2016年07月31日
_ [music] Alicia de LarrochaのIberia
アリシア・デ・ラローチャは4度アルベニスのイベリア全曲を録音しています。
"Discography of Alicia de Larrocha"と言うところで、ラローチャのレコード発売の記録を調べますと、Hispavoxから1958年(録音年不明モノラル)、それと1962年(録音は1961年)に出ています。
その後、Decca(London)から、1974年(録音は1973年1月、1972年5月と言うデータも有り)、1988年(録音は1986年9月と12月、10月と12月と言うデータも有り)から出ています。
私が初めて聴いたのは、1974年版でLPでした。全く素晴らしい演奏で、心酔しました。その後、1988年版を、リリース当時にCDで買っています。
また何年か前、"Alicia de Larrocha - The Comlete EMI Recordings"と言う8枚組のCDボックスを買いましたが、その中に、1962年版の録音が入っていました。
残るは、最初の1958年版ですが、調べていた所、Pragaから出ている2枚組のSACD「アルベニス作品集」に含まれているラローチャのイベリア全曲が、1958年版と言うことなので、注文しまして、先日届きました。古い録音の筈ですが、吃驚するほど音が良いです。このSACDのブックレットにも1958年の録音と、明記してあります。オリジナルソースからのDSDマスタリングとも書かれていますが、少し疑うくらいの音の良さです。
74年と62年の演奏が私の好みです。この度初めて聞いた58年のも、素晴らしい演奏ですが、その後の演奏を先に聴いてしまうと、まだ未消化の部分があると言うか、まとまり切れていない所が少し有る様に思えます。
62年と74年は共に完成されていて、基本線はあまり変わらないと思いますが、若い時の62の方が勢いがあり切れがよいです。しかし、後年の74の方が叙情性が増しています。晩年の88年の演奏では、その叙情性がさらに増してまとまりが良くなった代わりに、その分明瞭度がおちている感じはします。練達してよりソフィスケイトされている感じですか。
しかし、この58年の録音後僅か4年、62年版への成長は素晴らしいです。これほどの大作を、あまり時を於かずに録音した意味は確実に有りました。
昔の貴重な録音をとても良い音で聴けるのは有難いですが、58年発売時のオリジナルLPでも、やはりイベリア全曲の後にナヴァーラが入っています。つまりラローチャは、第一回目の録音から都合4回全てのイベリア全曲録音で、その後にナヴァーラを置いています。私も、最初からその構成で聴いているので、最後にナヴァーラがないと物足りない気がしますが、このSACDでは、そのナヴァーラが省かれているのが残念です。