2011年10月24日
_ [music] コンサート3題(カツァリス〜サロメ〜ギエム)
先週の木曜日の午後より日曜日まで、久しぶりに東京に行っていました。東京行きの日程が決まると、まずやる事はコンサート探しです。東京近郊の方には分からないでしょうが、事、コンサートや展覧会などの文化的催しにおいて、首都圏と地方との落差は歴然たる物です。そうは言っても、どうしても行きたいコンサートや展覧会を、東京や大阪以外の地方でやってくれても却って困る事になりかねず、それを考えると東京一極集中もそれはそれで便利とも言えます。
21日の金曜日は考慮の後シプリアン・カツァリスのピアノリサイタル、22日土曜日は、新国劇でサロメ、23日の日曜日は帰る日ですが、午後3時からギエムのバレエのステージが有るので、飛行機を最終便にして見に行くことにしました。最近、土日のコンサートで午後3時からと言うのが増えてきましたが、便利で助かっています。
_ [music] シプリアン・カツァリス、ピアノ・リサイタル(浜離宮朝日ホール)
プログラムは生誕200年を迎えたリストプログラム。と言ってもさすがカツァリス、リストの素直な曲が並ぶわけでも無く、「リストへのオマージュ」という即興の演奏から始まりまして、ピアノコンチェルトの2番を、カツァリスがソロバージョンに編曲した曲で終わりでした。
カツァリス、ラジオなんかで聞き流したことは有りますが、CDは持ってないし、まして生演奏を聴くのはこれが初めてですが、実に素晴らしいですね。ラテン系の人のもつ「天才肌」というのを、まざまざと感じます。彼は、曲をどの様に構成するかなど、細かいことなそ殆ど意識することなく、軽々と自在に思い通りの音楽を作り上げて行っているように思えます。それこそ、天賦の才がなせる技でしょうか。
加えて、音が実に美しいですね。ホールもここはとても良いです。それにまた演奏家のタッチもあるのでしょうが、楽器も違いそうなので、休憩時間にステージ間際に行って見てみたら(私の席は最後方、後ろから2列目だった)、ヤマハのピアノでした。私の感覚としてコンサートのピアノは95%くらいシュタインウェイなので、「ヤマハ、凄いじゃない!」と声に出てしまいました。それにしても、クリアー明快で響きが良く、全然違う音がします。
演奏会の最後に、カツァリス自身が「お金もらっている訳ではないけど、、」と前置きして、「ヤマハのピアノが大好きだ。」と言っていました。珍しいことですね。よく知らないのですが、カツァリス持ち込みのピアノなんでしょうか?
_ [music] R.シュトラウス「サロメ」(新国立劇場)
翌日22日の午後3時からは新国劇で「サロメ」です。「サロメ」は見るのも初めて、実は曲も全体は聴いたことがないので、ナクソスミュージックライブラリで事前に何度か聴いて、予習してから行きました。
R.シュトラウスのオペラは本当にオケが雄弁かつとても優美で、魅力的この上ないのですが、まず音楽を聴いて、初期の作品でもさすがと思いながら実演を見に行きました。
演奏は、途中の休みなしで最後まで行ってしまいます。前半は結構楽しんでいました。サロメ役は最後の公演だったのでそろそろ疲れが溜まっていたのか、最初の方はあまりさえない感でしたが、次第に良くなって行きます。ヨハナーンは声も堂々たる物で、とても格好良かったですね。
そして後半になるにつれ、、言い方は悪いのですが、はっきり言ってこの「気色悪い」話にうんざりしてきました。こんなお話、喜ぶ人が居るからオペラになっているし、今でも演奏されるわけでしょうが、私にはとうていついて行けません。意味が分からないドイツ語での曲だけならまだしも、目の前で字幕付きで演じられると、胸くそ悪い思いです。終わった後も、感動なんてはほど遠く、あまり拍手する気分にもならなかったです。
こんな話のオペラは、たとえ何度見ても好きになれないでしょうね。同じ理由で、オテロとかリゴレットも実はそれほど好きではないです。