2016年10月28日
_ [music] ウィーン国立歌劇場日本公演、ナクソス島のアリアドネ(東京文化会館)
健康診断にかこつけて、シュターツオパーの公演に行ってきました。午前中に健康診断は終わるので、午後から東京文化に行く予定にしました。
最近は、オペラなど時間のかかる公演は、夜ではなく夕方というか、午後に始まることが多いですね。それも以前は土日だけだったのですが、今回は平日の金曜日ですが午後3時の開演です。これだと終わるのが6時過ぎで、夕食を普通の時間にとることができます。今までの様に、終演が9時どころではなく10時過ぎになったりすると、その後行くところが限られています。以前はオペラが終わったら、馴染のワインバーに行くのを習慣としていた時期がありました。
今回のシュターツオパーの公演が特に楽しみなのは、これ「見逃した公演」、だからです。3月にウィーンに行った折、このアリアドネやっていまして、これだけは見たかったのだけど、丁度その日は第九出演の夜で、とても残念な思いをしたものです。で、それを半年後に日本で見ることができるなんて、本当に有難い事です。
健康診断の速報では概ね昨年と変わらずで、少しホッとしながら6万3千円というとても高価なチケットを手に、オペラを見てきました。
アリアドネはずいぶん昔、カール・ベームとグルヴェローヴァが出た、シュターツオパーの初めての日本公演の圧倒的な舞台を見まして、唖然としましたし、好きなオペラの筆頭にもなりました。あれに及ぶ演奏はとても期待できないけど、再びアリアドネを見ることができるのは楽しみです。(実は来月も、丁度東京に行くときに2期会のアリアドネの公演があって、それにも行くことにしました)
オペラは、それなりに楽しめました。まず、直前に作曲家とテノール歌手の配役が変更になったのですが、作曲家がカサロヴァから変わったのは、結構痛かったかも知れません。1幕しか歌わないと言えど、前半の主役は作曲家役ですから。最初は少し期待もしたのですが、あまり面白くなかったです。他方テノール歌手=バッカス役は、とてもよかったと思います。
さあ、要のツェルビネッダですが、総じて不満の残る事はなかったです。これはこれで良いのかな、、と、言う所。そして思い返して、グルヴェローヴァが如何に圧倒的な歌唱を見せていたか、思い知りました。ツェルビネッダは終始ウィットにとみ、とてもチャーミングであり素敵でした。あの長いアリアも「長大なアリア」ではなく、役割と劇進行に合わせた変化のある長い歌唱、になっています。アリアの途中にも、バランスの悪い所で立ったり、滑ったり、作曲家役含んだ演技をしたりと、演出が色々あって、「舞台進行」に合わせている、とも言えます。
逆に言うと、これを1つのアリアとして歌い切るのはちょっと無理があるから、ともとれなくもありません。不満は有りませんが、物足りなかったのは確かです。仕方ないですね、どうしても昔のグルヴェローヴァと比較していまいますから。私の中では、ツェルビネッダと言うより、「フィアカー・ミリ」を見た気持ちですが、、
演出は、とても「腑に落ちる」所が多く、よく考えられていて、良かったと思います。昔は、後半には歌唱のない作曲家などは、舞台に全く出なかったのですが、こんな場面ではこういう風に行動するはず、などを盛り込んでいてストーリーを楽しい物にしていました。最近「意味不明」な演出をする人が多くて(それを素晴らしいと言う人が居て困ってしまう、どう素晴らしいのか、詳しく説明してもらいたい)、不安でしたが、良かったです。
シュトラウスのオペラのオーケストラ音楽は本当に魅力的で素晴らしいのですが、指揮は、どうなんでしょう、よく分かりません、ウィーンフィルなんですが、、。元々、シンプルな構成のオケの筈ですが、もう少し厚みがあって雄弁でも良かった様な、、一方また生き生きとした感じでも無かった様に思うし、印象無しって所です。凡庸と言うと怒られちゃうんでしょうね。