2014年09月09日
_ [music] 「ブルーアイランド版 音楽辞典」青島広志
音楽関係の雑誌の購読来歴としては、高校生の時から「レコード芸術」をかなり長く読んでいました。その内CDが付録で付く様になったのですが、これが単なる宣伝用のサンプラーで、私には全く意味を感じない物でして、こんな物を一緒に買わされるのに嫌気が差して、ついに購読をやめてしまいました。同時に毎月多量に買っていた、新譜CDも殆ど買わなくなってしましました。
クラッシック関係の音楽雑誌としては、「音友」が定番なんでしょうが、何故か買う気にならず、図書館で読む以外では殆ど自分で買った事が有りません。そんな中、2年ほど前からモーストリークラッシックを定期購読しています。内容は、イメージ的に、「大きな目を惹く画像に短い解説が付くネット配信記事みたい」って感じで、惹きそうな話題をちょこちょこ短くピックアップの呈で、ちょっとどうかなぁ、とも思いますが、読みやすい事は読みやすいので(それで読み始めると、内容の浅さに時折びっくりする)昔から、時折手にしていました。
しかし、田舎ではあまり売っている書店が無い事(これは音友でも同様です)、青島さんの連載が凄く面白いので(禁じ手混じりか?)、定期購読に至った次第です。「音楽辞典」となっていますが、「辞典」らしいのは3、4項目に一つぐらいで、殆どが業界内の内輪話になっています。素人には、当然知らない事ばかりなので、大層面白いです。
この青島さんの連載は「あ」から始まっているのですが、購読は濁音に入ってからなので、「単行本化ならないかなぁ、でも時折ちょっと危ない記述もあるので、難しいかも」と思っていましたが、いきなり先の50音の部分だけで単行本になった様なので、早速購入しました。やはりおもしろくて、届いて3日で全部読んでしまいました。
特徴的な声と喋り方、そして芸術畑の権威者な筈なのに、どっかのタレントの如く自分の事を「ブルーアイランド」と呼ぶ青島さんは、NHKで合唱の解説をしていた頃のイメージが私にとっての殆どでしたが、半ば自伝的かもしれぬこの本を読むと、簡単な経歴からも、天才的才能を持った方で有る事がわかります。その才有り評価もされている自分を、わざと卑下して関係者をこき下ろすので、まぁ、面白いわけです。
読んでいて、私にとっての大きな発見は、大島弓子さんの「たそがれは逢魔の時間」をオペラ化したのは、青島さんであった事です。昔から少女漫画ばかり読んでいた私は、この漫画をリアルタイムで読みましたし、その数年後、何で知ったのか憶えていないのですが、オペラ化される事を知り、チケットを買い演奏会に行きました。このちょっと扱いにくい漫画をどうオペラ化するのか、とても期待して見に行ったのですが、今憶えている事と言えば、帰り道に思い返しても音楽は良いとも悪いとも思わなかった、終わった直後でもあまり印象がなかった、と言う事くらいです。舞台や演出は、幾らか記憶が残っています。それと充分予想された事ですが、少女役に無理がある事も、、。
このオペラの評論で、林光さんに「歌い手を生き生きとさせるだけ」と書かれと記してありましたが、何かその通りな気がしますが、、。まぁ何にしろ、是非もう一度見てみたいオペラです。こちらの作品も、また再演される事を期待しています。