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xiphioの備忘録


2014年05月27日

_ [music] 「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」、新国立劇場 5月24日

先週末から数日東京に行ってきました。私は上京したときは、予定がある時以外は、極力コンサートを入れるようにしていますが、今回は土曜日の昼に新国劇でカヴァレリア・ルスティカーナと道化師、日曜日にはムーティがローマ歌劇場を引き連れて行うシモン・ボッカネグラ、と連日でオペラを見る予定にしました。たまたま東京に出かける時期に探して、これだけのコンサートが有るのですから、私の様な地方の者には、東京に在住の人は本当に幸せだと思うのですが、、

まず土曜日は、何だか懐かしい、カヴァレリア・ルスティカーナと道化師のダブル公演です。昔からこの組み合わせでやるのが普通だったのですが、最近ではそうで無い場合もよく見かけますよね。この演目は何と言っても、第8回NHKイタリア歌劇団公演(1976年)で、繰り返しTVで見て録画し、画像と共にオペラに初めて接したと言って良い曲です。当時のヴィデオは有りませんが、既に名声とどろくドミンゴと絶頂期のコッソットの、迫真の演技と歌に、まだ高校生の私も感動しまくりでした。

その昔のドミンゴは、トゥリドゥとカニオの両役を続けてやりましたが、今回の公演は、両演目に共通の出演者はなく、全く別のプロダクションとして居るみたいです。

まずカヴァレリアの方ですが、トリッドウ(フラッカーロ)はなかなか素晴らしいです。サントゥッツァも良いと思いました。どうしても、コッソットのサントゥッツァと比べてしまいますが、充分な歌唱だと思いました。ただ、主役外国人歌手に比べると、日本人の歌手陣がちょっと落ちる気がしました。特にアルフィオですか。役柄的に、一番偉そうで無くてはいけないので、演技としてポーズはその線でやっていますが、歌は偉そうでは無かったです。

演出は、基本線はオーソドックなものですが、一番最初に舞台に置いてある十字架の人形とか(これ、かなり奇妙な物で、何か意味があるのかと思っていたのだけど、結局途中で引っ込んで、それ以降出てこない)本当に、「考えた」演出なのかと思ってしまいます。破綻していないだけずっとましですが、、

一般的にオペラとしての完成度は「道化師」の方が上だと言われますが、カヴァレリアの全体の音楽の美しさは、本当に素晴らしい物です。合唱の曲も素晴らしく美しいのですが、翌日のシモン・ボッカネグラの力強い合唱を聴いた後で考えると、もうちょっと人数増やして迫力が有った方が良かったかな、とも思います。もしかしたら、カヴァレリア班と道化師班の2班に分かれたのかな?。

だいたい、この順番でやるので、道化師の方が良くなってしまいます。道化師の男声陣は見事でした。カニオ(ポルタ)もトニオ(ヴィテッリ)も素晴らしいものです。日本人が歌っているペッペやシルヴィオも、とても見事なもので感心しました。

舞台も別人が演出したのではと思うくらいで、理にかなった動きと、色々な細かい演出が効いていまして、とても良かったと思います。それと、最後の台詞「喜劇は終わりました」はトニオが言っていました。今まで聴いたのでは、カニオの台詞ですが、幕前の口上役もトニオなので、最後の幕引きも同役で、と言う演出なのでしょう。音楽的には最後に向かってカニオに次第に集中して終わるので、最後一言だけトニオが出て終わり、ってのは、慣れていない事もあって、ちょっと違和感有りました。

公演全体を後になって思い出しますと、前半のカヴァレリアが、演出面も含め後半の前座みたいになってしまっているのが、ちょっと残念です。また、こういうストーリーの比較的短いオペラなので、全体として緊張感と集中力がもっと有ると、、と思ってしまいます。演奏中は、オケは上手いなぁ、と思っていたのですが、もしかしたら指揮者の力量かも知れません。

_ [music] ヤン・リーピン「孔雀」、オーチャードホール 5月24日

新国劇の入り口でいつもの様にチラシの束をもらい、演奏が始まるまで見ていたのですが、最後の方で、面白そうなのを見つけました。ヤン・リーピンというダンサーの舞台です。私は知らなかったのですが、「踊る精霊」と言われているらしく、チラシを見る限りでは、凄く惹かれました。公演日を見ると、丁度24日その日にも公演があります。夜の公演だと、新国劇のオペラが終わってすぐ行けば、間に合いそうです。

オーチャードホールに電話で当日券が有ることを確認して、夜の食事の予定を9時過ぎに変えました。オペラではアンコール演奏は有りませんので、道化師が終わって一通り「ブラボー」って叫んでおいてから、急いでタクシーで渋谷のオーチャードホールに向かいました。

舞踏で物語る、孔雀のおとぎ話なのですが(この舞踏物語自体も、ヤン・リーピンの作だそうです)、とにかく主役のヤン・リーピンには魅せられました。一階席だったのですがちょっと遠かったので、顔までは良くわからないのですが、全てがとにかく美しい。後日検索してお年が56歳で私とほぼ同じと知って、またびっくり。ある意味、本当に美魔女です。

光を非常に巧みに使った演出も見事で、飽きません。それと、「時間」役の少女が、公演が始まってからずっと、時の進行の象徴として回っているのですが、回転台を使わずに自分の足で回っていますし、舞台が休憩の間もずっと回っています。バレエみたいに、目が回らない様に頭を一時固定して回るのとは違います。本当に二時間半以上休み無く、ぐるぐる回っています、。凄いです、どうして大丈夫なんだろう?、本当に不思議。こちらも魔女みたい。

たまたま時間が合ったので行ってみた舞台ですが、ヤン・リーピンの舞踏が見られて本当にラッキーでした。

_ [music] ローマ歌劇場「シモン・ボッカネグラ」、東京文化会館 5月25日

翌日曜日は、ムーティの指揮でシモン・ボッカネグラです。このオペラは初めてなので、東京に行く前に予習としてちょっと聴いてみましたが、それほど馴染みのオペラとは言えません。この日、新国劇ではアラベラをやっていまして、どちらにしょうか迷ったのですが(ローマ歌劇場が2倍くらい高い)、以前も書いたとおり、私はアラベラはミリで決めるので、こちらにしました。それでもまぁ、聴いてみると、ムーティの音楽の作り方の素晴らしさに、やはり流石と思った次第です。

このオペラは傑出した男声陣がそろわないとダメ、と言われていますが、確かに実際に舞台を見てみてそうですね。その点では割と地味目なオペラですが、今回みたいな見事な男声陣が揃い、指揮も見事で音楽もきちんとしていると良いオペラだと実感出来ます。

だいぶん前から、アメリア役予定だったフリットリが病気による練習不足にて代役ブラットに変更、とのアナウンスが有りましたが、このオペラは男声が肝だからと、あまり気にしていませんでした。そのブラットは、最初は緊張していたのか、少々オッカナビックリって感じでも有りましたが途中からは大丈夫みたいでした。でもまぁ、後から思うのには、このオペラの女声ってアメリアだけなんですよね、重唱の場合など、並み居る男声陣を前に一人で対抗するには、新進気鋭とは言え、やはりちょっとだけ足りなかったかな、、とも思いました。

新国劇に比べると値段は高かったけど、やはり完成度の高い舞台でした。歌手も合唱も一流ですが、やはりムーティがかなり効いている気がします。