって自分では運転出来ないし(右左が逆なので、私など絶対事故してしまう)土地勘も無いので、ガイドさんをお願いするのが一番です。一昨年ボルドーでガイドして戴いた加藤さんに、その時ちょっと訊いてみたところ、「行きますよ」との話だったので、本当に頼んでしまいました。ボルドーからリヨンやグルノーブルまでって遠いですよね、でも同行して戴いてとても助かりました。ワインの事を本当に良く知っている加藤さんがガイドしてくれるからこそ、このローヌ巡りが実現しました。(加藤さんの会社のHPはここです=>http://www.oenocom.com/、特にボルドーに行く時は、先に連絡して案内してもらう事をお薦めします。)

ボルドーでもそうだったのですが、私は第一にその畑とそのロケーションを見る(そして感じる事)に興味があり、生産者の蔵訪問にはあまり執着していません。私などは樽から試飲しても実のところ良く分からないし(過去の経験より)、またインポーターでも販売店でも無いので生産者と顔繋ぎする要も特に無いので、どうしても二の次になります。ただ、シャトー・グリエだけは訪問してみたかったので、加藤さんにコンタクトをお願いして有ったのですが、どうやらこの週は不在だそうで訪問は叶いませんでした。

朝8時にボルドー住まいの加藤さんが、遠路アルプ・デュエズの私のホテルまで迎えに来てくれました。加藤さんは前日グルノーブル付近に宿を取ったとの事。まずグルノーブルまで向かい、9時半にグルノーブル駅でヴァレリーと合流してからいよいよローヌ地方に出発です。ヴァレリーは明日の昼に用があるとかで、本日のみの同行です。画像の説明

まずはエルミタージュに向かいます。聞いたとおりの結構な斜面の山ですね。山の上に上がるために裏からの道を取りますが、裏側は全く葡萄が植わっていません。本当にローヌ川に面している方面の斜面だけに葡萄が植わっています。

頂上付近は、車は通行禁止になっているので、歩いて少し上がりエルミタージュの山の一番高いと思われる所に立ちます。非常に風光明媚、右の少々下方に庵のようなものがあり、おそらくそれが有名なシャペルなので、少し畑を縦断しそこまで行くことにしました。まわりはやはりジャブレのラ・シャペルの畑らしくちゃんと名前の入った碑が各畑の付近にあります。やはり非常に見晴らしが良く、ベンチまでちゃんと置いてくれています。すごく見晴らしが良いので、ここで暫く佇みました。写真では、丘の一番上の小屋がそのシャペルです。

山を降りてすぐ下の町にある、シャプティエのお店に行きました。セラー室に入ると、普段あまり売っているのを見かけない、エルミタージュの単一畑物がずらりと並んでいてそれは壮観です。高いですけどついつい買おうかとも思いますが、飛行機での機内持ち込みが出来なくなってからは持って帰る術がないです。加藤さんに後から送ってもらおうかとも思いましたが、送料入れると此処で買うこと自体がちょい疑問になってきましたので、私は買わないことにしました。それよりも今夜良いワインを飲むほうが上でしょう。

試飲を薦められたので幾つか試飲しまして、加藤さんが自宅用にワインを買って、その後近くのヴァロアと言う有名なチョコレート屋さんに行きました。此処でお土産を買ってから、エルミタージュの山の川向かいのレストランで昼食です。昔からの大きな宿屋のレストランで、地元の人も結構来ています。とても美味しかったです。

昼食後さらに南下、午後シャトーニュフ・デュ・パプの丘の上の居城の建物跡に到着しました。外壁が一部残るだけですが、街とその先のローヌ川を見下ろす非常に見晴らしの良い場所にあり、やはりとても気持ちが良い。その裏側は、一転なだらかに広がるワイン畑。シャトーニュフ・デュ・パプのAC自体が大きな台地になっている様です。居城跡裏付近の畑を、暫く見て回ります。なんか場所によって畑の様子がかなり違いますね。まず見た目からして土壌が違うし、葡萄の木の仕立て方も畑によって結構違っています。有名なアンリ・ボノーの畑はこの辺りと言う情報なのですが、どこだかは分かりませんでした。画像の説明

さて、いよいよラヤスに向かいます。シャトー・ラヤスですが、昨年から事前に加藤さんが何度も電話したものの、まず全く電話に出ないらしいです。綺麗なHPが有るのですが、載っている住所と電話番号は事務所らしく、ニュフ・デュ・パプの街内になっています。訪問が叶わないことは承知していますが(インポーターでも殆ど無理らしい)、「畑見に行きますネ」と連絡だけでもしておこうと思いましたが、E_MAILアドレスさえ載っていません。

パーカーのローヌの本を見ても、その地図には載っていません。たぶん訪問出来なかったからでしょう。唯一、ワインアトラスには大体の場所が載っていましたので、拡大して持参しました(でもこれは結構役に立ちました)。それだけでは心許ないので、シャトーニュフ・デュ・パプのワイン観光案内センターの様なところがあるので、加藤さんがそこで行き方を聞いてきてくれました。やはり地元で訊かないと駄目ですね。

なだらかに広がる葡萄畑を眺めながら、ラヤスに向かいます。居城跡からはそれほど遠くは有りません。細い道で一旦舗装が途切れた所、そこをすぐ左に曲がったところがシャトー・ラヤスです。「ここらじゃないかなぁ」と運転している加藤さんが言ったので、「親切に看板なんか出してないですよねぇ」と言った瞬間、「出てますよ」と加藤さんが"Chateau Rayas"と書いた小さな矢印看板を見つけてしまいました。「看板、出てんだぁ!」と。私ちょっと吃驚。画像の説明

事前にインターネットで、ラヤス訪問記事の写真で見た建物が見えてきまして、少々興奮してしまいました。裏側まで車を入れて、降りて畑を見てみます。ここの畑は本当に森の中と言うか木に囲まれていますね。ゆっくり畑を見ていると、静かで鳥のさえずりも聞こえてきて、本当にちょっと不思議な感じさえする畑ですね。カーヴの周りにはまだ幾つかの畑がありますが、それそれ環境が少しづつ違います。すべての畑がこの様に木で囲まれた様な環境では有りません。

ラヤスへの道を更に行くとボーカステルにも続いているので、ボーカステルの畑も見に行きます。実はボーカステルも、加藤さんが何度も電話してみたらしいですが、やはり電話には出なかったらしいです。ボーカステルは地図で見ると、シャトーニュフ・デュ・パプACのエリアの殆ど端にあたります。行ってみるとボーカステルの建物は広い葡萄畑の間中に有り、ボルドーのシャトーみたいに結構立派で大きいです。畑も広そうですね。畑自体は斜面に有るわけではなく割と平坦なのですが、翌日アヴィニョンからの帰りに、高速道路から「ボーカステルが見えますよ」って加藤さんに教えてもらって見たところ、畑自体が高台に有ることが良く分かりました。

帰りは再びラヤスの前を通ってから高速に乗り、アヴィニョンの町に行きホテルを取りました。ホテルは、ヴァレリーが明日早朝のTGVで帰るのでTGVの駅の近くに取りました。安いのだけど、キッチンそれと鍋やフライパンなどの調理用具が揃っています。最近この様なホテルが多いらしいです。画像の説明

暫し休息後、夕食はアヴィニョンの城壁内の、この街では一番良いとされるレストランに行きました。雰囲気も良いです。料理はトリュフのコースが有ったので、そこから二皿を頼みました。ワインですが、白は加藤さんの知り合いのドメーヌのコンドリューにしました。赤はここなら当然シャトーニュフ・デュ・パプですが、ボーカステルのオマージュ・ア・ジャック・ペランか、ラヤスか迷いましたが、結局ラヤスにしました。ペランは未だ一度も飲んだ事が無いのですが、思い入れとしてはこちらですから。ラヤスは3ヴィンテージほどオンリストされていましたが、一番古い1998にしました。値段は確か315ユーロくらい、高いけど、まぁ安いかなって所です。ちなみにペランは350ユーロだったと記憶しています。

ちなみに、「RAYAS」の発音なんですが、「ラヤ」「ラヤス」「レイアス」の3つくらい表記が有ると思うのですが、まずこちらの方は、フランス語では普段発音しないはずの最後のSを結構発音するらしいです。だから、ラヤはあまりないらしいです。アヴィニョンのソムリエ氏の発音を、良く聞いてみましたが、ラヤスとレイアスの真ん中みたいでした(強いて書けば「ラィヤス」)。まぁ我々は普通にラヤスで良いのではないでしょうか。

で飲んだラヤス1998なんですが、流石に超絶に素晴らしかったです。土地柄ラヤスをよく扱っているこの店のソムリエは、当然の様にいきなりデカンタしてしまいましたが、今飲むにはそれがベストなのでしょう。美味しかったです。帰ってから見ると98と言うのは非常に良いヴィンテージみたいですね。